カテゴリー「拍手御礼」の記事一覧
「ねえ、ハーレイ。許すことって…」
大切だと思う、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 許すって…?」
いったい何の話なんだ、とハーレイは鳶色の瞳を丸くした。
ブルーは今朝から上機嫌で、怒っているようには見えない。
「そのままの意味だよ。例えば、ハーレイの場合だと…」
キースを許すことは出来るの、とブルーは凄い例を出した。
今の生では、未だ、キースと出会ってはいない。
ブルーもハーレイも、遠く遥かな時の彼方で出会ったきり。
けれど、その時、キースが何をしたかが問題だった。
「うーむ…。キースってか…?」
今の俺にヤツを許せと、とハーレイは思わず唸った。
前の生では、キースがブルーを撃ったことを知らなかった。
だから、後に地球の上で出会った時には、何もしていない。
(…会談を控えて、地球に降下した時なんぞには…)
キャプテンとしての立場で、国家主席のキースに挨拶した。
言葉を交わして、握手までしてしまったことを、今でも…。
(…ずっと、後悔し続けてるんだ…)
今のブルーに聞いて以来な、と小さなブルーの顔を眺める。
たとえブルーが此処にいようが、憎い仇には違いない。
(秋咲きの朝顔、品種名がキース・アニアンで…)
そうと知ったら、毟りたくなったぞ、と思うくらいに憎い。
そんなキースを許せるのか、と尋ねられたら、答えは否。
(俺は一生、ヤツを許せん!)
今の生で運良く出会えたならば、許せそうだが、と呻く。
(もしも会えたら、一発、思い切り、殴り飛ばして…)
ブルーを撃った件は、水に流せそうでも、というのが現状。
「ハーレイ、やっぱり、許せないんだ?」
「…残念ながら、俺は其処まで人間が出来ていなくて…」
とても無理だ、とハーレイは潔く白旗を掲げた。
「許すというのは、確かに大切ではあるんだが…」
「自分の気持ちが追い付かないなら、仕方ないわけ?」
「そうだな、自分を、無理に押し殺してまで…」
許すことを優先しろとは言えんな、とハーレイは苦笑する。
大の大人も出来ないことを、子供のブルーには強いれない。
「そっか、ハーレイでも無理なんだったら…」
許せなくても、許されるよね、とブルーは笑んだ。
「そうなるが…。なんだ、友達と喧嘩中なのか?」
早めの仲直りを勧めるぞ、とハーレイは提案しておく。
友人同士の喧嘩だったら、グッと堪えて許すことも大切。
そう思うから、ブルーに説こうとしたら…。
「友達じゃなくって、ハーレイだよ!」
「俺!?」
喧嘩なんぞをしてはいないぞ、とハーレイは仰天した。
今日も昨日も、その前にしても、怒らせるようなことは…。
(…していないよな…?)
どう考えても、と振り返る間に、ブルーが言った。
「許せないのは、キスだってば!」
いつも頬っぺたで、そればっかり、とブルーは膨れる。
唇にキスをしてはくれない、とフグみたいな顔で。
(……その件か……)
許せないからキスをしろ、と来たか、とハーレイは呆れた。
そういうことなら、許せないのは、ハーレイにしても同じ。
「よし、分かった。今日の所は、これで失礼しよう」
「えっ!?」
キスの話は、とブルーは驚くけれども、サラリと無視した。
「許せないっていうトコについては、俺も同じだしな?」
いくら許すことが大切だろうが、さっきの話、とニンマリ。
「キスをする気にはなれんし、今日は帰るぞ」
「ちょ、ちょっと…!」
謝るから、帰らないで、とブルーは必死で、可笑しくなる。
(…キースの話まで持ち出して、俺をだ…)
追い詰めて来たんだし、懲りておけ、とハーレイは立った。
「ではな」と、椅子をテーブルの方へと寄せて。
「少し早いが、今から帰れば、食料品店に寄って…」
美味い晩飯を作れそうだし、とブルーを脅して楽しむ。
(本当の所は、帰る気なんぞ、まるで全く…)
ありはしないが、と帰るふりをして、からかい続ける。
「たまには、こんな返り討ちもいいさ」と、扉の前で…。
許すことって・了
大切だと思う、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 許すって…?」
いったい何の話なんだ、とハーレイは鳶色の瞳を丸くした。
ブルーは今朝から上機嫌で、怒っているようには見えない。
「そのままの意味だよ。例えば、ハーレイの場合だと…」
キースを許すことは出来るの、とブルーは凄い例を出した。
今の生では、未だ、キースと出会ってはいない。
ブルーもハーレイも、遠く遥かな時の彼方で出会ったきり。
けれど、その時、キースが何をしたかが問題だった。
「うーむ…。キースってか…?」
今の俺にヤツを許せと、とハーレイは思わず唸った。
前の生では、キースがブルーを撃ったことを知らなかった。
だから、後に地球の上で出会った時には、何もしていない。
(…会談を控えて、地球に降下した時なんぞには…)
キャプテンとしての立場で、国家主席のキースに挨拶した。
言葉を交わして、握手までしてしまったことを、今でも…。
(…ずっと、後悔し続けてるんだ…)
今のブルーに聞いて以来な、と小さなブルーの顔を眺める。
たとえブルーが此処にいようが、憎い仇には違いない。
(秋咲きの朝顔、品種名がキース・アニアンで…)
そうと知ったら、毟りたくなったぞ、と思うくらいに憎い。
そんなキースを許せるのか、と尋ねられたら、答えは否。
(俺は一生、ヤツを許せん!)
今の生で運良く出会えたならば、許せそうだが、と呻く。
(もしも会えたら、一発、思い切り、殴り飛ばして…)
ブルーを撃った件は、水に流せそうでも、というのが現状。
「ハーレイ、やっぱり、許せないんだ?」
「…残念ながら、俺は其処まで人間が出来ていなくて…」
とても無理だ、とハーレイは潔く白旗を掲げた。
「許すというのは、確かに大切ではあるんだが…」
「自分の気持ちが追い付かないなら、仕方ないわけ?」
「そうだな、自分を、無理に押し殺してまで…」
許すことを優先しろとは言えんな、とハーレイは苦笑する。
大の大人も出来ないことを、子供のブルーには強いれない。
「そっか、ハーレイでも無理なんだったら…」
許せなくても、許されるよね、とブルーは笑んだ。
「そうなるが…。なんだ、友達と喧嘩中なのか?」
早めの仲直りを勧めるぞ、とハーレイは提案しておく。
友人同士の喧嘩だったら、グッと堪えて許すことも大切。
そう思うから、ブルーに説こうとしたら…。
「友達じゃなくって、ハーレイだよ!」
「俺!?」
喧嘩なんぞをしてはいないぞ、とハーレイは仰天した。
今日も昨日も、その前にしても、怒らせるようなことは…。
(…していないよな…?)
どう考えても、と振り返る間に、ブルーが言った。
「許せないのは、キスだってば!」
いつも頬っぺたで、そればっかり、とブルーは膨れる。
唇にキスをしてはくれない、とフグみたいな顔で。
(……その件か……)
許せないからキスをしろ、と来たか、とハーレイは呆れた。
そういうことなら、許せないのは、ハーレイにしても同じ。
「よし、分かった。今日の所は、これで失礼しよう」
「えっ!?」
キスの話は、とブルーは驚くけれども、サラリと無視した。
「許せないっていうトコについては、俺も同じだしな?」
いくら許すことが大切だろうが、さっきの話、とニンマリ。
「キスをする気にはなれんし、今日は帰るぞ」
「ちょ、ちょっと…!」
謝るから、帰らないで、とブルーは必死で、可笑しくなる。
(…キースの話まで持ち出して、俺をだ…)
追い詰めて来たんだし、懲りておけ、とハーレイは立った。
「ではな」と、椅子をテーブルの方へと寄せて。
「少し早いが、今から帰れば、食料品店に寄って…」
美味い晩飯を作れそうだし、とブルーを脅して楽しむ。
(本当の所は、帰る気なんぞ、まるで全く…)
ありはしないが、と帰るふりをして、からかい続ける。
「たまには、こんな返り討ちもいいさ」と、扉の前で…。
許すことって・了
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「ねえ、ハーレイ。困った時には…」
人に頼る方がいいのかな、と小さなブルーが尋ねて来た。
二人きりで過ごす休日の午後の、お茶の時間に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 急にどうした?」
何か困ったことでもあるのか、とハーレイの方も問い返す。
急に訊かれても、質問の答えを出すことは出来ない。
「俺に訊く前に、まずは訊きたいヤツというのを…」
きちんと整理してからにしてくれ、と注文をつけた。
ブルーが何で困っているのか、状況によって答えが異なる。
そう説明したら、ブルーは「分かった」と、素直に頷いた。
「あのね…。ぼくがハーレイに訊いているのは…」
解決までの道のりなんだよ、とブルーは少し首を傾げた。
ブルーが言うには、一般論を知りたいらしい。
何か困ったことが出来たら、自分で解決するべきなのか。
それとも人に頼っていいのか、どちらなのか。
「ハーレイは、どっちが立派だと思う?」
自力で解決してしまうのと、人を頼るのと、という質問。
「ふうむ…。困りごとにもよるだろうなあ…」
一般論にしたって、二通りだ、とハーレイは腕組みをした。
自力で解決か、人を頼るか、どちらも正解、と。
「えっと…? それって、どういう意味?」
分からないよ、とブルーはキョトンとしている。
「そうかもな。答えが二つじゃ、謎なんだろうが…」
本当に両方とも正しいんだ、とハーレイは解説し始めた。
「いいか、一つは、自分で解決するべきヤツで…」
困りごとの原因がハードルの時だ、とブルーに語る。
「自分で乗り越えなくちゃならん時には、ハードルだな」
「…ハードル?」
「ああ。分かりやすく言うなら、宿題もそうだ」
学校で出される宿題ってヤツは大事で、やらなきゃいかん。
それも自分で仕上げてこそで、人を頼っちゃいけないんだ。
自分の力がつかないからな。
「…そっか…。自分でやらなきゃ、意味が無いよね」
「分かったか? 難しそうに見えていたって、実はだな…」
宿題は出来ることしか出さない、と教師の立場から説いた。
「学校で習った知識の範囲で、答えは導き出せるんだ」
きちんと発展させてやればな、と宿題の意義も教えてやる。
知識をモノにしてゆくためにも、人に頼るな、と。
「そうだよね…。だったら、もう一つの正解の方は?」
人に頼るのは、どんな時なの、とブルーは興味深々らしい。
答えが二つあるというなら、もう一つは、と。
「そうさな、そっちはハードルと言うよりは、壁で…」
壁を乗り越えるのは難しいだろ、とハーレイは語ってゆく。
乗り越える人も、ぶち壊す人も、いないことはない。
とはいえ、どちらも出来ない人が多くて、頼るのが早い。
「例を出すなら、家で使う何かが、故障したとか…」
お前、洗濯機とかを修理出来るか、とハーレイは訊いた。
「ううん、出来ない…」
「それが普通だ、人に頼るしかないヤツだぞ」
洗濯出来なきゃ困るんだから、と軽く肩を竦めてみせる。
「手洗いしとけばいいじゃないか、というヤツも…」
無理に動かしちまうヤツも、とハーレイは苦笑した。
「どちらもゼロとは言いやしないが、ダメなヤツだろ?」
根本的な解決、出来てないしな、というのが正解の理由。
修理しないと駄目な機械は、人に頼んで修理すべきだ、と。
そういったわけで、正解は二つ。
ブルーが知りたい一般論というのが、二つに分かれる。
「うーん…。ぼくの困りごと、どっちなのかなあ…?」
「なんだ、困りごと、持っていたのか?」
人に頼る方なら力を貸すぞ、とハーレイは笑んだ。
「せっかく俺がいるわけなんだし、遠慮なく頼れ」
「本当に? 難しいかもしれないのに?」
頼ってもいいの、とブルーは瞳を瞬かせる。
「いいさ、機械の修理じゃなさそうだしな」
何も壊れていなさそうだし、とブルーの部屋を見回す。
「せいぜい、掃除の手伝いだろ?」
チビのお前じゃ届かないとか、と天井を指した。
そうしたら…。
「あのね、チビには違いないけど…」
チビになったせいで、キスが貰えなくて、という困りごと。
「ハーレイ、頼っていいんだよね?」
ぼくにキスして、と頼って来たから、叱り飛ばした。
「馬鹿野郎! そいつは壁じゃない、ハードルの方だ!」
成長したら乗り越えられるしな、と銀色の頭を拳でコツン。
叩いても、痛くないように。
「そいつは自力で解決するモンだ」と、お説教つきで…。
困った時には・了
人に頼る方がいいのかな、と小さなブルーが尋ねて来た。
二人きりで過ごす休日の午後の、お茶の時間に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 急にどうした?」
何か困ったことでもあるのか、とハーレイの方も問い返す。
急に訊かれても、質問の答えを出すことは出来ない。
「俺に訊く前に、まずは訊きたいヤツというのを…」
きちんと整理してからにしてくれ、と注文をつけた。
ブルーが何で困っているのか、状況によって答えが異なる。
そう説明したら、ブルーは「分かった」と、素直に頷いた。
「あのね…。ぼくがハーレイに訊いているのは…」
解決までの道のりなんだよ、とブルーは少し首を傾げた。
ブルーが言うには、一般論を知りたいらしい。
何か困ったことが出来たら、自分で解決するべきなのか。
それとも人に頼っていいのか、どちらなのか。
「ハーレイは、どっちが立派だと思う?」
自力で解決してしまうのと、人を頼るのと、という質問。
「ふうむ…。困りごとにもよるだろうなあ…」
一般論にしたって、二通りだ、とハーレイは腕組みをした。
自力で解決か、人を頼るか、どちらも正解、と。
「えっと…? それって、どういう意味?」
分からないよ、とブルーはキョトンとしている。
「そうかもな。答えが二つじゃ、謎なんだろうが…」
本当に両方とも正しいんだ、とハーレイは解説し始めた。
「いいか、一つは、自分で解決するべきヤツで…」
困りごとの原因がハードルの時だ、とブルーに語る。
「自分で乗り越えなくちゃならん時には、ハードルだな」
「…ハードル?」
「ああ。分かりやすく言うなら、宿題もそうだ」
学校で出される宿題ってヤツは大事で、やらなきゃいかん。
それも自分で仕上げてこそで、人を頼っちゃいけないんだ。
自分の力がつかないからな。
「…そっか…。自分でやらなきゃ、意味が無いよね」
「分かったか? 難しそうに見えていたって、実はだな…」
宿題は出来ることしか出さない、と教師の立場から説いた。
「学校で習った知識の範囲で、答えは導き出せるんだ」
きちんと発展させてやればな、と宿題の意義も教えてやる。
知識をモノにしてゆくためにも、人に頼るな、と。
「そうだよね…。だったら、もう一つの正解の方は?」
人に頼るのは、どんな時なの、とブルーは興味深々らしい。
答えが二つあるというなら、もう一つは、と。
「そうさな、そっちはハードルと言うよりは、壁で…」
壁を乗り越えるのは難しいだろ、とハーレイは語ってゆく。
乗り越える人も、ぶち壊す人も、いないことはない。
とはいえ、どちらも出来ない人が多くて、頼るのが早い。
「例を出すなら、家で使う何かが、故障したとか…」
お前、洗濯機とかを修理出来るか、とハーレイは訊いた。
「ううん、出来ない…」
「それが普通だ、人に頼るしかないヤツだぞ」
洗濯出来なきゃ困るんだから、と軽く肩を竦めてみせる。
「手洗いしとけばいいじゃないか、というヤツも…」
無理に動かしちまうヤツも、とハーレイは苦笑した。
「どちらもゼロとは言いやしないが、ダメなヤツだろ?」
根本的な解決、出来てないしな、というのが正解の理由。
修理しないと駄目な機械は、人に頼んで修理すべきだ、と。
そういったわけで、正解は二つ。
ブルーが知りたい一般論というのが、二つに分かれる。
「うーん…。ぼくの困りごと、どっちなのかなあ…?」
「なんだ、困りごと、持っていたのか?」
人に頼る方なら力を貸すぞ、とハーレイは笑んだ。
「せっかく俺がいるわけなんだし、遠慮なく頼れ」
「本当に? 難しいかもしれないのに?」
頼ってもいいの、とブルーは瞳を瞬かせる。
「いいさ、機械の修理じゃなさそうだしな」
何も壊れていなさそうだし、とブルーの部屋を見回す。
「せいぜい、掃除の手伝いだろ?」
チビのお前じゃ届かないとか、と天井を指した。
そうしたら…。
「あのね、チビには違いないけど…」
チビになったせいで、キスが貰えなくて、という困りごと。
「ハーレイ、頼っていいんだよね?」
ぼくにキスして、と頼って来たから、叱り飛ばした。
「馬鹿野郎! そいつは壁じゃない、ハードルの方だ!」
成長したら乗り越えられるしな、と銀色の頭を拳でコツン。
叩いても、痛くないように。
「そいつは自力で解決するモンだ」と、お説教つきで…。
困った時には・了
「ねえ、ハーレイ。やられっ放しは…」
良くないのかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? やられっ放し?」
急にどうした、とハーレイはポカンとした。
ブルーは大人しい子だから、何かされているのだろうか。
「うん。悪戯とか、意地悪とか、色々あるでしょ?」
やり返した方がいいものなの、とブルーは続けた。
なんとも物騒な話ではある。
ハーレイは、一気に緊張した。
人間が全てミュウの今では、深刻なトラブルは起こらない。
そうなる前に、互いに思念で理解し合って、それで解決。
(しかしだ…)
子供の場合は、まだバランスが上手く取れない。
「理解し合おう」と考える前に、口や手が先に出がち。
止める係は、親や教師で、今のハーレイは教師。
もしかして俺の出番なのか、とハーレイは身構えた。
ブルーの担任ではないけれど、守り役として対処すべき。
「お前、その手のヤツで、困ってるのか?」
どうなんだ、と確認したら、ブルーはコクリと頷いた。
「ちょっぴりだけどね…。基本は仲良しだから」
「なるほどなあ…」
ありがちなヤツだ、とハーレイには直ぐに分かった。
子供同士は、歯止めが利きにくい。
最初は軽い悪戯や意地悪、それが次第に加速してゆく。
相手の気持ちが分からないから、加減も知らない。
(嫌がられていない、と勘違いして…)
大人しい子に、やっちまうんだ、と教師の勘が告げている。
きっとブルーも、巻き込まれたのだろう。
(とはいえ、もう解決の糸口、見えているよな)
俺は背中を押すだけでいい、とハーレイは少しホッとした、
こういうトラブルが起きた時には、行動力が肝になる。
「やられている子」が、「嫌だ」と気持ちを伝えること。
(口で言うのが一番なんだが、やり返すってのも…)
ストレートに伝わるから、方法の一つには違いない。
ブルーに「その気」があるのだったら、そうしてもいい。
(もっとも、こいつに、出来るんだろうか?)
なんと言っても、ブルーだしな、と心配ではある。
大人しい上に、前の生では「ソルジャー・ブルー」。
「自分一人が我慢すれば」で、メギドまで飛んだほど。
(…どうするかなあ…)
背中の押し方、と悩ましい。
「やり返していい」と言った所で、ブルーが従うかどうか。
それでも、此処は押すべきだろう。
勢いをつけてやらないと、と励ましてやることにした。
「そうだな、やり返すというのも、止めはしないぞ」
一発、ガツンとやって来い、とハーレイはウインクした。
「悪戯なんだか、意地悪なんだか、俺は知らんが」
「やり返してやった方がいいわけ?」
じっと我慢をしてるよりも、とブルーが確認する。
「ホントにいいの?」と、赤い瞳を瞬かせて。
「ああ。でないと、ソレは収まらんしな」
お前のサイオンは不器用すぎて、とハーレイは付け加える。
「普通だったら、なんとなくでも伝わることもあるが…」
「ぼくだと、ぼくの気持ちは、分かって貰えないしね…」
「そういうことだ。親や教師の出番が来ちまう」
まず、お互いを理解しろ、と割って入りに、と苦笑い。
「そうなる前に、やり返してやれ」
相手に気持ちを伝えるんだ、とハーレイは背中を押した。
「遠慮しないで、ガッツンとな!」
やられた通りにやって来い、とブルーを励ます。
そうしたら…。
「分かった、ハーレイ、意地悪で嫌い!」
大嫌いだってば、とブルーは拳をグッと握った。
「やり返してやる!」
いつも叩かれてばかりだしね、とハーレイの頭をゴッツン。
椅子から立って、パッと側に来て、真上から一発。
「うわっ、何をするんだ!?」
「ハーレイ、自分で言ったじゃない!」
やり返した方がいいって、とブルーは勝ち誇った笑み。
「キスの代わりに、コレばっかりだもの!」
悪戯なのか、意地悪なのか、分かんないけど、という理屈。
(……うーむ……)
逆の立場になっちまった、とハーレイは頭を抱えるだけ。
ブルーが言うのも、一理あるから。
いくら理由を並べてみたって、ブルーから見れば意地悪。
(…やり返されるしかないよなあ…)
痛かったぞ、と白旗を掲げて、仲直り。
キスはしないで、ひたすら「すまん」と謝り続けて…。
やられっ放しは・了
良くないのかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? やられっ放し?」
急にどうした、とハーレイはポカンとした。
ブルーは大人しい子だから、何かされているのだろうか。
「うん。悪戯とか、意地悪とか、色々あるでしょ?」
やり返した方がいいものなの、とブルーは続けた。
なんとも物騒な話ではある。
ハーレイは、一気に緊張した。
人間が全てミュウの今では、深刻なトラブルは起こらない。
そうなる前に、互いに思念で理解し合って、それで解決。
(しかしだ…)
子供の場合は、まだバランスが上手く取れない。
「理解し合おう」と考える前に、口や手が先に出がち。
止める係は、親や教師で、今のハーレイは教師。
もしかして俺の出番なのか、とハーレイは身構えた。
ブルーの担任ではないけれど、守り役として対処すべき。
「お前、その手のヤツで、困ってるのか?」
どうなんだ、と確認したら、ブルーはコクリと頷いた。
「ちょっぴりだけどね…。基本は仲良しだから」
「なるほどなあ…」
ありがちなヤツだ、とハーレイには直ぐに分かった。
子供同士は、歯止めが利きにくい。
最初は軽い悪戯や意地悪、それが次第に加速してゆく。
相手の気持ちが分からないから、加減も知らない。
(嫌がられていない、と勘違いして…)
大人しい子に、やっちまうんだ、と教師の勘が告げている。
きっとブルーも、巻き込まれたのだろう。
(とはいえ、もう解決の糸口、見えているよな)
俺は背中を押すだけでいい、とハーレイは少しホッとした、
こういうトラブルが起きた時には、行動力が肝になる。
「やられている子」が、「嫌だ」と気持ちを伝えること。
(口で言うのが一番なんだが、やり返すってのも…)
ストレートに伝わるから、方法の一つには違いない。
ブルーに「その気」があるのだったら、そうしてもいい。
(もっとも、こいつに、出来るんだろうか?)
なんと言っても、ブルーだしな、と心配ではある。
大人しい上に、前の生では「ソルジャー・ブルー」。
「自分一人が我慢すれば」で、メギドまで飛んだほど。
(…どうするかなあ…)
背中の押し方、と悩ましい。
「やり返していい」と言った所で、ブルーが従うかどうか。
それでも、此処は押すべきだろう。
勢いをつけてやらないと、と励ましてやることにした。
「そうだな、やり返すというのも、止めはしないぞ」
一発、ガツンとやって来い、とハーレイはウインクした。
「悪戯なんだか、意地悪なんだか、俺は知らんが」
「やり返してやった方がいいわけ?」
じっと我慢をしてるよりも、とブルーが確認する。
「ホントにいいの?」と、赤い瞳を瞬かせて。
「ああ。でないと、ソレは収まらんしな」
お前のサイオンは不器用すぎて、とハーレイは付け加える。
「普通だったら、なんとなくでも伝わることもあるが…」
「ぼくだと、ぼくの気持ちは、分かって貰えないしね…」
「そういうことだ。親や教師の出番が来ちまう」
まず、お互いを理解しろ、と割って入りに、と苦笑い。
「そうなる前に、やり返してやれ」
相手に気持ちを伝えるんだ、とハーレイは背中を押した。
「遠慮しないで、ガッツンとな!」
やられた通りにやって来い、とブルーを励ます。
そうしたら…。
「分かった、ハーレイ、意地悪で嫌い!」
大嫌いだってば、とブルーは拳をグッと握った。
「やり返してやる!」
いつも叩かれてばかりだしね、とハーレイの頭をゴッツン。
椅子から立って、パッと側に来て、真上から一発。
「うわっ、何をするんだ!?」
「ハーレイ、自分で言ったじゃない!」
やり返した方がいいって、とブルーは勝ち誇った笑み。
「キスの代わりに、コレばっかりだもの!」
悪戯なのか、意地悪なのか、分かんないけど、という理屈。
(……うーむ……)
逆の立場になっちまった、とハーレイは頭を抱えるだけ。
ブルーが言うのも、一理あるから。
いくら理由を並べてみたって、ブルーから見れば意地悪。
(…やり返されるしかないよなあ…)
痛かったぞ、と白旗を掲げて、仲直り。
キスはしないで、ひたすら「すまん」と謝り続けて…。
やられっ放しは・了
「ねえ、ハーレイ。素直になるのは…」
大切だよね、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 急にどうした?」
お前は素直なんじゃないのか、とハーレイは尋ね返した。
今のブルーは、子供だけあって、素直だと思う。
自分の気持ちを隠すよりかは、直接ぶつけて来るタイプ。
(…これ以上、素直になられてもなあ…)
我儘になってしまうだけでは、と首を傾げるしかない。
するとブルーは、「ちょっぴり、反省中…」と口籠った。
「今のぼくじゃなくって、前のことなんだけど…」
後悔先に立たずで、もう遅いけどね、と溜息を零して。
「前のお前だって?」
確かに素直じゃなかったかもな、とハーレイは大きく頷く。
前のブルーは「自分に対して」素直とは言えなかった。
自分さえ我慢していれば、と様々な気持ちを押し殺した。
「それで? 今になってから、反省中だ、と?」
「そう…。失敗しちゃっていたのかも、ってね…」
もしも素直になっていたなら、とブルーは昔話を始めた。
「アルテメシアから逃げた直後も、そうなんだけど…」
ジョミーに「頼む」と言えていたら、とブルーは俯く。
「ナスカの時でも、それと同じで…」
一人で全部しようとしないで、話せば良かった、と。
「メギドに飛んで行っちまったことだな?」
ジョミーに後を頼んだだけで、とハーレイはブルーを睨む。
「お前がジョミーを頼っていたら、全て変わった」と。
「…分かってる…」
ホントに素直じゃなかったよね、とブルーは猛省中らしい。
ブルーが言うには、メギド以前に素直になるべき。
目覚めた直後の騒ぎはともかく、その後にあったチャンス。
「ナスカに残った仲間たちだけど、ぼくが目覚めて…」
地球に行きたいと言ってたらどう、とブルーは問うた。
「みんなを残して行けはしないし、船に乗ってくれ、って」
「なるほどな…。ジョミーの頼みじゃ、誰も聞かんが…」
ソルジャー・ブルーとなれば違うな、とハーレイも認めた。
十五年間も眠ったままでも、前のブルーは偉大な指導者。
目覚めて「行こう」と宣言されたら、逆らう者などいない。
「そうでしょ? ぼくはホントに、地球を見たかったし…」
寿命が尽きるとしても、行きたかった、とブルーは返した。
「どうしても見たい、って素直になれていたらね…」
「そうかもしれん…」
時すでに遅しというものだが、とハーレイも嘆きたくなる。
前のブルーが素直だったら、色々と違っていたのだろう。
遠く遥かな時の彼方で、素直になれずに生きた前のブルー。
そう生きるしかなかったとはいえ、反省点は存在する。
今の平和な時代に振り返ってみれば、間違えていた選択肢。
「前のブルーが犠牲になる」より、回り道でも選べた進路。
長い時間がかかったとしても、時代はミュウに味方した筈。
「…お前、失敗しちまったんだな…」
「そうみたい…。だから、とっても思うんだけど…」
ハーレイにも失敗して欲しくない、とブルーは真剣な口調。
「今のハーレイ、自分に素直になれてないもの…」
「なんだって?」
俺は自由に生きているが、とハーレイは瞳を瞬かせた。
仕事をしている時はあっても、自分を殺してなどはいない。
上手く手抜きをしてみたりもして、前よりも楽だと言える。
「キャプテン・ハーレイ」だった頃には、不可能だった。
自分に素直に生きているのに、ブルーの指摘は心外すぎる。
(…はて…?)
いったい何処が素直じゃないんだ、とハーレイは首を捻る。
思い当たるような節は無いから、途惑うしかない。
するとブルーは、「やっぱりね…」と呆れ返った顔をした。
「ハーレイも、前のぼくの場合に似ているのかも…」
そんな風に生きるしか道が無いから、と赤い瞳に同情の光。
「ごめんね、ぼくの姿が子供だから…」
ハーレイ、素直になれないんでしょ、とブルーは嘆いた。
「育った姿で出会えていたら、違ってたのに…」
素直に生きた方がいいと思うよ、とブルーが近付いて来る。
「キスくらいだったら、してもいいから」と。
(……そう来たか……!)
その手に乗ってたまるもんか、とハーレイは拳を握った。
「馬鹿野郎!」
真剣に聞いた俺も馬鹿だったが、とブルーの頭に軽く一発。
悪戯小僧には、素直に「お仕置き」するべき。
素直に生きた方がいいなら、心のままに、コッツンと…。
素直になるのは・了
大切だよね、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 急にどうした?」
お前は素直なんじゃないのか、とハーレイは尋ね返した。
今のブルーは、子供だけあって、素直だと思う。
自分の気持ちを隠すよりかは、直接ぶつけて来るタイプ。
(…これ以上、素直になられてもなあ…)
我儘になってしまうだけでは、と首を傾げるしかない。
するとブルーは、「ちょっぴり、反省中…」と口籠った。
「今のぼくじゃなくって、前のことなんだけど…」
後悔先に立たずで、もう遅いけどね、と溜息を零して。
「前のお前だって?」
確かに素直じゃなかったかもな、とハーレイは大きく頷く。
前のブルーは「自分に対して」素直とは言えなかった。
自分さえ我慢していれば、と様々な気持ちを押し殺した。
「それで? 今になってから、反省中だ、と?」
「そう…。失敗しちゃっていたのかも、ってね…」
もしも素直になっていたなら、とブルーは昔話を始めた。
「アルテメシアから逃げた直後も、そうなんだけど…」
ジョミーに「頼む」と言えていたら、とブルーは俯く。
「ナスカの時でも、それと同じで…」
一人で全部しようとしないで、話せば良かった、と。
「メギドに飛んで行っちまったことだな?」
ジョミーに後を頼んだだけで、とハーレイはブルーを睨む。
「お前がジョミーを頼っていたら、全て変わった」と。
「…分かってる…」
ホントに素直じゃなかったよね、とブルーは猛省中らしい。
ブルーが言うには、メギド以前に素直になるべき。
目覚めた直後の騒ぎはともかく、その後にあったチャンス。
「ナスカに残った仲間たちだけど、ぼくが目覚めて…」
地球に行きたいと言ってたらどう、とブルーは問うた。
「みんなを残して行けはしないし、船に乗ってくれ、って」
「なるほどな…。ジョミーの頼みじゃ、誰も聞かんが…」
ソルジャー・ブルーとなれば違うな、とハーレイも認めた。
十五年間も眠ったままでも、前のブルーは偉大な指導者。
目覚めて「行こう」と宣言されたら、逆らう者などいない。
「そうでしょ? ぼくはホントに、地球を見たかったし…」
寿命が尽きるとしても、行きたかった、とブルーは返した。
「どうしても見たい、って素直になれていたらね…」
「そうかもしれん…」
時すでに遅しというものだが、とハーレイも嘆きたくなる。
前のブルーが素直だったら、色々と違っていたのだろう。
遠く遥かな時の彼方で、素直になれずに生きた前のブルー。
そう生きるしかなかったとはいえ、反省点は存在する。
今の平和な時代に振り返ってみれば、間違えていた選択肢。
「前のブルーが犠牲になる」より、回り道でも選べた進路。
長い時間がかかったとしても、時代はミュウに味方した筈。
「…お前、失敗しちまったんだな…」
「そうみたい…。だから、とっても思うんだけど…」
ハーレイにも失敗して欲しくない、とブルーは真剣な口調。
「今のハーレイ、自分に素直になれてないもの…」
「なんだって?」
俺は自由に生きているが、とハーレイは瞳を瞬かせた。
仕事をしている時はあっても、自分を殺してなどはいない。
上手く手抜きをしてみたりもして、前よりも楽だと言える。
「キャプテン・ハーレイ」だった頃には、不可能だった。
自分に素直に生きているのに、ブルーの指摘は心外すぎる。
(…はて…?)
いったい何処が素直じゃないんだ、とハーレイは首を捻る。
思い当たるような節は無いから、途惑うしかない。
するとブルーは、「やっぱりね…」と呆れ返った顔をした。
「ハーレイも、前のぼくの場合に似ているのかも…」
そんな風に生きるしか道が無いから、と赤い瞳に同情の光。
「ごめんね、ぼくの姿が子供だから…」
ハーレイ、素直になれないんでしょ、とブルーは嘆いた。
「育った姿で出会えていたら、違ってたのに…」
素直に生きた方がいいと思うよ、とブルーが近付いて来る。
「キスくらいだったら、してもいいから」と。
(……そう来たか……!)
その手に乗ってたまるもんか、とハーレイは拳を握った。
「馬鹿野郎!」
真剣に聞いた俺も馬鹿だったが、とブルーの頭に軽く一発。
悪戯小僧には、素直に「お仕置き」するべき。
素直に生きた方がいいなら、心のままに、コッツンと…。
素直になるのは・了
「ねえ、ハーレイ。過保護にするのは…」
良くないよね、と小さなブルーが、ぶつけた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 過保護って…?」
お前の場合は違うだろう、とハーレイは直ぐに返した。
今のブルーも、前と同じに虚弱体質。
必然的に、両親が手を掛けて世話をすることになる。
「お前、身体が弱いんだからな?」
お母さんたちは過保護ではない、と諭すように説明した。
束縛されているように感じるとしても、それは違う、と。
「いいか、お母さんたちは、お前のことを考えて…」
「分かってるってば、そうじゃなくって…」
一般論の話なんだよ、とブルーは少し困った顔をしている。
「ぼくも確かに、過保護っぽいけれどね」と。
「すまん、別件だったんだな?」
勘違いをして悪かった、とハーレイは詫びた。
ブルーの問いが急だっただけに、早とちりした、と潔く。
「きちんと聞いてから、答えるべきだった…」
「ううん、ちっとも。ぼくの方にも、非があるんだし」
それでね、とブルーは話を元に戻した。
「過保護にする人、少なくないけど、どう思う?」
「うーむ…。前の俺たちの時代とは違うからなあ…」
マニュアル通りの育児じゃないぞ、とハーレイは首を捻る。
SD体制の時代だったら、育児は違った。
機械が教えたマニュアル通りに育てるだけで、子は育った。
ついでに言うなら、実子ではなくて、養子を育てた世界。
「そうだね…。自分の子供だと、うんと事情が…」
変わっちゃうよね、とブルーは大きく頷いた。
「カリナなんかは、そのせいで命を落としちゃった」とも。
カリナは、過保護だったわけではない。
ただ、愛情が深くて大きすぎた。
トォニィを失ったと思い込んだせいで、自分を追い込んだ。
前のハーレイは、ブルーと違って、現場を見ている。
だから「そうだったな…」と深い溜息を零すことになった。
「カリナの場合は、少し違うが、過保護すぎて…」
子供も自分も縛っちまう親は確かにいる、とフウと溜息。
「その点については、機械も悪くはなかったかもな」とも。
「やっぱり? 相談役で、アドバイザーだったしね…」
育児についてのプロだったよ、とブルーも頷く。
「もしも機械が今もあったら、過保護、ダメかな?」
「そうなるだろう。ユニバーサルからの、お呼び出しで…」
子育て方針を指導されるな、とハーレイは苦笑する。
「もっと手抜きを」と、テラズナンバー直々の仰せだ、と。
「そっか、ハーレイの考え、ぼくと同じなんだね?」
「そうだな、過保護は良くない。事情にもよるんだが…」
お前の場合は違うわけだし、安心しろ、と太鼓判を押した。
「大丈夫だから、今まで通りでいていいんだ」と。
「でも…。それは身体が弱いって部分だけでさ…」
他の部分は普通なんだし、とブルーは真剣な表情になった。
「ぼくに過保護なのは、ハーレイなんだし…」
「はあ? 俺が過保護に扱ってるのも…」
お母さんたちと同じ事情だ、とハーレイは即座に否定する。
「病気の時に野菜スープを作ってやるのも、その一つだぞ」
「そうじゃなくって、子供扱い…」
キスをするには早すぎるって、とブルーは唇を尖らせた。
「過保護だと思う」と、赤い瞳で睨み付けて。
「ぼくの中身は、前と全く同じなのに」と、恨みがましく。
(そう来やがったか…!)
今日もやられた、とハーレイは拳を軽く握った。
「馬鹿野郎! その件にしても、過保護ではない!」
今のお前は子供なんだし、俺は正しい、とブルーを叱る。
「お前に自覚が無いというだけで、充分、子供だ!」
過保護と違って配慮だしな、と銀色の頭をコツンと叩いた。
「勘違いするな」と、罠にはめようとした「悪い子供」を。
計略だけは一人前な「今のブルー」に、お仕置きとして…。
過保護にするのは・了
良くないよね、と小さなブルーが、ぶつけた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 過保護って…?」
お前の場合は違うだろう、とハーレイは直ぐに返した。
今のブルーも、前と同じに虚弱体質。
必然的に、両親が手を掛けて世話をすることになる。
「お前、身体が弱いんだからな?」
お母さんたちは過保護ではない、と諭すように説明した。
束縛されているように感じるとしても、それは違う、と。
「いいか、お母さんたちは、お前のことを考えて…」
「分かってるってば、そうじゃなくって…」
一般論の話なんだよ、とブルーは少し困った顔をしている。
「ぼくも確かに、過保護っぽいけれどね」と。
「すまん、別件だったんだな?」
勘違いをして悪かった、とハーレイは詫びた。
ブルーの問いが急だっただけに、早とちりした、と潔く。
「きちんと聞いてから、答えるべきだった…」
「ううん、ちっとも。ぼくの方にも、非があるんだし」
それでね、とブルーは話を元に戻した。
「過保護にする人、少なくないけど、どう思う?」
「うーむ…。前の俺たちの時代とは違うからなあ…」
マニュアル通りの育児じゃないぞ、とハーレイは首を捻る。
SD体制の時代だったら、育児は違った。
機械が教えたマニュアル通りに育てるだけで、子は育った。
ついでに言うなら、実子ではなくて、養子を育てた世界。
「そうだね…。自分の子供だと、うんと事情が…」
変わっちゃうよね、とブルーは大きく頷いた。
「カリナなんかは、そのせいで命を落としちゃった」とも。
カリナは、過保護だったわけではない。
ただ、愛情が深くて大きすぎた。
トォニィを失ったと思い込んだせいで、自分を追い込んだ。
前のハーレイは、ブルーと違って、現場を見ている。
だから「そうだったな…」と深い溜息を零すことになった。
「カリナの場合は、少し違うが、過保護すぎて…」
子供も自分も縛っちまう親は確かにいる、とフウと溜息。
「その点については、機械も悪くはなかったかもな」とも。
「やっぱり? 相談役で、アドバイザーだったしね…」
育児についてのプロだったよ、とブルーも頷く。
「もしも機械が今もあったら、過保護、ダメかな?」
「そうなるだろう。ユニバーサルからの、お呼び出しで…」
子育て方針を指導されるな、とハーレイは苦笑する。
「もっと手抜きを」と、テラズナンバー直々の仰せだ、と。
「そっか、ハーレイの考え、ぼくと同じなんだね?」
「そうだな、過保護は良くない。事情にもよるんだが…」
お前の場合は違うわけだし、安心しろ、と太鼓判を押した。
「大丈夫だから、今まで通りでいていいんだ」と。
「でも…。それは身体が弱いって部分だけでさ…」
他の部分は普通なんだし、とブルーは真剣な表情になった。
「ぼくに過保護なのは、ハーレイなんだし…」
「はあ? 俺が過保護に扱ってるのも…」
お母さんたちと同じ事情だ、とハーレイは即座に否定する。
「病気の時に野菜スープを作ってやるのも、その一つだぞ」
「そうじゃなくって、子供扱い…」
キスをするには早すぎるって、とブルーは唇を尖らせた。
「過保護だと思う」と、赤い瞳で睨み付けて。
「ぼくの中身は、前と全く同じなのに」と、恨みがましく。
(そう来やがったか…!)
今日もやられた、とハーレイは拳を軽く握った。
「馬鹿野郎! その件にしても、過保護ではない!」
今のお前は子供なんだし、俺は正しい、とブルーを叱る。
「お前に自覚が無いというだけで、充分、子供だ!」
過保護と違って配慮だしな、と銀色の頭をコツンと叩いた。
「勘違いするな」と、罠にはめようとした「悪い子供」を。
計略だけは一人前な「今のブルー」に、お仕置きとして…。
過保護にするのは・了
