どうも、管理人の「みゆ」でございます。画像は「そるじゃぁ・ぶるぅ」君ですが。
ハレブル別館に置いてる、拍手御礼ショートショート。
月に一回入れ替えてますが、諸事情あってハレブル別館には置けませんでした。
流れ去ったショートの再録場所が要るんだよね、と前から一応、思っていたです。
この際、置き場所作ってみるかな、と作ってみました。
書き下ろしショートも置いてますから、のんびり遊んで下さいね~。
※お知らせ。![]()
書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
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過去の拍手御礼ショートショートと書き下ろしショートの目次は、こちら。
タイトルをクリックで御覧になれます。
※書き下ろしショートの時間軸には「順番」は全くありません。![]()
何処から読んでも無問題ですv
拍手その1・それぞれの場所:いつも座る席を取り替えたら…。
拍手その2・毎日が幸せ:毎日が幸せなブルー君。
拍手その3・考え事:ハーレイの声を聞いていたら…。
拍手その4・帰っちゃ嫌:ハーレイが家に帰るのは嫌。
拍手その5・熱々の季節:暑い夏でもくっつきたい!
書き下ろし1・ハーレイのスープ:ブルーのために作る野菜のスープ。
書き下ろし2・恋人が出来た:思いがけずも出来た恋人。
書き下ろし3・痛かったけれど:痛かったけれど、聖痕は宝物。
書き下ろし4・洗車 :ハーレイ、愛車を洗うの巻。
書き下ろし5・断られたキス:再会のキスも出来なかったなんて…。
書き下ろし6・軽すぎるペン:羽根ペンが軽すぎる、慣れないハーレイ。
書き下ろし7・眠っていたから:ハーレイのベッドに瞬間移動が出来たのに…。
拍手その6・足音:ハーレイの足音は分かるのです。
書き下ろし8・再会:ブルーが起こした聖痕現象、ハーレイ視点。
書き下ろし9・魔法のスープ:ハーレイが作ってくれる野菜スープの魔法。
書き下ろし10・腕で作る輪:腕で作る輪、それに収まるブルーの身体。
書き下ろし11・夢みたいだけど:今の身体に生まれ変わったブルー。
書き下ろし12・大好きの言葉:ハーレイに何度も言いたい「大好き」。
書き下ろし13・船と車と:シャングリラよりも車が似合いのハーレイ。
書き下ろし14・小さな手だけど:小さな手でも、ブルーの右手は幸せ者。
書き下ろし15・チビでも愛しい:どんなにチビでも、愛しいブルー。
書き下ろし16・恋人は先生:恋人が先生だなんて、絶対に内緒。
書き下ろし17・いじらしい敬語:学校ではハーレイに敬語なブルー。
書き下ろし18・学校とブリッジ:学校とブリッジは似ているような…。
書き下ろし19・柔道部は無理:ブルーが柔道部に入れたら…。
書き下ろし20・学校に行きたい:熱を出して学校はお休みなブルー。
拍手その7・小さな躊躇い:床に落としたベリー、食べてもいい?
書き下ろし21・おふくろのケーキ:ハーレイの好物、パウンドケーキ。
書き下ろし22・ママのケーキ :ハーレイのために焼きたいパウンドケーキ。
書き下ろし23・贅沢な朝食 :ハーレイの朝食、前世と比べたらとても贅沢。
書き下ろし24・朝食の風景:食の細いブルー君の朝の食卓。
書き下ろし25・変わっちゃいない:前世も今も、ハーレイはハーレイ。
書き下ろし26・変わってないけど:前世も今も、ブルーはブルー。
書き下ろし27・長袖のワイシャツ:夏でも長袖のハーレイ、前世のせいかも?
書き下ろし28・みんなと同じ服:今のブルーの制服は、他のみんなと全く同じ。
書き下ろし29・気に入りの書斎:ハーレイの書斎、実はキャプテン・ハーレイ好み?
書き下ろし30・帰りたい部屋 :青の間にホームシックなブルー。その理由は?
書き下ろし31・忘れた買い物:買い忘れても大丈夫。そういう世界にいるハーレイ。
書き下ろし32・忘れられた買い物:買い忘れられても、今は大丈夫。ブルーの世界。
書き下ろし33・ぼくがチビでも:「ぼくがチビでも悲しくない?」と訊いたのに…。
書き下ろし34・キャンプ用の椅子:キャンプ用の椅子でブルーとデート。
書き下ろし35・白いテーブル:キャンプ用のテーブルでハーレイとデート。
拍手その8・温もりが欲しい:夏でもハーレイの温もりが欲しい、ブルーの右手。
書き下ろし36・ブルーが足りない:会えなくてブルー不足なハーレイ。
書き下ろし37・ハーレイが足りない:会えなくてハーレイ不足なブルー。
書き下ろし38・久しぶりに会えた:ブルー不足とハーレイ不足な日々に終止符。
書き下ろし39・天の川を泳ごう:ブルーに会うためなら、天の川でも泳ぎ渡れる。
書き下ろし40・天の川の幅:広い天の川でも、ハーレイは泳いで渡ってくれる。
書き下ろし41・天の川を渡って:天の川に隔てられても、会える筈の二人。
書き下ろし42・叶えてやれない:ブルーの願いは叶えてやりたいけれど…。
書き下ろし43・叶えてくれない:願いを叶えてくれないハーレイなんて…。
書き下ろし44・もう一人いれば:一人の夕食。もしもブルーがいてくれれば…。
書き下ろし45・いて欲しい人:一人でおやつ。ハーレイがいてくれたなら…。
書き下ろし46・見られない蛍:去年までなら蛍見物。今のハーレイは…。
書き下ろし47・見てみたい蛍:ハーレイと蛍を見に行けたなら…。
書き下ろし48・飛べないあいつ:空を飛べないブルーが愛しい。
書き下ろし49・飛べないぼく:ハーレイに見せてあげたい、空を飛ぶ姿。
書き下ろし50・あいつの背丈:背丈が伸びなくても、愛おしいブルー。
書き下ろし51・ぼくの背丈:どうして背丈が伸びないのか。ブルーの悩み。
書き下ろし52・ブルー日和:今日のような日はブルー日和、と思うハーレイ。
書き下ろし53・ハーレイ日和:こんな日はきっとハーレイ日和、と思うブルー。
拍手その9・可哀相な動物:可哀相な動物がいるんだけれど、とブルーの主張。
書き下ろし54・歩いてゆける地面:ブルーの所へ歩いてゆける地面。地球の上を。
書き下ろし55・歩きたい地面 :ハーレイが歩いただろう地面を歩きたいブルー。
書き下ろし56・降りそうな天気:雨が降るかも。キャプテンは勘に頼れないけれど…。
書き下ろし57・降りそうだけど:地球に降る雨の最初の一粒。見てみたいブルー。
書き下ろし58・恋人がいるだけで:恋人がいるというだけで浮き立つハーレイの心。
書き下ろし59・恋人がいるから:恋人がいるから、寝込んでも心は幸せなブルー。
書き下ろし60・走ってゆける:思い立ったら、ひとっ走りしに行ける今のハーレイ。
書き下ろし61・走ってゆきたい:ハーレイの家まで走って行けたら、と思うブルー。
書き下ろし62・キスは駄目だ:キスは駄目だと何度叱っても、諦めないブルー。
書き下ろし63・キスが欲しいのに:キスが欲しいのに、くれないハーレイ。
書き下ろし64・今度は掴める:今度は掴めるブルーの手。行ってしまう前に。
書き下ろし65・今度は失くさない:何度でも貰えるハーレイの温もり。
書き下ろし66・ずっと愛してる:生まれ変わっても、愛するのはブルー。
書き下ろし67・ずっと大好き:生まれ変わっても、大好きなハーレイ。
拍手その10・お腹が空かない?:長いことぼくを食べてないでしょ、と訊くブルー。
書き下ろし68・扉を開けたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし69・扉が開いたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし70・暑苦しくない:暑い夏でも、暑苦しくない熱の塊。それがブルー。
書き下ろし71・暑くないから:ハーレイにくっついていても、暑くない夏。
書き下ろし72・行くには早いが:ブルーの家に行くには早いけれども、待てない時間。
書き下ろし73・まだ来ないけど:まだハーレイは来ないけれども、早起きしたら…。
書き下ろし74・よく伸びるんだが:ブルーの背丈とは違って、よく伸びる夏草。
書き下ろし75・よく伸びるんだけど:よく伸びるミントが羨ましくても、自分の背は…。
書き下ろし76・脱いでいい靴:一日中、靴を履いていなくてもいい今のハーレイ。
書き下ろし77・脱いでもいい靴:一日中、靴を履かなくてもいい今のブルー。
書き下ろし78・ブルーの笑顔:前のブルーよりも多い、今のブルーの笑顔の数。
書き下ろし79・ハーレイの笑顔:前の自分だった頃から好きな、ハーレイの笑顔。
書き下ろし80・夢だった地球:今のハーレイには当たり前の地球。夢ではなくて。
書き下ろし81・夢に見た地球:前のブルーが夢に見た地球。今のブルーが暮らす星。
書き下ろし82・暑くなっても:暑さは地球の太陽のせい。ハーレイが気付いた今の幸せ。
書き下ろし83・暑いけれども:暑さは苦手でも、地球の太陽。今のブルーは幸せです。
拍手その11・下手くそになった?:キスが下手くそになったんでしょ、と尋ねるブルー。
書き下ろし84・窓の向こうは:ハーレイが窓の向こうに見た朝日。今の地球の夜明け。
書き下ろし85・窓の向こうに:窓の向こうにいつもある地球。今のブルーなら。
書き下ろし86・あの空を旅した:ハーレイが仰いだ夜空。前世で旅をしていた宇宙。
書き下ろし87・あの空を旅して:ブルーが見上げる夜空。前世で地球を探した宇宙。
書き下ろし88・三日月の夜に:今のハーレイが眺める月。前の自分とは違った視点。
書き下ろし89・チビの三日月:月の方が早く育つなんて、とブルーは膨れっ面で…。
書き下ろし90・川を下る船:川下りの船。いつかブルーを乗せてやろうと思う船。
書き下ろし91・川をゆく船:ハーレイと乗りたい川下りの船。大きくなったら。
書き下ろし92・海が似合う夏:いつかブルーと行きたい海。前世で夢見た地球の海へ。
書き下ろし93・夏が似合う海:いつかハーレイと行きたい海。本物の地球の青い海へ。
書き下ろし94・欲しかった羽根ペン:今のハーレイ。羽根ペンが欲しいと思ったら…。
書き下ろし95・あげたい羽根ペン:ハーレイの誕生日にあげたい羽根ペン。どうする?
書き下ろし96・何でも美味い:何でも美味い、と思うハーレイ。多分、前世のせいで。
書き下ろし97・何でも美味しい:好き嫌いが全く無いブルー。きっと、前世のせいで。
書き下ろし98・作ってやりたい:ブルーに作ってやりたい料理。スープの他にも。
書き下ろし99・作ってあげたい:ハーレイに作ってあげたい、好物のパウンドケーキ。
拍手その12・今が食べ頃:ブルー君曰く、今が自分の旬だとか。
書き下ろし100・同じ顔だが:今のハーレイには別の顔。思いもよらなかった顔。
書き下ろし101・同じ顔だけど:前のぼくの顔じゃない、と溜息をつくチビのブルー。
目次・その2: ←102話以降の目次は、こちらv![]()
こちらからも行けます→ http://bluestone.kyotolog.net/Entry/115/
目次・その3:←302話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→http://bluestone.kyotolog.net/Entry/320/
目次・その4:←518話以降の目次は、こちらv
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目次・その5:←602話以降の目次は、こちらv
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書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
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※拍手下さった方、ありがとうございます~!![]()
行動に移すべきかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「は?」
どういう意味だ、とハーレイは首を傾げて問い返した。
「えっとね…。ちょっと聞きたくなったから…」
聞いてみただけ、とブルーの方は、単なる好奇心らしい。
「ぼくは、どっちかと言えば、慎重な方でしょ?」
思い付きで動くのとは違うタイプ、とブルーは自分を指す。
「でも、そうじゃない人も多いし、どっちなのかな、って」
「なるほどなあ…。確かに、お前は逆になるよな」
前のお前もそうだった、とハーレイは大きく頷いた。
今も昔も、ブルーは「石橋を叩いて渡る」タイプの人間。
思い付いて直ぐに動きはしなくて、検討してから動き出す。
(…咄嗟の判断のように見えても、違うんだよな…)
凄い速さで計算しているだけだ、とハーレイは承知だった。
前のブルーは、メギドに飛んで行った時さえ、そうだろう。
(ずっと前から、そういう場面を想定していて…)
似た状況に陥った時に、自分が決めていた通りに行動した。
「自分の命は捨ててかかって、船を救う」というシナリオ。
(…前のあいつは、多すぎるくらいの危機を考慮して…)
それに応じて「どう動くべきか」を、常に頭に置いていた。
(キースの野郎が、仮死状態のトォニィを、投げた時にも…)
ブルーは素早く飛び出したけれど、とうに計算していた筈。
「地球の男」が「取りそうな手段」を、頭の中で何通りも。
(…そうでなければ、目覚めて間もない、あの身体で…)
飛び出せるものか、とハーレイには充分、分かっている。
今のブルーは、前のブルーだった頃より、マシだった。
「思い付いたら、行動に移す」部分が多い、楽観的な性格。
とはいえ、一般人と比べた場合は、そうは言えない。
(…慎重すぎるくらいに、慎重なトコがドッサリ…)
もっと気楽でいいと思うが、という気がしないでもない。
だから、ハーレイは、こう言った。
「思い付いたら、即、行動でも、いいと思うぞ」
時と場合によるんだがな、とブルーの資質も尊重しておく。
「しかし、思い付きというのも、大切なことを…」
示す言葉が、ちゃんとあるだろ、とハーレイは続けた。
「思い立ったが吉日、ってヤツ、聞いていないか?」
「知ってる!」
「ほらな、直ぐに動いて損はしない、と言う人も…」
あるって証拠だ、とハーレイはブルーに笑い掛けた。
「お前は慎重すぎるわけだが、逆もあるんだ」
たまには逆もいいと思うぞ、とハーレイは太鼓判を押す。
「これを機会に、考えてみろ」とも。
そうしたら…。
「分かった! そうしてみる!」
ブルーは椅子から立って、ハーレイの横にやって来た。
けれども、何をするわけでもなく、立っているだけ。
「おい、どうしたんだ?」
「思い付いた通りに、やっているだけ!」
気にしないで、とブルーは言うものの、気になってしまう。
何か目的があるからこそで、その目的は何なのか。
(…心を読むのは簡単なんだが、マナー違反で…)
やるべきことではないんだよな、とハーレイは溜息を零す。
ブルーの魂胆が読めない以上、放っておくしかなさそうだ。
(…まあいい、俺も好きにするさ)
茶でも飲むか、と紅茶のカップを手に取ると…。
『やった、もう少し! 早く飲んでよ!』
ブルーの心が零れたはずみに、真意がポンと伝わって来た。
『ハーレイが口を開けた所が、チャンスだってば!』
紅茶のカップを手ごと弾いて、ぼくが間に、と心の声。
「上手くいったらキスが出来る」と、ブルーは野心の塊。
「失敗したって、カップが割れるだけだよ」という考えも。
(そう来たか…!)
分かっちまった、とブルーの狙いを知れば、対処あるのみ。
油断しないで、口を開ける幅を狭くするのも手だけれど…。
「悪いが、アイスティーな気分になっちまった…」
お母さんに頼んで、氷とストロー、とハーレイは注文する。
「ついでにグラスもあると助かるんだが」と、厚かましく。
「ええっ…!?」
「そりゃまあ、礼儀知らずには違いないがな…」
思い付いたら行動なんだ、とハーレイはニッコリと笑んだ。
「たまにはこんな日だってあるさ」と、ブルーを封じて…。
思い付いたら・了
幼稚園だった頃には、と小さなブルーは、ふと思い出した。
ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
(…本気でウサギになりたかったけど…)
あの時、ウサギになれていたなら、ハーレイとの出会いも変わっていたろう。
ウサギのブルーは、今の学校に行きはしないし、いったい何処で出会えたのか。
(ぼくは野原で、ハーレイがドライブして来て、散歩していて…)
ブルーを見付けて連れて帰って、飼ってくれるのかもしれない。
(ハーレイ、ウサギの言葉が分かるのかな?)
それとも、ぼくがウサギだったら、思念波を使いこなせるのかな、などと考えてみる。
ハーレイに「ウサギの恋人」が出来た場合は、暮らしぶりも変わってしまいそう。
(学校に行くのに、ウサギ連れって…)
難しいよね、とブルーは可笑しくなった。
幼稚園ならともかく、今の学校にウサギを飼っている小屋は無い。
何処の学校も事情は同じで、ウサギ小屋は、下の学校の一部にある程度。
(ウサギ小屋があったら、授業の間は、此処にいてくれ、って…)
ハーレイが入れて行ってくれれば、帰りまで待つ。
他のウサギと一緒に食事で、遊んだり、寒い日には寄り添い合って温め合ったり。
(ウサギ小屋があれば、いいんだけどね…)
残念ながら無いとなったら、ブルーの居場所は、学校には無い。
(…出掛ける前には、ペットホテルに寄って行くのかな?)
仕事が終わるまでの間は、其処で待つことになりそう。
他にも待っている仲間がいたって、ウサギではなくて犬や猫かもしれない。
(うーん…)
つまらなさそう、と思うけれども、仕方ないから、慣れるしかない。
ウサギになっていなくて良かったよね、とブルーは、ホッと安心した。
同じ人間として再会したから、今の暮らしを満喫出来る。
不満な部分も多いとはいえ、結婚出来る年に育つ頃には、全て解消しているだろう。
(ぼくの背丈が、前のぼくだった頃と同じになったら…)
ハーレイとキスも出来るし、デートにも行ける。
ほんの数年だけの我慢で、それまでの間は耐えるしかない。
(あと十年とかじゃないから…)
幼稚園の頃とは違うものね、と振り返ってみて、ウサギ小屋のあった場所を思い浮かべる。
ハーレイが「ウサギになったブルー」と再会するより、幼稚園時代に出会った方が厄介そう。
(…結婚出来る年になるまで、十年以上も…)
ひたすら耐えて我慢の日々が続いて、キスもデートも、全て「おあずけ」。
(…あんまりすぎるよ…)
おまけに、ぼくも小さすぎるし、とブルーは部屋を見回した。
今は大きなベッドが置いてあるけれど、幼稚園の頃には、もっと小さなベッドだった。
部屋が広々していた記憶は、子供用ベッドのせいだけではない。
(勉強机も置いていないし、窓の所の、テーブルと椅子も…)
幼稚園時代のブルーは、一つも持っていなかった。
代わりに絨毯の上にクッション、オモチャが入った箱や、積み木の箱が置かれていた。
(…本棚も無くて、絵本も専用の場所があっただけ…)
ハーレイを呼ぶには、子供じみてる、とブルーは頭を抱えてしまった。
せっかく再会出来たというのに、ハーレイが恋人の部屋に来たなら、興覚めだろう。
(…何処で出会って、聖痕がどうなったのかとかも、ややこしそうで…)
幼稚園だったら大変だよね、と容易に想像がつく。
ハーレイが「幼稚園の先生」だとか、「幼稚園バスの運転手」でないと出会えなさそう。
(入園式で聖痕が出たら、大騒ぎになっちゃう…)
泣き出す子だけで済めばいいけど、と恐ろしくなった。
幼い子供は、「出血だけで怪我はしていない」聖痕現象などは理解出来ない。
パニックを起こして、倒れてしまう子も出るかもしれない。
(…ハーレイと出会うの、もっと後でないと…)
入園式は、ぼくは風邪でお休みするとか、と「出会いの瞬間」を先延ばしにする。
ついでに再会を果たす時にも、周りに他の子供がいない方が良さそう。
(…遅れて入って、ウサギ小屋を覗き込んでる時くらいかな…)
ハーレイが近付いて来て、「ウサギ見てるのか?」と声を掛けてくれて、振り向いた瞬間。
(それなら、聖痕が出ても、泣き出しちゃう子供は少なめ…)
被害は最小限で済みそうだよ、と考えたものの、それから後もかなり厄介。
幼稚園の先生か、幼稚園バスの運転手のハーレイも、恐らく「人気者」だろう。
他の子たちに引っ張りだこで、幼稚園では、ブルーが近付けるチャンスは少なそう。
(守り役だって、どうなるのかな…?)
学校に行くまでの間だけで終わりそうだし、と溜息が零れ落ちてしまう。
幼稚園の先生などのハーレイだった場合は、学校に入った時点で、多分、お別れ。
困っちゃうよね、とブルーは「今の出会い」に感謝する。
今の学校で出会ったからこそ、結婚までの待ち時間も少ない上に、一緒にいられる時間も多い。
(それに、ハーレイが家に来たって…)
座って貰うための椅子もある上、テーブルもある。
ブルーが寝込んでいる時に尋ねて来てくれても、ハーレイは其処で過ごしている。
(本棚もあるから、目に付いた本を取って読めるし…)
いいことずくめの部屋なんだから、と眺め回して、ハタと気付いた。
(出会った場所が、幼稚園だったら…)
ハーレイは「大人が過ごすには、退屈すぎる部屋」で、長い時間を費やす羽目に陥る。
幼稚園時代のブルーに、「お茶の時間」は存在しなかった。
(…お茶じゃなくって、おやつの時間で…)
母はティーセットを用意しないで、カップにミルクやココアを入れて渡してくれた。
お菓子は今と変わらなくても、お皿は小ぶりな「幼児用」だった。
(…ハーレイ先生が来てくれるから、って…)
母がティーセットを出して来るとは思えない。
ハーレイが好むコーヒーを淹れて、お菓子の皿とセットで、トレイに乗っけて…。
(絨毯の上に置いて行くのか、ちょっとした台を据えて、其処に置くのか…)
どちらにしたって、ブルーと「テーブルを挟んで、向かい合わせ」の時間にはならない。
お茶の時間を楽しむと言うより、ハーレイもブルーも、マイペースで「おやつ」を味わう。
(ぼくは積み木で遊んだりしてる合間に…)
少しずつ食べて、ハーレイは、微笑みながらコーヒー片手に「見守り」だろう。
(…そんな時間に、キスを強請りに出掛けても…)
断られてしまう以前に、様にならない。
頬っぺたに「お菓子の欠片」をくっつけたブルーが、「ぼくにキスして」では、笑われるだけ。
(おまけに、ハーレイに抱き付こうとしても…)
ぼくの身体が小さすぎるし、背中まで手が回らないかも、とブルーは愕然とさせられた。
まるで似合わない「恋人同士」で、今よりも酷くて情けない感じになって来る。
(…ハーレイと出会ったの、幼稚園だったら…)
二人きりで過ごす時間があっても、噛み合わないよ、と頭の中がぐるぐるしそう。
そういう出会いだった時には、きっと後まで笑い話で、ハーレイにからかわれ続ける人生。
(そんな人生、嫌すぎるから…!)
もっと早くに出会いたかったけど、と思いはしても、限界がある。
幼稚園での再会は「早すぎる」上に、尾を引きそうだから、諦めておこう。
ハーレイとの出会いの場所が幼稚園だったら、ハーレイには似合わない恋人だから…。
幼稚園だったら・了
※ハーレイ先生と出会った場所が幼稚園だったら、と想像してみたブルー君ですけど。
今よりも厄介な日々になりそう。第一、ハーレイ先生と釣り合いが取れないらしいですv
そういえば、とハーレイが、ふと思い出したこと。
ブルーの家には寄れなかった日の夜、いつもの書斎で。
愛用のマグカップに淹れた熱いコーヒー、それを片手に。
生まれ変わって再び出会えた、愛おしい人との再会の場所は学校だった。
そのブルーと何度も話した間に、幼稚園説が出て来た。
(あいつが幼稚園児の頃に出会えていたら、と話したんだが…)
幼稚園で出会っていたなら、どうなったろう、とハーレイは気になり始めた。
(公園とかで会うのは、ありがちなんだが…)
そのものズバリは、かなり難しそう。
幼稚園という場所柄、部外者が訪れることは殆ど無い。
(親が行くのも、参観日とかで…)
それ以外の者が訪問するなら、学校活動の一環で出掛ける程度。
幼稚園の子供たちが「出て来る」機会の方が何倍も多い。
(…ふうむ…)
出会いからしてハードルが高いぞ、とハーレイは、この難題に取り組むことにした。
ブルーと幼稚園で出会うためには、ハーレイも幼稚園に入らないといけない。
今の学校は、下の学校と違って、幼稚園の子たちと一緒に動く行事は無かった。
(…俺に子供がいるわけじゃないし、どうやって入り込んだモンだか…)
関係者になるしか道は無いな、と思うし、それが手っ取り早そうだ。
幼稚園の先生になるか、送迎バスの運転手になって、雑用などもこなす立場か。
(…あいつの側にいる時間を、たっぷり取りたかったら、先生だな…)
柔道も水泳も、まるで出番は無さそうだが、と悔しいけれども、贅沢は言えない。
古典の教師の道に行かずに、幼稚園の先生になれる道を真っ直ぐ進んで、幼稚園へ。
(そもそも、そこからして有り得ない気が…)
してしまうだけに厳しそうだ、と前提条件の時点で、つまずいてしまいそう。
「やはり俺には向いていない」と、進路変更、結局は古典の教師で落ち着くコース。
(…出会いの場には、向いてないんだ…)
幼稚園ってトコはな、と深い溜息が零れ落ちてしまう。
出会う前から門前払いで、幼稚園には入れないのが「ハーレイ」らしい。
(…その辺の所は、ご都合主義で…)
おとぎ話のように上手く乗り越え、幼稚園の先生になれていたなら、どうなるだろう。
ブルーが入園してくるまでの間は、「ハーレイ先生」と慕われるだろうか。
(…身体がデカいし、肩車もしてやれるしな…)
絨毯などが敷いてある場所なら、子供たちを乗せて馬になるのも、お安い御用。
一度に三人くらいは乗せられそうだし、かなり人気が高いかもしれない.
(…順風満帆で先生をやっていたら、ある日、ブルーが入園して来て…)
その場で聖痕が現れ、血塗れの姿になるというのは変わらない。
(今の学校の時と同じで、大騒ぎで…)
俺が救急車に乗って付き添いなんだ、と「実際にあった出来事」と、やっと繋がった。
ブルーの記憶も、ハーレイの記憶も戻って来るから、暫くの間は、同じように時が流れる。
互いに再会を喜び合って、時間を共有出来るけれども…。
(…なにしろ、あいつは幼稚園児で…)
扱い方が難しそうだ、と次の難問が降って来た。
十四歳のブルーでさえも、何かと我儘、困らされている恋人ではある。
幼稚園児のブルーとなったら、その比ではないように思えてしまう。
(…そうでなくても、我慢が出来ない年の頃だし…)
約束事を決めてみたって、ブルーには、きっと守れない。
「幼稚園では、俺を先生らしく扱え」と教え込んでも、遠慮しないで親し気に話す。
他の子たちが「ハーレイ先生」と呼んでいる中、ブルーだけが「ハーレイ」と呼び掛けて。
(その上、下手に親しいモンだから…)
肩車も馬も、他の子たちが並んで待つ中、割り込んで来そう。
「ハーレイ、ぼくにも!」と列をかき分け、悪びれもしないで先頭に立って。
(俺が「こら、並ばないとダメじゃないか!」と叱ったら…)
たちまちフグのように膨れっ面か、でなければ大きな声で泣き出す。
「ハーレイ先生、酷い!」と、自分が悪かったことなど、考えもせずに棚に上げて大泣き。
(…泣き声を聞いて、他の先生が…)
飛んで来るのは目に見えているし、ハーレイが叱られる方かもしれない。
「ブルー君の気持ちも、考えてあげて」と、子供は我慢が出来ないことを説かれて。
「もっと優しい言い方をして、分かりやすく!」と、お説教まで食らいそう。
もちろんブルーは、お説教の間も、「お話、まだ終わらないのかな?」と無邪気に待つだけ。
なんてこった、とハーレイは軽く頭痛がして来た。
幼稚園でのブルーとの出会いは、再会した後も「ご難続き」の日々らしい。
人気者の「ハーレイ先生」を巡って、ブルーの独占欲が発揮される。
(仕事帰りに、あいつの家に寄るのは、控えないとな…)
でなきゃ一層、増長するぞ、と思うものだから、会える時間は今よりも減ることだろう。
幼すぎるブルーが「ハーレイ先生は、ぼくだけの先生」と勘違いしないよう、距離を取る。
(…今のあいつよりも、何倍も厄介…)
いくら中身が「ブルー」でもな、と容易に想像出来てしまう。
今のブルーでも、前のブルーに比べて「抑えが効かない」。
幼稚園児のブルーとなったら、我儘放題、コントロールは不可能に近い。
(…自制心を、と教え込んでも、その自制心が…)
備わる前の時代なんだ、と分かっているから、どうにもならない。
ブルーが育って「分別がつく」年頃になるまで、トラブル続きの日かもしれない。
(ハーレイ先生は、ブルーも、他の子も、お気に入りのオモチャで…)
奪い合いしては大騒ぎなのか、とハーレイは書斎の天井を仰いだ。
「幼稚園時代のブルー」はともかく、「幼稚園での出会い」を避けられたのは幸運だった。
(…もしも出会いが、幼稚園なら…)
俺が幼稚園の先生だったら、と溜息しか出ない有様なのだし、今の出会いでいいのだろう。
今のブルーも、かなり厄介な「ませた子供」とはいえ、幼稚園児のブルーよりはマシ。
(…出会ってた場所が幼稚園なら、ご難続きで卒園してった後もだな…)
付き合いが続いて、今のブルーの時代もやって来るんだ、とハーレイは軽く肩を竦めた。
(幼稚園で出会って、あいつが結婚出来る年になるまで…)
待ちぼうけどころか、受難までだぞ、と思うものだから、神様に感謝するしかない。
「今の出会いで幸運でした」と、振り回される年数が少なめなことを…。
幼稚園なら・了
※もしも、ブルー君と幼稚園で出会っていたら、と考えてみたハーレイ先生。
幼稚園の先生のハーレイの奪い合いとか、トラブルが多そう。今の出会いが一番ですよねv
大切だと思う、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 許すって…?」
いったい何の話なんだ、とハーレイは鳶色の瞳を丸くした。
ブルーは今朝から上機嫌で、怒っているようには見えない。
「そのままの意味だよ。例えば、ハーレイの場合だと…」
キースを許すことは出来るの、とブルーは凄い例を出した。
今の生では、未だ、キースと出会ってはいない。
ブルーもハーレイも、遠く遥かな時の彼方で出会ったきり。
けれど、その時、キースが何をしたかが問題だった。
「うーむ…。キースってか…?」
今の俺にヤツを許せと、とハーレイは思わず唸った。
前の生では、キースがブルーを撃ったことを知らなかった。
だから、後に地球の上で出会った時には、何もしていない。
(…会談を控えて、地球に降下した時なんぞには…)
キャプテンとしての立場で、国家主席のキースに挨拶した。
言葉を交わして、握手までしてしまったことを、今でも…。
(…ずっと、後悔し続けてるんだ…)
今のブルーに聞いて以来な、と小さなブルーの顔を眺める。
たとえブルーが此処にいようが、憎い仇には違いない。
(秋咲きの朝顔、品種名がキース・アニアンで…)
そうと知ったら、毟りたくなったぞ、と思うくらいに憎い。
そんなキースを許せるのか、と尋ねられたら、答えは否。
(俺は一生、ヤツを許せん!)
今の生で運良く出会えたならば、許せそうだが、と呻く。
(もしも会えたら、一発、思い切り、殴り飛ばして…)
ブルーを撃った件は、水に流せそうでも、というのが現状。
「ハーレイ、やっぱり、許せないんだ?」
「…残念ながら、俺は其処まで人間が出来ていなくて…」
とても無理だ、とハーレイは潔く白旗を掲げた。
「許すというのは、確かに大切ではあるんだが…」
「自分の気持ちが追い付かないなら、仕方ないわけ?」
「そうだな、自分を、無理に押し殺してまで…」
許すことを優先しろとは言えんな、とハーレイは苦笑する。
大の大人も出来ないことを、子供のブルーには強いれない。
「そっか、ハーレイでも無理なんだったら…」
許せなくても、許されるよね、とブルーは笑んだ。
「そうなるが…。なんだ、友達と喧嘩中なのか?」
早めの仲直りを勧めるぞ、とハーレイは提案しておく。
友人同士の喧嘩だったら、グッと堪えて許すことも大切。
そう思うから、ブルーに説こうとしたら…。
「友達じゃなくって、ハーレイだよ!」
「俺!?」
喧嘩なんぞをしてはいないぞ、とハーレイは仰天した。
今日も昨日も、その前にしても、怒らせるようなことは…。
(…していないよな…?)
どう考えても、と振り返る間に、ブルーが言った。
「許せないのは、キスだってば!」
いつも頬っぺたで、そればっかり、とブルーは膨れる。
唇にキスをしてはくれない、とフグみたいな顔で。
(……その件か……)
許せないからキスをしろ、と来たか、とハーレイは呆れた。
そういうことなら、許せないのは、ハーレイにしても同じ。
「よし、分かった。今日の所は、これで失礼しよう」
「えっ!?」
キスの話は、とブルーは驚くけれども、サラリと無視した。
「許せないっていうトコについては、俺も同じだしな?」
いくら許すことが大切だろうが、さっきの話、とニンマリ。
「キスをする気にはなれんし、今日は帰るぞ」
「ちょ、ちょっと…!」
謝るから、帰らないで、とブルーは必死で、可笑しくなる。
(…キースの話まで持ち出して、俺をだ…)
追い詰めて来たんだし、懲りておけ、とハーレイは立った。
「ではな」と、椅子をテーブルの方へと寄せて。
「少し早いが、今から帰れば、食料品店に寄って…」
美味い晩飯を作れそうだし、とブルーを脅して楽しむ。
(本当の所は、帰る気なんぞ、まるで全く…)
ありはしないが、と帰るふりをして、からかい続ける。
「たまには、こんな返り討ちもいいさ」と、扉の前で…。
許すことって・了
