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飼い主がいたなら
(ウサギになりたかったんだよね…)
 小さかった頃は、とブルーが、ふと考えたこと。
 ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
 お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
(幼稚園にいたウサギ、元気そうだったから…)
 ウサギになれたら楽しそうだ、と思って、仲間入りがしたかった。
 あの時、ウサギになっていたなら、ハーレイとの出会いは難しそう。
(…前にハーレイに、この話をしたら、仲間になってくれるって…)
 ハーレイは頼もしい言葉をくれたけれども、出会いからして、人間同士のようにはいかない。
 それに、ハーレイも一緒にウサギにならない限り、野原で暮らすウサギは厳しいだろう。
(ぼくが自分で、巣穴を掘って、ご飯を探して頑張らないと…)
 生きてゆけないから、幼稚園にいたウサギみたいに、飼われているウサギが向いている。
 ウサギ用の小屋を持っていて、庭で気ままに跳ね回るウサギがいい。
(…庭にいるトコへ、ハーレイが通り掛かって…)
 見付けてくれたら出会えるわけで、その後の暮らしは、ハーレイ次第。
 揃ってウサギになってもいいし、ハーレイが貰い受けてくれて、飼ってくれるのも良さそう。
(ハーレイと一緒に暮らせるんなら、どっちでもいいよね)
 野原暮らしのウサギになっても、ハーレイの家のペットでも幸せなのに違いない。


 ウサギの暮らしも悪くはなさそう、と思うけれども、出会うチャンスが少ないのが難点。
(ハーレイの散歩と、ぼくが庭に出ている時間が合わないと…)
 お互い、気付かないまま、擦れ違ってしまう。
(…うーん…。ぼくがウサギじゃ、難しいかな…)
 ウサギは散歩に行かない生き物だしね、とブルーの頭に浮かんだのは、別の生き物。
 毎日、散歩に行くと言ったら、犬だろう。
(ぼくが公園で散歩してたら、ハーレイがジョギングで走って来るんだよ)
 そのハーレイに「やっと会えたよ!」と叫んだならば、気付いて貰える。
 声は犬でも、姿形も人でなくても。
(だってハーレイ、どんな姿になった、ぼくでも…)
 見付けられると言っているから、大丈夫。
 「おっ、ブルー!?」と、大急ぎで駆けて来るだろう。
 リードを握った飼い主の方に、まずは挨拶、それから「犬のブルー」にも…。
(元気そうな子だな、と頭を撫でてくれそうだよね!)
 それとも「お利口そうな子ですね」と、飼い主を見ながら言うのだろうか。
 どっちにしたって、自然な出会いで、ハーレイの口から「ブルー」の名前が出たら最高。
(犬のぼく、名前が何かは分からないもの…)
 飼い主が決めた名前なのだし、「ブルー」になるとは限らない。
 ハーレイは、飼い主に「この子の名前は、何でしょう?」と尋ねて、その名で呼ぶ。
 名前が「ブルー」でなかった時には、「ブルー」とは呼んで貰えない。
 あの懐かしい声で、「ブルー」と呼ばれたくても、違う名前しか出て来ない。


(…それって、悲しい…)
 せっかく再会出来たというのに、ハーレイは「ブルー」と呼んでくれない。
 おまけに、ジョギングの途中なのだし、そうそう長くはいてくれないだろう。
(ぼくの飼い主だって、変だと思いそうだし…)
 いくらハーレイが「犬好き」に見えたとしても、立ち話出来るのは、五分ほどかもしれない。
(ハーレイも犬を連れていたなら、もっと、ゆっくり…)
 飼い主同士で話せるのにね、と項垂れたはずみに、掠めた考え。
(…ハーレイの方も、犬だったら…?)
 犬同士、公園で出会ったのなら、と思考が別の方向を向いた。
 ハーレイも犬に生まれ変わっていて、散歩コースで、「ブルー」と出会う。
 そっちの方なら、もう少し長く一緒にいられそう。
 再会した後も、散歩の時間が合ったら、何度でも会える。
 犬は毎日、散歩するから、飼い主同士で時間合わせをしてくれれば、毎日でも。
(流石に、雨の日は無理だろうけど…)
 ぼくが犬なら、小型犬だろうし、と白くて小さな犬を思い浮かべた。
 様々な種類の犬がいるから、どれになるかは分からない。
(ハーレイは、きっと、もっと大きい種類の犬で…)
 頼もしそうな犬なんだよね、と大型犬を想像していて、ハタと気付いた。
 小型の犬と、大型の犬が、公園で出会った場合、飼い主たちは、どう動くだろう。


(ハーレイの飼い主、リードを、グッと握って…)
 犬のハーレイが「犬のブルー」を驚かせないように、距離を取りそう。
 ハーレイが大人しい種類の犬にしたって、用心に越したことはない。
(犬にも相性、あるみたいだから…)
 万一があれば、ハーレイは「ブルー」に吠えてかかるし、それは良くない。
 犬のブルーを飼っている方も、大型犬のハーレイを目にした途端に、回れ右して…。
(今日は、こっちに行きましょうね、って…)
 ハーレイを避けて、急ぎ足で公園を出るかもしれない。
 そうなってしまえば、「犬のハーレイ」とは、出会っただけでおしまい。
(待って、ハーレイ! って、ぼくが叫んでも…)
 ブルーの飼い主には、無謀に思えてしまうのだろう。
 大型犬の怖さを知らない「ブルー」が、喧嘩を吹っ掛けていると勘違いして。
(縄張り意識、あるものね…)
 いつもの散歩コースを変えられたのだし、「あの犬のせいだ!」と怒り出したとか。
(そうじゃないのに、犬の言葉は、人間に通じないから…)
 ハーレイの飼い主の方も、「これはまずい」と考えそう。
 自分の犬が「小さな犬」を挑発したかのようで、何か起きたら、大型犬だけに大惨事になる。
(どっちかのリード、離れちゃったら…)
 大型犬のハーレイは全力疾走、ブルーをガップリ噛むかもしれない。
 走り出したのがブルーの方でも、犬のハーレイに挑みかかって、ガブリとやられる。


(…両方の飼い主、そう思うよね…)
 犬同士だったら起こりそうだし、と恐ろしくなった。
 ほんの一瞬、再会しただけで、次は無い出会い。
 飼い主は散歩コースを変えてしまうか、遠くから見掛けて、その日はコース変更になる。
(…そんなの、酷い…!)
 飼い主がいたなら、そうなっちゃうんだ、と思うものだから、人間で良かった。
 小さかった頃の夢が叶って、ウサギになっていたって、上手く運びはしなかっただろう。
(…飼い主がいたなら、ウサギ人生、飼い主次第になっちゃうものね…)
 神様に感謝しなくっちゃ、とブルーは聖痕をくれた神に向かって、お礼の言葉を繰り返す。
 「人間にしてくれて、ありがとう!」と、ハーレイの分も合わせて、何回も…。



※ウサギになりたかったブルー君。ウサギよりも犬の方がいい、と考えたのですけど。
 犬同士で出会った場合は、その後のことは、飼い主次第。人間に生まれるのが一番ですv






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