どうも、管理人の「みゆ」でございます。画像は「そるじゃぁ・ぶるぅ」君ですが。
ハレブル別館に置いてる、拍手御礼ショートショート。
月に一回入れ替えてますが、諸事情あってハレブル別館には置けませんでした。
流れ去ったショートの再録場所が要るんだよね、と前から一応、思っていたです。
この際、置き場所作ってみるかな、と作ってみました。
書き下ろしショートも置いてますから、のんびり遊んで下さいね~。
※お知らせ。![]()
書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
拍手システム入れてみました、お気に入りがあればポチッとどうぞ。
過去の拍手御礼ショートショートと書き下ろしショートの目次は、こちら。
タイトルをクリックで御覧になれます。
※書き下ろしショートの時間軸には「順番」は全くありません。![]()
何処から読んでも無問題ですv
拍手その1・それぞれの場所:いつも座る席を取り替えたら…。
拍手その2・毎日が幸せ:毎日が幸せなブルー君。
拍手その3・考え事:ハーレイの声を聞いていたら…。
拍手その4・帰っちゃ嫌:ハーレイが家に帰るのは嫌。
拍手その5・熱々の季節:暑い夏でもくっつきたい!
書き下ろし1・ハーレイのスープ:ブルーのために作る野菜のスープ。
書き下ろし2・恋人が出来た:思いがけずも出来た恋人。
書き下ろし3・痛かったけれど:痛かったけれど、聖痕は宝物。
書き下ろし4・洗車 :ハーレイ、愛車を洗うの巻。
書き下ろし5・断られたキス:再会のキスも出来なかったなんて…。
書き下ろし6・軽すぎるペン:羽根ペンが軽すぎる、慣れないハーレイ。
書き下ろし7・眠っていたから:ハーレイのベッドに瞬間移動が出来たのに…。
拍手その6・足音:ハーレイの足音は分かるのです。
書き下ろし8・再会:ブルーが起こした聖痕現象、ハーレイ視点。
書き下ろし9・魔法のスープ:ハーレイが作ってくれる野菜スープの魔法。
書き下ろし10・腕で作る輪:腕で作る輪、それに収まるブルーの身体。
書き下ろし11・夢みたいだけど:今の身体に生まれ変わったブルー。
書き下ろし12・大好きの言葉:ハーレイに何度も言いたい「大好き」。
書き下ろし13・船と車と:シャングリラよりも車が似合いのハーレイ。
書き下ろし14・小さな手だけど:小さな手でも、ブルーの右手は幸せ者。
書き下ろし15・チビでも愛しい:どんなにチビでも、愛しいブルー。
書き下ろし16・恋人は先生:恋人が先生だなんて、絶対に内緒。
書き下ろし17・いじらしい敬語:学校ではハーレイに敬語なブルー。
書き下ろし18・学校とブリッジ:学校とブリッジは似ているような…。
書き下ろし19・柔道部は無理:ブルーが柔道部に入れたら…。
書き下ろし20・学校に行きたい:熱を出して学校はお休みなブルー。
拍手その7・小さな躊躇い:床に落としたベリー、食べてもいい?
書き下ろし21・おふくろのケーキ:ハーレイの好物、パウンドケーキ。
書き下ろし22・ママのケーキ :ハーレイのために焼きたいパウンドケーキ。
書き下ろし23・贅沢な朝食 :ハーレイの朝食、前世と比べたらとても贅沢。
書き下ろし24・朝食の風景:食の細いブルー君の朝の食卓。
書き下ろし25・変わっちゃいない:前世も今も、ハーレイはハーレイ。
書き下ろし26・変わってないけど:前世も今も、ブルーはブルー。
書き下ろし27・長袖のワイシャツ:夏でも長袖のハーレイ、前世のせいかも?
書き下ろし28・みんなと同じ服:今のブルーの制服は、他のみんなと全く同じ。
書き下ろし29・気に入りの書斎:ハーレイの書斎、実はキャプテン・ハーレイ好み?
書き下ろし30・帰りたい部屋 :青の間にホームシックなブルー。その理由は?
書き下ろし31・忘れた買い物:買い忘れても大丈夫。そういう世界にいるハーレイ。
書き下ろし32・忘れられた買い物:買い忘れられても、今は大丈夫。ブルーの世界。
書き下ろし33・ぼくがチビでも:「ぼくがチビでも悲しくない?」と訊いたのに…。
書き下ろし34・キャンプ用の椅子:キャンプ用の椅子でブルーとデート。
書き下ろし35・白いテーブル:キャンプ用のテーブルでハーレイとデート。
拍手その8・温もりが欲しい:夏でもハーレイの温もりが欲しい、ブルーの右手。
書き下ろし36・ブルーが足りない:会えなくてブルー不足なハーレイ。
書き下ろし37・ハーレイが足りない:会えなくてハーレイ不足なブルー。
書き下ろし38・久しぶりに会えた:ブルー不足とハーレイ不足な日々に終止符。
書き下ろし39・天の川を泳ごう:ブルーに会うためなら、天の川でも泳ぎ渡れる。
書き下ろし40・天の川の幅:広い天の川でも、ハーレイは泳いで渡ってくれる。
書き下ろし41・天の川を渡って:天の川に隔てられても、会える筈の二人。
書き下ろし42・叶えてやれない:ブルーの願いは叶えてやりたいけれど…。
書き下ろし43・叶えてくれない:願いを叶えてくれないハーレイなんて…。
書き下ろし44・もう一人いれば:一人の夕食。もしもブルーがいてくれれば…。
書き下ろし45・いて欲しい人:一人でおやつ。ハーレイがいてくれたなら…。
書き下ろし46・見られない蛍:去年までなら蛍見物。今のハーレイは…。
書き下ろし47・見てみたい蛍:ハーレイと蛍を見に行けたなら…。
書き下ろし48・飛べないあいつ:空を飛べないブルーが愛しい。
書き下ろし49・飛べないぼく:ハーレイに見せてあげたい、空を飛ぶ姿。
書き下ろし50・あいつの背丈:背丈が伸びなくても、愛おしいブルー。
書き下ろし51・ぼくの背丈:どうして背丈が伸びないのか。ブルーの悩み。
書き下ろし52・ブルー日和:今日のような日はブルー日和、と思うハーレイ。
書き下ろし53・ハーレイ日和:こんな日はきっとハーレイ日和、と思うブルー。
拍手その9・可哀相な動物:可哀相な動物がいるんだけれど、とブルーの主張。
書き下ろし54・歩いてゆける地面:ブルーの所へ歩いてゆける地面。地球の上を。
書き下ろし55・歩きたい地面 :ハーレイが歩いただろう地面を歩きたいブルー。
書き下ろし56・降りそうな天気:雨が降るかも。キャプテンは勘に頼れないけれど…。
書き下ろし57・降りそうだけど:地球に降る雨の最初の一粒。見てみたいブルー。
書き下ろし58・恋人がいるだけで:恋人がいるというだけで浮き立つハーレイの心。
書き下ろし59・恋人がいるから:恋人がいるから、寝込んでも心は幸せなブルー。
書き下ろし60・走ってゆける:思い立ったら、ひとっ走りしに行ける今のハーレイ。
書き下ろし61・走ってゆきたい:ハーレイの家まで走って行けたら、と思うブルー。
書き下ろし62・キスは駄目だ:キスは駄目だと何度叱っても、諦めないブルー。
書き下ろし63・キスが欲しいのに:キスが欲しいのに、くれないハーレイ。
書き下ろし64・今度は掴める:今度は掴めるブルーの手。行ってしまう前に。
書き下ろし65・今度は失くさない:何度でも貰えるハーレイの温もり。
書き下ろし66・ずっと愛してる:生まれ変わっても、愛するのはブルー。
書き下ろし67・ずっと大好き:生まれ変わっても、大好きなハーレイ。
拍手その10・お腹が空かない?:長いことぼくを食べてないでしょ、と訊くブルー。
書き下ろし68・扉を開けたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし69・扉が開いたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし70・暑苦しくない:暑い夏でも、暑苦しくない熱の塊。それがブルー。
書き下ろし71・暑くないから:ハーレイにくっついていても、暑くない夏。
書き下ろし72・行くには早いが:ブルーの家に行くには早いけれども、待てない時間。
書き下ろし73・まだ来ないけど:まだハーレイは来ないけれども、早起きしたら…。
書き下ろし74・よく伸びるんだが:ブルーの背丈とは違って、よく伸びる夏草。
書き下ろし75・よく伸びるんだけど:よく伸びるミントが羨ましくても、自分の背は…。
書き下ろし76・脱いでいい靴:一日中、靴を履いていなくてもいい今のハーレイ。
書き下ろし77・脱いでもいい靴:一日中、靴を履かなくてもいい今のブルー。
書き下ろし78・ブルーの笑顔:前のブルーよりも多い、今のブルーの笑顔の数。
書き下ろし79・ハーレイの笑顔:前の自分だった頃から好きな、ハーレイの笑顔。
書き下ろし80・夢だった地球:今のハーレイには当たり前の地球。夢ではなくて。
書き下ろし81・夢に見た地球:前のブルーが夢に見た地球。今のブルーが暮らす星。
書き下ろし82・暑くなっても:暑さは地球の太陽のせい。ハーレイが気付いた今の幸せ。
書き下ろし83・暑いけれども:暑さは苦手でも、地球の太陽。今のブルーは幸せです。
拍手その11・下手くそになった?:キスが下手くそになったんでしょ、と尋ねるブルー。
書き下ろし84・窓の向こうは:ハーレイが窓の向こうに見た朝日。今の地球の夜明け。
書き下ろし85・窓の向こうに:窓の向こうにいつもある地球。今のブルーなら。
書き下ろし86・あの空を旅した:ハーレイが仰いだ夜空。前世で旅をしていた宇宙。
書き下ろし87・あの空を旅して:ブルーが見上げる夜空。前世で地球を探した宇宙。
書き下ろし88・三日月の夜に:今のハーレイが眺める月。前の自分とは違った視点。
書き下ろし89・チビの三日月:月の方が早く育つなんて、とブルーは膨れっ面で…。
書き下ろし90・川を下る船:川下りの船。いつかブルーを乗せてやろうと思う船。
書き下ろし91・川をゆく船:ハーレイと乗りたい川下りの船。大きくなったら。
書き下ろし92・海が似合う夏:いつかブルーと行きたい海。前世で夢見た地球の海へ。
書き下ろし93・夏が似合う海:いつかハーレイと行きたい海。本物の地球の青い海へ。
書き下ろし94・欲しかった羽根ペン:今のハーレイ。羽根ペンが欲しいと思ったら…。
書き下ろし95・あげたい羽根ペン:ハーレイの誕生日にあげたい羽根ペン。どうする?
書き下ろし96・何でも美味い:何でも美味い、と思うハーレイ。多分、前世のせいで。
書き下ろし97・何でも美味しい:好き嫌いが全く無いブルー。きっと、前世のせいで。
書き下ろし98・作ってやりたい:ブルーに作ってやりたい料理。スープの他にも。
書き下ろし99・作ってあげたい:ハーレイに作ってあげたい、好物のパウンドケーキ。
拍手その12・今が食べ頃:ブルー君曰く、今が自分の旬だとか。
書き下ろし100・同じ顔だが:今のハーレイには別の顔。思いもよらなかった顔。
書き下ろし101・同じ顔だけど:前のぼくの顔じゃない、と溜息をつくチビのブルー。
目次・その2: ←102話以降の目次は、こちらv![]()
こちらからも行けます→ http://bluestone.kyotolog.net/Entry/115/
目次・その3:←302話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→http://bluestone.kyotolog.net/Entry/320/
目次・その4:←518話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→https://bluestone.kyotolog.net/Entry/600/
目次・その5:←602話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→https://bluestone.kyotolog.net/Entry/727/
※お知らせ。![]()
書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
拍手システム入れてみました、励ましにぽちっと…貰えると感謝。
※拍手下さった方、ありがとうございます~!![]()
損なのかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「は? 急にどうした?」
そういう場面に出くわしたのか、とハーレイは尋ねた。
今のブルーも、前のブルーも、大人しいタイプ。
(…もっとも、前のあいつの場合は…)
頑固だった分、補正されていたよな、と考えてしまう。
(確かに根っこは、大人しいんだが…)
こうと決めたら動かないんだ、と悲しい記憶が蘇った。
メギドに飛んで行った時のブルーも、そうだった。
(ナスカの仲間を、説得に行くと言っていたのに…)
実際は、船から打って出るのが目的だった。
今のブルーは、前のブルーほど頑固ではない。
十四歳にしかならないせいか、強く言ったら聞き入れる。
(前のあいつだと、有り得ないことで…)
考えてみれば損をしてるかもな、と思わないでもない。
ついでに言うなら、前のブルーも損をしていた。
大人しいのが本来だけに、自分を強く押し出しはしない。
(厨房で作った、試作メニューを食べる時にも…)
どれほど上手く出来ていようが、おかわりは無し。
皿に盛られて渡された分を食べたら、おしまいだった。
「いいと思うよ」と感想を告げて、厨房の者が勧めても…。
(ぼくはいいから、と出て行っちまって…)
残った分は、他の仲間が奪い合っていた。
ジャンケンだったり、クジを引いたり、それは楽しそうに。
すると、今のブルーは、二重に損なタイプかもしれない。
(…友達が持って来た菓子が余っちまって…)
何人か二個目を貰えそうな時に、今のブルーは主張しない。
「二個目、欲しいな」と言いはしなくて、貰えないまま。
(おまけに、最初に菓子が登場した時も…)
前のブルーの頃と違って、「ブルー用の枠」は無いだろう。
(ソルジャーじゃなくて、友達の一人というだけで…)
ブルー用の菓子を「確保しておく」必要は無い。
人数分の菓子が無ければ、ブルーが食べることは出来ない。
(六人いたって、五個しか無いって場面は多いしなあ…)
欲しい者だけ名乗り出る時、今のブルーも大人しいから…。
(名乗れなくって、枠が無いせいで…)
食べ損ねるのは確実だから、損だと言える。
前のブルーだった場合は、しない損までしている勘定。
(…ふうむ…)
さっきの質問、当然かもな、とハーレイは思い当たった。
珍しい菓子を食べ損なったとか、二個目を貰い損ねたとか。
(ありそうな話なんだよなあ…)
だったら、一押し、背中を押すか、と助言することにした。
「大人しい子は損なのか、と聞かれりゃ、そうだな」
「やっぱり…?」
ぼくって損をしているのかな、とブルーは首を傾げる。
「普段は、気にしていないんだけど…」
「美味い菓子でも、食い損なったか?」
「そんなトコかも…」
残念すぎて、とブルーが項垂れるから、ハーレイは笑んだ。
「分かってるんなら、たまには強く出るのはどうだ?」
損をするよりマシだろうが、とブルーに勧める。
「厚かましいかな、と思うくらいで丁度かもな」と。
ブルーはハーレイの言葉を聞いて、素直にコクリと頷いた。
「じゃあ、強く出てみるようにする」
「その意気だ。お前は、大人しすぎるからな」
「ありがとう、とっても参考になった!」
強く出てみるね、とブルーは、とびきりの笑顔になった。
「ハーレイ、ぼくにキスして!」
「なんだって!?」
「大人しくしてるの、やめにしておく!」
でないと損をしちゃうんだもの、とブルーは自分を指した。
「大人しく我慢してたら、未だにキスが貰えないんだよ?」
遠慮しないで言わなくっちゃ、とブルーが勝ち誇るから…。
「馬鹿野郎!」
そこは大人しくしてるべきだ、とハーレイは叱る。
「厚かましいのはお断りだ」と、「黙っていろ」と…。
大人しい子は・了
今でもブルーなんだよね、と小さなブルーが、ふと思ったこと。
ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
(前のぼくだった時も、ブルーだったから…)
お蔭で、前の自分の記憶が戻った後にも、違和感は無かった。
誰もブルーを「違う名前」で呼びはしないし、途惑ったりする心配は無い。
(もし、今のぼくが、違う名前だったら…)
さぞかし困ったことだろう。
家で両親に呼び掛けられても、反応が遅くなったかもしれない。
学校などで友人が呼んでいたって、全く気付かないとかも有り得た。
(ぼくのことだと思わなくって…)
呼ばれているのに、振り向きもしないで、教室を出て帰宅してしまうとか。
(…うーん…)
それは困るよ、とブルーは小さく肩を竦めた。
「自分の名前は、ブルーではない」と理解していても、行動がついていきそうにない。
(…ブルーで良かった…)
姿形が違っていても困るけれども、名前が違うというのも困ってしまう。
果たして「前の自分」を上手く受け入れられたか、心配でもある。
(…今のぼくと、上手く噛み合わなくて…)
どっちを優先すればいいのか、迷った挙句に、片方が疎かになって…。
(ハーレイが来て、呼んでいたって、返事しないで…)
窓の向こうを眺めているとか、そういったことも起こり得た。
両親が呼ぶ方の名前を優先した結果で、学校などでも使う名前が優先だろうから。
名前というのは大切なもので、「今のブルー」を示している。
違う名前が付いていたなら、そちらの方を優先すべき。
(…ぼくの違和感、大きいんだろうけど…)
とにかく慣れてしまわないことには、世の中を上手く渡って行けない。
今のハーレイにも、「今の名前で呼んで欲しいよ」と頼み込むしか無さそう。
(でないと、ハーレイを無視しちゃうとか…)
それとは逆に、ハーレイが呼んでくれる「ブルー」にしか、反応しなくなるとか。
大いにありそうな話なだけに、「今の名前」を大事にするには、心の中で改名するしかない。
(…マイケルだったり、ディックだったり…)
前の自分には似合わなくても、受け入れる他に無いだろう。
その名前で呼ぶ羽目に陥る「ハーレイ」は気の毒だけれども、仕方ない。
(…今のぼくの方が、改名するのも難しそうだし…)
第一、子供の間は出来やしない、とブルーは充分、承知している。
ほんの十四歳にしかならない子供が、「名前を変えたいんです」と書類を作ってみても…。
(…戸籍を管理する所に、提出しに行ったら…)
係の人は、ブルーの顔をチラと眺めて、「保護者の方は?」と尋ねるだろう。
「保護者の方に来て頂かないと、受理出来ません」と、門前払いに決まっている。
(……変えられないよ……)
ハーレイと結婚出来る年になるまでは無理、と考えただけで溜息が出そう。
そういう意味でも、今の自分も「ブルー」で良かった。
名前で全く困りはしないし、皆が自然に「前の自分と同じ名前」で呼び掛けてくれる。
(…同じで良かった…)
ホントに運が良かったよね、とブルーは心から思う。
ついでに「今のハーレイ」の名前が、前と同じで「ハーレイ」なのも有難い。
(前と同じで、ウィリアム・ハーレイ…)
呼ぶのに困ることは無いもの、と「今のハーレイ」の名前が嬉しい。
もしも、前の自分の記憶が蘇った時、ハーレイの名前が違っていたなら、困っただろう。
(記憶が戻って来た瞬間は、とても痛くて…)
聖痕の痛みで気絶したから、「今のハーレイ」も「ハーレイ」なのだと思い込んでいる。
病院で意識を取り戻したって、まず「ハーレイ」を探しただろう。
(…だけどハーレイ、もう学校に戻っちゃってたし…)
病院の看護師や、飛んで来た両親が口にする名は「ハーレイ」ではない。
(付き添って来てくれた先生の名前、教えられても…)
それが「ハーレイ」だと分かったかどうか、まるで全く自信が持てない。
(救急車の中で、ずっと呼び掛けてくれてたの…)
ハーレイだったと思いたくても、耳に入るのは「ハーレイ」とは違う名前の先生。
(…違う先生だったのかな、って…)
ガッカリしている「当時の自分」が目に浮かぶよう。
今のハーレイは、あれが初対面だったし、救急車に乗ってくれたとは限らない。
(最初の授業が待っているから、他の先生に、ぼくを任せて…)
教室に残っていたことも起こり得た。
もっとも、夜には「今のハーレイ」が来てくれたのだから、勘違いしたままではないけれど。
そうは言っても、違う名前の「ハーレイ」が目の前に現れる。
(ただいま、ハーレイ、って…)
呼び掛ける所までは変わらなくても、それから後の全てが変わっていたのに違いない。
再会出来たことを、互いに喜び合った「ハーレイ」が、タイミングを計って、こう告げる。
「おっと、すまない。今の名前は、それじゃないんだ」。
(…どういう意味なの、って…)
目を丸くしながら、病院で聞かされた「違う名前の先生」の名をハーレイから聞く。
「今の名前は、こういう名前になっていてな」と、「ハーレイらしくない」と思える名前。
(…マクレガーとか、ウィンストンとか…)
耳に馴染まない姓を聞かされ、ファーストネームも「ウィリアム」ではない。
(ビリーだったり、チャールズだったり…)
そんな名前は知りやしない、とポカンとしたって、それが「ハーレイ」。
今のハーレイを示す名前で、他の名前には置き換えられない。
(…学校に来られるようになったら、そう呼んでくれ、って…)
ハーレイに念を押されるわけで、きっとショックは、とても激しい。
(…違う名前になっちゃったんだ、って声も出なくて…)
目の前にいる「マクレガー」だか、「チャールズ」だかを、まじまじと見る。
見間違えようもない「ハーレイ」なのに、今の名前は「ウィンストン」や「ビリー」。
(…あんまりすぎるよ…!)
間違えて呼んでしまいそう、と泣きそうになっても、「ハーレイ」と呼ぶことは出来ない。
学校で「ハーレイ!」と呼んでみたって、返事が返りはしないだろう。
(…それにハーレイ、ぼくと違って、とうに大人で…)
教師生活も、そこそこ長いし、改名することは難しい上、すべきでもない。
(どんなに、前のぼくと生きた時代が大事でも…)
その思い出で「今のハーレイ」を縛り付けるのは、新しい命に失礼でもある。
「ハーレイ」なのだと思いたければ、「今のブルー」だけが我慢で、そっと何処かで…。
(誰もいない時とか、ハーレイと結婚した後、ニックネームみたいに…)
「ハーレイ」と呼ぶのが相応しい。
幸い、見た目は「キャプテン・ハーレイ」なのだし、「ハーレイ」でも変には思われない。
(今のぼくに、もっと友達、多かったなら…)
学校で「ハーレイ先生」と渾名を付けて、皆に広めて使うことも出来るのだけれど…。
(そんなに友達、多くないから、誰か代わりに…)
思い付いてくれない限りは、「ハーレイ先生」は誕生してくれない。
(…マクレガー先生とか、ウィンストン先生とか…)
そう呼ぶしかない毎日なんだ、と頭を抱えたくなるから、今の名前で良かったと思う。
もしも、ハーレイが違う名前だったら、困る場面しか浮かばないから…。
違う名前だったら・了
※今のブルー君の名前はブルー。前と同じで嬉しいですけど、ハーレイ先生も、そう。
けれど、違う名前だったら、お互い、困りそう。「ハーレイ先生」は、渾名で呼べるかもv
あいつの名前、とハーレイが思い浮かべた恋人の顔。
ブルーの家には寄れなかった日の夜、いつもの書斎で。
愛用のマグカップに淹れた熱いコーヒー、それを片手に。
(違う名前になっていたって、不思議じゃないんだが…)
有難いことに「ブルー」なんだ、と嬉しくなる。
今のブルーの名前の由来は、前のブルーと同じアルビノだからと聞いた。
アルビノの息子が生まれて来た時、両親は迷わず「ブルー」と名付けた。
(前のあいつは、今の時代は英雄なんだし…)
ブルーのような子供が生まれた場合は、選びたくなる親が多いだろう。
(もっとも、育てば、名前負けして…)
ソルジャー・ブルーとは似ても似つかない、ごく平凡な子になるかもしれない。
外見はもちろん、頭脳などにしても、ソルジャー・ブルーと同等に育つのは難しそう。
(幸い、あいつは本物だから…)
髪型までが「ソルジャー・ブルー風」で、人目を引く子供になりつつある。
前のブルーと同じ背丈に育つ頃には、文字通り、瓜二つになっていることだろう。
美しく育ち上がった「今のブルー」を、今のハーレイは連れて歩ける。
結婚する前にデートに行っても、注目を集めそうな「ソルジャー・ブルー」を。
(俺が「ブルー」と呼んでいたって…)
本名だと思ってくれる人が、どれだけいるかは分からない。
そっくりなだけに、「ブルー」が愛称だということは有り得る。
(正真正銘、ブルーなんだが…)
信じて貰えないかもしれないな、と可笑しくなった。
行く先々で擦れ違う人たちの耳に届いた名前が、「ブルー」であっても。
(振り返りながら、本名は何なのか考えるヤツらも…)
きっといるぞ、と考えるだけで面白い。
逆に「アルビノだから本名だろうけど、運のいい子だ」と眺める人もいるに違いない。
(名前負けしないで、ソルジャー・ブルーそっくりに育ったんだし…)
親を恨まずに済んで良かったな、と一足飛びの思考をしてみたりして。
確かに「ブルー」が、どう育つかは、生まれた時には分からない。
「ブルーと名付けて育てることは、ある意味、賭けな部分が大きい。
今のブルーの両親は、「名付け」の賭けの勝利者と言える。
生まれて来た子は、幼い頃から「ソルジャー・ブルー」に似ていたらしい。
(小さなソルジャー・ブルーだ、と公園などで可愛がられて…)
初対面の人から、お菓子を貰ったりして、人気を集めていたようだ。
連れて歩く父や母の方でも、鼻高々だったことだろう。
(お名前は、と尋ねられた時は、嬉しかったろうなあ…)
「この子の名前は、ブルーなんです」と答えられるし、聞かされた人の方も驚く。
「 あらまあ…! 本物のブルー君だったのねえ!」などと、目を真ん丸にしたりして。
(…大したもんだ…)
あいつの両親の名付け方は、と思うけれども、アルビノなだけに、賭けをしただけ。
「どう育つのか」までは考えないまま、「ブルー」と名付けることは「賭け」でしかない。
まるで全く心配しないで「迷わなかった」のなら、大物だろう。
(…もっとも、神様のお計らいで…)
両親の頭に浮かぶ名前は「ブルー」しか無くて、他の候補は無かった可能性もある。
生まれる前には考えていても、アルビノの子だと分かった時点で、「ブルー」の名前が…。
(頭にストンと落っこちて来て…)
他の候補は消えてしまって、それっきりになってしまったろうか。
(…いつ頃、ブルーに決まったんだか…)
その辺の話は聞いていないな、とハーレイは顎に手を当てた。
もしかしたら、今のブルー自身も、耳にしたことは無いかもしれない。
「ブルー」と決める前に「名前の候補」が存在したのか、あったとしたなら何なのか。
(…ボツにしちまった名前なんかは、話さないしなあ…)
俺にしたって聞いちゃいないぞ、と自分の名前を振り返ってみる。
今のハーレイも「ハーレイ」だけども、前と同じで「姓」が「ハーレイ」。
名前の方は「ウィリアム」なわけで、これまた前と同じ「ウィリアム」。
(ちゃんと、ウィリアム・ハーレイなんだ…)
だから「ブルー」も、神様のお計らいだろう、と見当がつく。
とはいえ、ハーレイにしても「ウィリアム」以外に、名前の候補があったかは知らない。
(親父に聞いたら、とんでもないのが…)
出て来るのかもな、と釣り好きの父の顔が浮かんだ。
釣り好きで、釣りの名人なだけに、名付けのセンスが常識外れで…。
(…釣りの名人の名前にあやかりたいなら、まだマシな方で…)
お気に入りの釣りのスポットを選ぶとかもありそう。
贔屓にしている釣り船の名前を捻ってみたり、そのまま貰って名付けたり。
(……うーむ……)
あの親父ならやりかねんぞ、と思うものだから、「ブルー」も気になる。
両親が他の候補を持っていたのか、無かったのか。
(…あった場合は、今のあいつの名前は…)
ブルーじゃなかったわけでだな、と「もしも」の世界を想像した。
神様のお計らいが無かったならば、ブルーには違う名前が付けられていた。
(見た目が今と全く同じで、前のあいつがチビだった頃に瓜二つでも…)
ブルーの名前は「ブルー」ではない。
両親のセンスで付けられた名で、学校でも名前は「その名前」になる。
(…俺が教室で、今のあいつと再会して…)
ブルーの身体に聖痕が出ても、病院でカルテに書かれる名前は「ブルー」ではなくて…。
(…俺が教室で、「この生徒の名前は?」と尋ねても…)
パニックだった生徒たちが口にする名は、「ブルー」とは違う名前だったろう。
(…何処から見たって、あいつなんだが…)
俺にしてみりゃ「ブルー」なのに、と混乱しそうな光景がハッキリと見える。
やっと出会えた愛おしい人が、知らない名前になっているのだから。
今のブルーが「違う名前」なら、再会した時の感動と共に「衝撃」も来そう。
(ブルーなんだが、ブルーじゃないんだ、と…)
過ぎてしまった長い歳月を思い知らされ、打ちのめされる。
「ブルー」が「ブルー」でなくなるくらいに、時が流れてしまったのだ、と。
(…でもって、あいつに呼び掛ける時も…)
二人きりで過ごす時を除けば、「違う名前」を使うしかない。
ブルーの両親は事情を知っているのだけれども、自分たちの息子が「ブルー」なのは…。
(…違和感が大きすぎるよなあ…)
夕食を御馳走になってる時に、「ブルー」と呼べやしない、とハーレイにだって分かる。
きっと両親は「嬉しくない」のに違いないから、馴染んだ名前で呼ぶのが礼儀だろう。
(…ヘンリーだったり、ディックだったり、マイケルだったり…)
そんな名前で呼ぶしかないじゃないか、とハーレイは頭を抱えてしまった。
今のブルーが違う名前なら、確実に、そうなっていたわけだから…。
(…神様に感謝するしかなさそうだよなあ…)
前の名前で呼べることを、とハーレイは神に心から感謝の祈りを捧げる。
「今のあいつの名前を、ブルーにして下さって、感謝します」と。
お蔭で「ブルー」と遠慮なく呼べるし、この先もそう。
前と同じに自然に呼び掛け、誰にも迷惑をかけることなく、ブルーと呼べる素晴らしい世界。
もしも「ブルー」が違う名前なら、それを使うしかない世界になっていたから…。
違う名前なら・了
※今のブルー君の名前は「ブルー」で、前と同じ。ハーレイ先生が呼ぶ名も「ブルー」。
けれど名前が違っていたら、その名で呼ぶしかないのです。違う名前だと困りますよねv
行動に移すべきかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「は?」
どういう意味だ、とハーレイは首を傾げて問い返した。
「えっとね…。ちょっと聞きたくなったから…」
聞いてみただけ、とブルーの方は、単なる好奇心らしい。
「ぼくは、どっちかと言えば、慎重な方でしょ?」
思い付きで動くのとは違うタイプ、とブルーは自分を指す。
「でも、そうじゃない人も多いし、どっちなのかな、って」
「なるほどなあ…。確かに、お前は逆になるよな」
前のお前もそうだった、とハーレイは大きく頷いた。
今も昔も、ブルーは「石橋を叩いて渡る」タイプの人間。
思い付いて直ぐに動きはしなくて、検討してから動き出す。
(…咄嗟の判断のように見えても、違うんだよな…)
凄い速さで計算しているだけだ、とハーレイは承知だった。
前のブルーは、メギドに飛んで行った時さえ、そうだろう。
(ずっと前から、そういう場面を想定していて…)
似た状況に陥った時に、自分が決めていた通りに行動した。
「自分の命は捨ててかかって、船を救う」というシナリオ。
(…前のあいつは、多すぎるくらいの危機を考慮して…)
それに応じて「どう動くべきか」を、常に頭に置いていた。
(キースの野郎が、仮死状態のトォニィを、投げた時にも…)
ブルーは素早く飛び出したけれど、とうに計算していた筈。
「地球の男」が「取りそうな手段」を、頭の中で何通りも。
(…そうでなければ、目覚めて間もない、あの身体で…)
飛び出せるものか、とハーレイには充分、分かっている。
今のブルーは、前のブルーだった頃より、マシだった。
「思い付いたら、行動に移す」部分が多い、楽観的な性格。
とはいえ、一般人と比べた場合は、そうは言えない。
(…慎重すぎるくらいに、慎重なトコがドッサリ…)
もっと気楽でいいと思うが、という気がしないでもない。
だから、ハーレイは、こう言った。
「思い付いたら、即、行動でも、いいと思うぞ」
時と場合によるんだがな、とブルーの資質も尊重しておく。
「しかし、思い付きというのも、大切なことを…」
示す言葉が、ちゃんとあるだろ、とハーレイは続けた。
「思い立ったが吉日、ってヤツ、聞いていないか?」
「知ってる!」
「ほらな、直ぐに動いて損はしない、と言う人も…」
あるって証拠だ、とハーレイはブルーに笑い掛けた。
「お前は慎重すぎるわけだが、逆もあるんだ」
たまには逆もいいと思うぞ、とハーレイは太鼓判を押す。
「これを機会に、考えてみろ」とも。
そうしたら…。
「分かった! そうしてみる!」
ブルーは椅子から立って、ハーレイの横にやって来た。
けれども、何をするわけでもなく、立っているだけ。
「おい、どうしたんだ?」
「思い付いた通りに、やっているだけ!」
気にしないで、とブルーは言うものの、気になってしまう。
何か目的があるからこそで、その目的は何なのか。
(…心を読むのは簡単なんだが、マナー違反で…)
やるべきことではないんだよな、とハーレイは溜息を零す。
ブルーの魂胆が読めない以上、放っておくしかなさそうだ。
(…まあいい、俺も好きにするさ)
茶でも飲むか、と紅茶のカップを手に取ると…。
『やった、もう少し! 早く飲んでよ!』
ブルーの心が零れたはずみに、真意がポンと伝わって来た。
『ハーレイが口を開けた所が、チャンスだってば!』
紅茶のカップを手ごと弾いて、ぼくが間に、と心の声。
「上手くいったらキスが出来る」と、ブルーは野心の塊。
「失敗したって、カップが割れるだけだよ」という考えも。
(そう来たか…!)
分かっちまった、とブルーの狙いを知れば、対処あるのみ。
油断しないで、口を開ける幅を狭くするのも手だけれど…。
「悪いが、アイスティーな気分になっちまった…」
お母さんに頼んで、氷とストロー、とハーレイは注文する。
「ついでにグラスもあると助かるんだが」と、厚かましく。
「ええっ…!?」
「そりゃまあ、礼儀知らずには違いないがな…」
思い付いたら行動なんだ、とハーレイはニッコリと笑んだ。
「たまにはこんな日だってあるさ」と、ブルーを封じて…。
思い付いたら・了
