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(……肉のパイなあ……)
 そういえば、そういう話をしたな、とハーレイが、ふと思ったこと。
 ブルーの家には寄れなかった日、夜の書斎で。
 愛用のマグカップにたっぷりと淹れた、コーヒー片手に。
(パイと言ったら、この辺りじゃ、普通は菓子なんだが…)
 肉のパイがある地域だって、と他の地域を頭に描く。
 人間が地球しか知らなかった頃には、イギリスと呼ばれていた島国。
 今もイギリスがあった辺りは、同じ名前を名乗っている。
 遠い昔の、イギリスの文化を復興させて。
 料理なども色々、イギリスのものを引っ張って来て。
(つまりは、肉のパイだって…)
 昔のように食べているだろう。
 それが生まれた頃とは違って、狩猟を愛する文化は無くても。
 キツネ狩りや銃を使った猟に興じる、貴族などはいない世界でも。
(…まあ、肉のパイは…)
 貴族に限ったものじゃないしな、と思うイギリスのパイ。
 銃で沢山の鳥やウサギを獲った貴族も、もちろん食べていたけれど…。
(余るほど獲れない庶民だって、だ…)
 たまの御馳走には肉のパイ。
 飼っていた豚を潰した時とか、思いがけなくウサギが獲れた時とか。
(レタスを食い過ぎちまったウサギが…)
 畑で眠りこけているのを、拾って帰る絵本がある。
 今も人気の『ピーターラビット』、ウサギが主人公になっている話。
 肉のパイにされそうになった、子ウサギのピーター。
 彼は命を拾ったけれども、父のウサギは、ずっと昔に事故で命を落とした。
 「マクレガーさんの畑」で、捕まって。
 マクレガーの奥さんに、肉のパイにされてしまって。


 イギリスでは馴染みの肉のパイ。
 『ゲームパイ』という名前のパイがあるくらいに。
 ゲームはいわゆるゲームの意味で、けれど、普通のゲームではない。
 庶民はともかく、貴族社会で「ゲーム」と言ったら、狩猟のこと。
(ハントはキツネ狩りを指してて、銃猟はゲーム…)
 狙う獲物が鳥であろうが、ウサギだろうが、銃を使った猟なら「ゲーム」。
 それの獲物を使って作るのがゲームパイ。
(…あいつと話した、肉のパイなら……)
 ゲームパイだな、と一人で頷く。
 その話をした、ブルーは此処にはいないけれども。
 今頃は自分の家のベッドで、とっくに眠っているかもしれない。
(物騒な話だったっけな…)
 肉のパイはな、と思い出すのは、ブルーとの会話。
 確か、前世が話題になった日。
 二人で青い地球の上に生まれ変わったけれども、それよりも前はどうだったろう、と。
 ソルジャー・ブルーと、キャプテン・ハーレイに生まれるまでは。
 人間が地球しか知らなかった頃も、二人は一緒だっただろうか、と。
(それで出て来たのが、ウサギだったんだ)
 前世も人間とは限らないから、今のブルーが幼かった日に夢見たウサギ。
 小さい頃には、「ウサギになりたい」と夢を描いていたらしいから。
 将来の夢はウサギになること、そして元気に跳ね回ること。
(お父さんたちに飼って貰って…)
 庭で暮らすつもりでいたというから、可愛らしい。
 もしもブルーが本当にウサギになっていたなら、自分もウサギになったろう。
 どうすれば人間がウサギになれるか、ブルーに方法を教わって。
 茶色の毛皮のウサギになれたら、白いウサギのブルーと暮らす。
 庭よりも、ずっと広い野原で。
 二人でのびのび暮らせるようにと、立派な巣穴を頑張って掘って。


(あいつの将来の夢がウサギで…)
 ついでに二人とも、今では干支がお揃いでウサギ。
 二十四歳違うものだから、そっくり同じ干支になる。
 だからウサギのカップルなわけで、「前世もウサギだったかも」という話になった。
 どういうわけだか、銃猟がある昔のイギリスで。
 貴族のお坊ちゃまのキースが、「ゲーム」のために銃を持ち出す世界で。
(茶色い毛皮の俺はともかく、白いブルーは…)
 とても目立つし、銃を手にした貴族から見れば格好の獲物。
 館には肉が余っていたって、狙いを定めて撃つことだろう。
 そんな時代の貴族の猟は、文字通りに「ゲーム」で、お遊びだから。
 とても食べ切れない量の獲物を、撃って遊んでいた時代。
(目の前で、ブルーが撃たれちまって…)
 倒れて動かなくなってしまったら、きっと復讐に飛び出してゆく。
 銃を構えたキースの前に。
 ウサギの後足の蹴りは強いから、それをお見舞いするために。
(もちろんキースは、撃って来るだろうが…)
 撃たれる前に一矢報いて、ささやかながらも、ブルーの仇を討ってやる。
 次の瞬間、パンと音がして、自分も銃の餌食でも。
 先に撃たれたブルーと一緒に、肉のパイになる運命でも。
(あいつと一緒に、肉のパイなら…)
 少しも後悔なんかはしない、と今も思うし、ブルーにも言った。
 パイになっても離れはしなくて、天国に昇ってゆく時も一緒。
 それは幸せな一生だろうし、そういう前世もいいかもしれない、と。
 ブルーと二人でウサギに生まれて、イギリスの野原を跳ね回って。
 同じ巣穴で仲良く暮らして、キースに撃たれて、肉のパイになる。
 こんがりと焼けた、美味しいパイに。
 そうしてキースの食卓に乗って、食べられて、二人で天国にゆく。
 どっちが先に辿り着くかと、競争で。
 天国に続く雲の野原を、ピョンピョンと跳ねて走って行って。


(……悪くないよな……)
 そんな前世も、とイギリスの野原に思いを馳せる。
 前世の記憶は無いのだけれども、なんとも幸せそうな光景。
 たとえ最後は肉のパイでも。
 貴族のお坊ちゃまのキースに、銃で撃たれておしまいでも。
(……待てよ?)
 俺は仇を討てたんだよな、と茶色いウサギの「自分」に気付いた。
 ウサギのブルーを撃ったキースに、後足で蹴りを見舞ったなら。
 それでキースは倒せなくても、渾身の一撃。
 狩猟用の頑丈なブーツに阻まれ、「痛い」とさえも思われなくても。
 キースは痛くも痒くもなくても、ウサギの自分は満足だろう。
 ウサギなら充分に痛い必殺の技を、キースに炸裂させたのだから。
 縄張り争いで使ったならば、どんなウサギも倒せる蹴りを。
(……キースの野郎は、まるで堪えていなくても……)
 フフンと鼻の先で嗤って、持っていた銃を構え直して、撃ったとしても。
 パンと乾いた音が聞こえて、目の前が真っ赤に染まったとしても…。
(…俺は確かに、キースの野郎に…)
 ウサギなりの復讐を遂げたわけだし、大満足の最期なのだと思う。
 「俺のブルーの仇は討った」と。
 キースに一発お見舞い出来たと、頼もしい後足に感謝しながら。
(…蹴りを入れる前に、撃たれちまっても…)
 復讐は果たせなかったとしても、やはり心に後悔は無い。
 「ブルーの仇を討とう」と走って、キースに向かって行ったのだから。
 憎いキースを蹴ってやろうと、力強い四肢で懸命に駆けて。
 仇は討てずに倒されたって、ウサギの自分は努力した。
 ウサギの身でも、出来る限りのことをしようと。
 先に撃たれた大事なブルーを、そのままにしてたまるものかと。
 キースの前に出て行ったならば、自分も確実に殺されるのに。
 銃で撃たれて命を落として、肉のパイになる運命なのに。


(……肉のパイになっちまう、ウサギの方が……)
 前の俺よりも幸せだぞ、と瞠った瞳。
 ブルーの仇を討つのだから。
 果たせず、あえなく撃たれたとしても、キースの前には出てゆける。
 「俺のブルーを撃った野郎を、許しはしない」と。
 武器は自分の後足だけでも、大したダメージを与えることは出来なくても。
(…それに比べて、前の俺ときたら…)
 キースの野郎に一撃どころか…、と零れる溜息。
 遥かな時を経た今になっても、自分の愚かさが悔やまれる。
 前の自分が「まるで知らなかった」、ブルーの最期。
 キースがメギドで何をしたのか、前の自分は知らないまま。
 だからユグドラシルでキースと顔を合わせた時、丁重にお辞儀をしてしまった。
 人類代表の国家主席に、それなりの礼を取らなければ、と。
 自分はミュウの代表の一人で、シャングリラのキャプテンだったのだから。
(……本当だったら、あそこで一発……)
 キースを殴るべきだったのに。
 心から愛した前のブルーを、弄ぶように撃ったのがキース。
 ウサギのブルーを撃つのだったら、弾は一発きりなのに。
 前のブルーでも、一発で倒すことが出来たのだろうに、キースは何発も撃った。
 そんな輩に礼を取ったとは、なんとも悔しい限りだけれど…。
(キースはいなくて、俺は仇を取れなくて…)
 どうにもならんし、肉のパイになったウサギがいいな、と羨ましい。
 そっちは仇を討てたのだから。
 仇は討てずに撃ち殺されても、「ブルーの仇!」とキースを憎めたから。
 おまけに最後はブルーと一緒に、仲良く肉のパイなのだし…。
(……肉のパイなら、うんと幸せなんだがなあ……)
 今の暮らしも悪くはないが、とコーヒーのカップを傾ける。
 青い地球での人生はもちろん最高だけれど、ウサギの前世も良さそうだから。
 ただの想像に過ぎないけれども、ウサギの自分は幸せだから…。

 

            肉のパイなら・了


※ハーレイ先生が羨ましくなった、ウサギのハーレイ。ブルーの仇を討てたから、と。
 元ネタは聖痕シリーズ第323弾の『前世と肉のパイ』です、そちらもよろしくv











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「ねえ、ハーレイ。もう一度、確認したいんだけど…」
 念のために、と小さなブルーが傾げた首。
 二人きりで過ごす休日の午後に、テーブルを挟んで。
「確認って…。何をだ?」
「ハーレイが、いつも言ってることだよ。キスは駄目なの?」
 大きくなるまでしてくれないの、という質問。
 耳にタコが出来そうな話だけれども、答えは、きちんと。
「当然だ。前のお前と同じ背丈に育つまではな」
 俺の決心は変わらないぞ、とハーレイは怖い顔をしてみせた。
 何かと言えば、ブルーはキスを強請って来る。
 頬や額へのキスと違って、恋人同士の唇へのキスを。
 それをしてやるつもりなど無いし、例外だって有り得ない。
 だから睨んで「駄目だ」と叱る。
 どんな手段を使って来ようと、唇にキスはしないからな、と。


「それじゃ訊くけど、浮気されてもいいんだね?」
「はあ?」
 予想外だったブルーの言葉に、思わず間抜けな声が出た。
 浮気というのは何なのだろうか、ブルーには似合わない言葉。
 ところがブルーは真剣な顔で、「浮気だよ」と繰り返した。
「ハーレイがキスしてくれないんなら、浮気してやる!」
 ぼくはホントに本気だからね、と赤い瞳が深みを帯びる。
 「キスもくれないハーレイよりかは、優しい誰か」と。
「おい、浮気って…。お前がか?」
 チビのくせに、と笑ってやったら、眉を吊り上げたブルー。
「中身は、チビじゃないんだから!」
 三百年以上も生きたんだから、と前のブルーの歳を持ち出す。
 その頃の記憶を持っている以上は、チビではないと。
 浮気くらいは立派に出来ると、相手にも不自由しない筈、と。


「ほほう…。相手には不自由しないと来たか」
 そりゃ上等だ、と余裕たっぷりに腕組みをした。
 ブルーが如何に綺麗だろうと、十四歳には違いない。
 前のブルーの方ならともかく、今の姿では浮気なんかは…。
(まず無理と言うか、そもそも相手がいないと言うか…)
 第一、困るのはブルーなんだが、と可笑しくなる。
 浮気相手が見付かった時は、ピンチなのに、と。
「笑ってる場合じゃないよ、ハーレイ!」
 本当に浮気しちゃうからね、とブルーは続けた。
 キスしてくれる優しい相手と、幸せにデートして浮気、と。
「そりゃいいな。お前の欲しいキスが出来る、と」
「いいって、其処で焦らないわけ!?」
 浮気されても平気なんだね、と怒ったブルー。
 「そうなる前に、キスしようとは思わないんだ」と。


「思わんな。そもそも、俺は少しも困らん」
 困るとしたら、お前の方だ、とピタリと突き付けた指。
 「初めてのキスは、浮気相手になるんだからな」と。
「えっ…?」
 そんな、とブルーの瞳が真ん丸になる。
 「ハーレイとじゃなくて、別の誰か…?」と。
「そうなるだろうが。俺はそれでも気にしないがな」
 ファーストキスは貰えなくてもかまわんぞ、と笑んでやる。
 「他の誰かにプレゼントしろ」と、「俺の心は広いから」と。
「嫌だってば!」
 浮気しないよ、と慌てるブルーが可愛らしい。
 腕組みしたまま、ゆったり構えて心の広い恋人になる。
 「遠慮しないで浮気してこい」と、鳶色の瞳を煌めかせて…。




          浮気してやる・了










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(赤ちゃんっていうのは……)
 大人には見えないものが見えるらしいよね、と小さなブルーが、ふと思ったこと。
 ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、お風呂上がりに。
 パジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
 何故、突然に「赤ちゃん」と思い付いたのか。
 その辺の所は、自分でもよく分からない。
(今日は赤ちゃん、出会ってないけど…)
 学校の行き帰りに乗るバスの中でも、歩く道でも、赤ん坊連れは見かけていない。
 けれどヒョッコリ頭に浮かんで、そちらに向く思考。
(…確かに見えているのかもね?)
 そう見えることがあるんだもの、と小さいながらも経験は幾つも。
 誰もいない方に笑顔を向ける子だとか、手を振る子とか。
 きっとああいう赤ん坊には、「見えない何か」が見えているのだろう。
(……大人じゃなくても見えないんだけど……)
 ぼくにはサッパリ、と苦笑する。
 ハーレイには「チビ」と言われるけれども、そういう面では「大人だよね」と。
 赤ん坊には見えているものが、まるで全く見えないのだから。
(だけどハーレイには、言うだけ無駄で…)
 相手にしてなど貰えないことは、尋ねる前から分かっている。
 「ぼく、大人だと思うんだけど」と言おうものなら、フフンと鼻で笑われて。
 「今度は、どんな悪事を思い付いたんだ?」と鳶色の瞳で覗き込まれて。
 どう頑張っても、チビには間違いないのだから。
 赤ん坊ではないというだけで、十四歳にしかならない子供。
 ハーレイからすれば立派に子供で、取り合うだけの価値さえも無い。
 「大人なんだよ」と言い張ってみても。
 根拠はこれだと頑張ってみても、「そりゃ良かったな」と流されるだけ。
 「赤ん坊から見れば、大人だろうさ」と。
 「それを言うなら、幼稚園児だって大人だよなあ?」などと。


(……うーん……)
 分からず屋のことは放っておこう、と赤ん坊の方に頭を切り替えた。
 言葉も話せない赤ん坊の目には、どんな世界が見えるのだろう。
 大人には見えないものたちで満ちて、キラキラと輝いているのだろうか。
(風の精とか、お花の妖精だとか…)
 そういった者たちが飛び交う世界で、赤ん坊の興味を惹くものが一杯。
 大人の目には「風が吹き抜けただけ」でも、風の精が踊りながら駆けてゆくとか。
 あるいは風の精霊の王が、お供を従えて行列だとか。
(…素敵だよね…)
 自分が赤ん坊だった頃には、きっと彼らが見えたのだろう。
 両親からは何も聞いていないし、自分でも覚えていないけれども。
 精霊や妖精は本の中にいて、挿絵に描かれるだけだけれども。
(……そうなってくると……)
 もしかしたら、と思い出した、さっきの分からず屋のこと。
 「放っておこう」と頭の中から追い出したけれど、二十四歳も年上の恋人。
 前の生から愛したハーレイ、生まれ変わってまた巡り会えた愛おしい人。
(…ぼく、ハーレイとは、赤ちゃんの時に…)
 会っていたかもしれないんだっけ、とハーレイから前に聞いた話が頭に蘇る。
 チビの自分が生まれた病院、そこを退院して、初めて外の世界に出た日。
 四月の初めだったけれども、寒の戻りで季節外れの白い雪が舞っていたという。
 赤ん坊の自分が寒くないよう、母がストールで包んでくれた。
 そして同じ日、ハーレイは同じ病院の前で、退院してゆく赤ん坊を見た。
 暖かそうなストールにくるまれ、母親の腕に抱かれた赤ん坊を。
(それって、きっとぼくだったんだよ)
 そうに違いない、と二人揃って結論付けた。
 もっとも、証拠は無いのだけれど。
 ハーレイはストールの色を全く覚えていなくて、赤ん坊の顔も見ていない。
 もしも見たなら、忘れたりする筈がないから。
 赤ん坊の目が開いていたなら、その目は鮮やかな赤なのだから。


 そうして「出会えなかった」あの日に、赤ん坊の自分は「見た」かもしれない。
 ジョギング中だった、とても大切な人を。
 前の生から愛し続けて、また巡り会えた愛おしい人を。
(…赤ちゃんには、いろんなものが見えるんだとしたら…)
 空から舞い降りてくる雪の妖精、それが耳元に囁いたろうか。
 「あっちを御覧」と、ハーレイの方を指し示して。
 雪の中を元気に走っている人、その人が「今のハーレイ」なのだと。
(そうだったかも…)
 赤ん坊の自分は、懸命にそちらを見たかもしれない。
 ストールが邪魔をして、よく見えなくても。
 「あれがハーレイだ」と分かった時には、後ろ姿になっていたって。
(……きっと、とっても嬉しかったよね……)
 ハーレイには声も掛けて貰えず、気付かれもせずに終わっても。
 ただタッタッと駆けてゆくだけの、若き青年だったとしても。
(ちゃんとハーレイもいるんだよ、って…)
 安心して眠りに就いたのだろうか、赤ん坊だった幼い自分は。
 ハーレイも同じ世界にいるなら、いつかは必ず会えるのだから。
(…それとも、雪の妖精じゃなくて…)
 もっと他のもの、違う誰かが「ハーレイ」を教えに来てくれたろうか。
 かつて生命を持っていた者、いわゆる幽霊、あるいは魂。
 遠く遥かな時の彼方で、白い箱舟にいた仲間たち。
 彼らの内の誰かが出て来て、「ハーレイだよ」と指差して。
 なにしろ宇宙はとても広くて、船の仲間たちが「いつも必ず」生きているとは限らない。
 生まれ変わりを待つ途中だったら、暇だろうから。
 雲の上から下界を見下ろし、ハーレイにも、「赤ん坊のブルー」にも気付いて。
 「今は、ああいう人生なのか」と見守っていて。


(……ひょっとして、ゼル?)
 あるいはヒルマン、ブラウやエラ。
 とても懐かしい昔馴染みが、病院の表に立っていたろうか。
 ストールにくるまれた赤ん坊を囲んで、「じきにハーレイが走って来るよ」と。
 あちらの方からやって来るのだと、服の色まで教えてくれて。
(…「感動的な再会だねえ」って…)
 ブラウあたりは言いそうだけれど、赤ん坊の自分は、きっと複雑。
 ハーレイに会えるのは嬉しくっても、その「ハーレイ」のことが問題。
(…ブラウも、ゼルやヒルマンも…)
 もちろんエラも全く知らない、前の自分の恋物語。
 白いシャングリラで「ソルジャー・ブルー」は恋をしていた。
 恋のお相手は「キャプテン・ハーレイ」、どちらも船の頂点に立つ者。
 だから誰にも明かすことなく、恋をしたことを隠し続けた。
 その生涯を終えるまで。
 前の自分がメギドで命を失った後も、ハーレイは秘密を抱いたまま。
 恋人を失い、生ける屍のようになっても、それさえも伏せて。
 航宙日誌にも何も書かずに、地球の地の底で命尽きるまで、たった一人で抱え続けて。
(……感動の再会には違いないけど……)
 それはブラウやゼルたちが思う「感動」の形とは、まるで異なる。
 彼らは「親友同士の再会」だと信じているのだから。
 年こそ離れていたのだけれども、親友だった前の自分とハーレイ。
 お互いに恋をするまでは。
 互いを大切に思う気持ちが恋だと気付いて、それを確かめ合うまでは。
(誰も、なんにも知らないんだから…)
 ゼルやブラウの魂が見えて、彼らが教えてくれたとしても…。
 「ハーレイが来るよ」と言ってくれても、とても素直には喜べない。
 胸はドキドキ高鳴っていても、「恋人だった」ことは秘密だから。
 迂闊に反応を示したならば、何もかもバレてしまうのだから。


(……バレちゃったとしても……)
 今ならば、何も困らない。
 白いシャングリラは地球まで行ったし、あれから長い時が流れた。
 人間は全てミュウになった世界、SD体制もとうに倒された後。
 だからバレてもいいのだけれども、赤ん坊の自分はためらいそう。
 なにしろ、赤ん坊だから。
 いくら「大人には見えないもの」が見えても、「自分が誰か」を覚えていても。
 ゼルたちが「ハーレイだよ」と教えてくれるのだったら、前の自分の記憶はある。
 育つ間に忘れただけで、前の生の記憶をまだ持っていて。
(……ハーレイのことも忘れていなくて……)
 会えると聞いたら、本当に飛び跳ねたいほどに嬉しい。
 生まれて間もない赤ん坊では、そんなことなど出来ないけれど。
 せいぜい「キャッキャッ」と笑うだけでも、そうしたいほどに嬉しいだろう。
 けれども、やっぱり明かせない「秘密」。
 明かしても誰も困らなくても、自分自身が恥ずかしすぎて。
 ゼルやブラウに周りを囲まれ、祝福されたらどうしよう、などと。
(…絶対、そうなっちゃうんだよ…)
 恋人同士の再会なのだ、とバレたなら。
 時の彼方では隠し続けた、恋人同士の大切な絆。
 そのことさえも、今となっては「格好の話の種」でしかない。
 ブラウたちが揃って賑やかに笑い、赤ん坊の自分の肩を叩いて、祝福をくれることだろう。
 「長い間、ご苦労さんだったね」と。
 「もう障害は何も無いから、今度は、うんと幸せになりな」と。
 そう、雪の中をジョギングしているハーレイと。
 今のハーレイの記憶が戻れば、恋人同士になれるから。
 誰にも邪魔をされることのない、幸せな恋路。
 それが二人を待っているから、「お幸せに」と、口々に言って。


(……言えないってば……!)
 そんな恥ずかしいこと、と頬っぺたがカッと熱くなる。
 鏡で見たなら、トマトみたいに真っ赤な顔に違いない。
 赤ん坊の頃の自分は、きっと頬っぺたを染める代わりに…。
(……知らないよ、って……)
 狸寝入りを決め込んだよね、と零れた笑み。
 ゼルやブラウが周りにいたなら、「ぼくは眠い」と大嘘をついて。
 もしもあの時、彼らの姿が見える赤ん坊だったなら。
 大人には見えないものが見られて、ゼルたちも見えていたならば。
 何故ならば、とても恥ずかしいから。
 ハーレイと恋人同士だったことがバレたら、赤ん坊でも、本当に恥ずかしすぎるのだから…。

 

            赤ん坊だったなら・了


※大人には見えないものが見えるというのが赤ん坊。ブルー君にも、赤ん坊だった時代が。
 その頃にハーレイと会っていたなら、ゼルたちが教えてくれたのかも、というお話v












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(赤ん坊ってヤツは……)
 大人の目には見えないものが見えるらしいよな、とハーレイが、ふと思ったこと。
 ブルーの家には寄れなかった日、夜の書斎で。
 愛用のマグカップに淹れたコーヒー、それをお供に寛いでいて。
(あの子には、何が見えてたんだか…)
 仕事帰りに車で行った、家の近くの食料品店。
 其処で出会った、母の腕に抱かれた赤ん坊。
 若い夫婦が子連れで来ていて、父親が食料品を入れたカートを押していた。
 妻が「これを」と注文する品を、せっせとカートに追加しながら。
 赤ん坊は起きていたのだけれども、突然、笑顔で手を伸ばした。
 野菜が積まれた棚に向かって。
 棚には何もいないというのに、まるで何かがいるかのように。
(これが外なら、まだ分かるんだが…)
 公園などで起きたことなら、気を引く「何か」を見付けたと分かる。
 風で動いた木の葉っぱだとか、急に光が差した場所とか。
(……しかしだな……)
 場所は食料品店だったし、そんな「何か」があるわけもない。
 レジとか、他の買い物客がいたならともかく、食料品の棚などには。
 それも野菜がズラリと並んだ、何の変哲もない所には。
(……だが……)
 あの子は楽しそうだったんだ、と赤ん坊の姿が脳裏に蘇る。
 キャッキャッと可愛い声ではしゃいで、野菜の棚に手を振っていた。
 とても小さい、紅葉の葉っぱのような手を。
 棚に並んだ野菜を持つには、まだまだ小さすぎる手を。
(お母さんは、「ジャガイモがいい?」とか訊いていたがな…)
 我が子の気を引いた野菜はどれかと、指差し合っていた両親。
 出来ればそれを買って帰ろうと、笑み交わして。
 赤ん坊でも食べられるメニューは、何があるかと挙げてゆきながら。


 離乳食なら、食べられそうだった赤ん坊。
 とっくに眠っているだろうけれど、夕食は何を食べたのだろう。
 食料品店で買ったばかりの野菜を使った、母親が作る離乳食。
 あるいは父が作っただろうか、「たまには腕を奮ってみるか」と。
(離乳食ってヤツも、けっこう奥が…)
 深いらしいし、と知識だけはある。
 大人の食事とは違うけれども、凝る人は、とことん凝るらしい。
 色々な素材を裏漉ししたり、ミキサーにかけてドロドロにしたり。
 そこから更に手間ひまかけて、プリンみたいに仕上げてみたり、と。
(…あの子も、美味いの、食ったんだろうなあ…)
 大満足で寝てるんだろう、と微笑ましい。
 野菜の棚に手を振るくらいの幼さだけども、家では、きっと立派な王様。
 誰よりも大切にかしずいて貰って、居場所は小さなベッドの玉座。
 お風呂も食事も両親の手を借り、何不自由のない暮らしをして。
(召使いは、もっといるかもな?)
 祖父母も同じ家にいるなら、召使いは二人増えるだろう。
 王様のお世話が好きでたまらない、甘くて優しい人たちが。
(はてさて、王様は誰に手を振っていたんだか…)
 野菜の棚には、召使いなんかいないんだがな、と考えなくても分かること。
 顔見知りの大人も子供もいなくて、もちろん可愛い動物もいない。
(ジャガイモも、タマネギも、ニンジンもだ…)
 ピクリとも動くわけがないから、野菜に手を振る理由など無い。
 それなのに、懸命に手を振っていた。
 あの子供にしか見えない「何か」に向かって、嬉しげに。
 まるで野菜と遊ぶかのように、精一杯に小さな手を伸ばして。


(…野菜の妖精が座っていたかな…)
 だったら分かる、と一人で頷く。
 よく耳にするのが「赤ん坊には、大人には見えないものが見える」という話。
 実際、そうだと思える場面は幾つもあったし、今日の出来事もその一つ。
 野菜ばかりが並んだ棚には、きっと「何か」がいたのだろう。
 畑からトラックに乗って旅をして来た、ジャガイモやタマネギなどの妖精。
 それとも畑に生えていた草から、花の妖精でもくっついて…。
(食料品店まで来ちまったかもなあ、好奇心ってヤツで一杯で)
 妖精だったら、公園などの方がお似合いなのに、食料品店の棚に腰を下ろして。
 自分に気付く人はいるかと、茶目っ気たっぷりに足をブラブラさせて。
(そいつは大いにありそうだぞ)
 何の妖精だったんだろう、と自分まで気になってくる。
 大人の目では見られないから、分からない分、余計に見たい。
 赤ん坊と同じ視点で世界が見えたら、どれほど楽しいことだろう。
 妖精がいたり、他にも素敵なものが沢山。
(切り替えられればいいのにな?)
 サイオンっていう便利なものがあるんだから、と考えた。
 精神の力がサイオンなのだし、心と密接に繋がった力。
 無垢な子供の瞳で見たい、と念じたらパッと切り替わるとか、と。
(そうすりゃ、俺にも野菜の妖精が…)
 見えるんだがな、と顎に手を当て、ふと気付いたのが「過去」のこと。
 遠く遥かな時の彼方で、「キャプテン・ハーレイ」と呼ばれた時代。
(……あの頃の俺は、赤ん坊どころか……)
 子供時代の記憶を全て失くして、養父母の名前さえも覚えていなかった。
 成人検査という名のシステム、それに「サイオン」を忌み嫌う機械。
 それらがズタズタに踏み躙ったのが、前の自分の人生だった。
 負けずに強く生きたけれども、失った記憶は戻らないまま。
 そうして恋人のブルーも失くして、長い長い時を一人きりで生きて…。
(……地球に来たんだ)
 死の星だった地球の地の底で息絶え、それから遥かな時を飛び越えて、青い地球まで。


(…今の俺は、どうだったんだろう?)
 赤ん坊だった頃の俺ってヤツは…、と傾げる首。
 「大人には見えないものが見える」のなら、やはり妖精が見えただろうか。
 隣町に住む両親からは、特に聞いてはいないけれども。
(見えてたのかもしれないなあ…)
 すっかり忘れちまったんだが、と残念な気持ち。
 時の彼方で生きた自分も、幼い頃には「見た」のだろうか。
 SD体制が如何に酷くとも、「大人の目には見えないものたち」までは消せない。
 あんな時代でも、妖精たちは何処かで生きていたかもしれない。
 普段はひっそりと息をひそめて、幼い子供に出会った時だけ、生き生きとして。
(そう考えてみりゃ、赤ん坊の頃には、誰だって、ミュウ…)
 たとえ生粋の人類だろうと、「目には見えないものたち」が見えているのなら。
 成長したら見えなくなろうと、立派に備わっていた能力。
 それを失わずに大きくなったら、ミュウへと変化したのだろうか。
 方向性は違うけれども、サイオンという形になって。
 野菜の妖精たちの代わりに、人の心が見える生き物に進化していって。
(……どうなんだかな?)
 その辺の研究はしてるんだろうか、と思うけれども、それは自分の管轄外。
 専門分野がまるで違うし、調べようにも手掛かりもゼロ。
(まあ、いいが…。それよりも赤ん坊の視点ってヤツが…)
 ちょいと欲しいな、と見たくなるのが、野菜の妖精たちがいる世界。
 赤ん坊の頃に戻れるものなら、少し戻ってみたい気もする。
(ほんの半日くらいなら…)
 あの時代ってヤツに戻ってもいいな、と隣町の家を頭に描く。
 庭に植えられた夏ミカンの木は、森のように見えることだろう。
 大人の目にも立派な木だから、赤ん坊の目には、きっと森。
 其処から妖精が覗くのだろうか、黄色いミカンに腰を下ろして。
 あるいは枝からヒョイとぶら下がって、空中ブランコみたいに飛んだり。


 それも愉快だ、と「赤ん坊なら…」と広がる夢。
 夏ミカンの木の妖精に手を振り、他にも色々なものたちが見える。
 空を飛んでゆく風の精とか、ひょっとしたら、お菓子の妖精だって。
(妖精の他にも、見えるのかもな?)
 不意に心を掠めていった、とても懐かしい人の面影。
 今は小さな子供の姿の、前の自分が愛した人。
(……ソルジャー・ブルー……)
 もしかしたら、彼もいたのだろうか。
 赤ん坊だった頃の自分が、無邪気に眺めていた世界に。
 前の生の記憶は戻っていなくて、それが誰かも知らないままに。
(…あいつは、俺よりずっと年下…)
 二十四歳も年下なのが、小さなブルー。
 ならば充分、有り得ること。
 生まれ変わって来る前のブルーが、ゆりかごを覗き込んでいたとか。
 肩に妖精たちを止まらせ、庭に微笑んで立っていたとか。
(……おふくろたちに訊いたところで……)
 きっと手掛かりは無いんだろうな、と思うけれども、そうだったろうか。
 心から愛した人とも知らずに、前のブルーに手を振ったろうか。
 「とても優しい人なんだよ」と、無垢な心で思い込んで。
 ブルーは少し寂しいだろうに、そんな気持ちを知りもしないで。
(…赤ん坊なら、許されるんだろうが…)
 やっちまっていたならすまん、と心の中でブルーに詫びる。
 生まれ変わった小さなブルーは、きっと忘れているだろうけれど。
 思い出しても、笑って許してくれそうだけれど、やっぱり少し悲しいから。
 赤ん坊なら仕方なくても、愛おしい人に気付かなかったこと。
 ブルーがあやしてくれていたって、「いい人」としか思わなかったろうから。
 誰よりも大切だった人だというのに、妖精たちの仲間扱いしたのだから…。

 

           赤ん坊なら・了


※ハーレイ先生が考えたこと。赤ん坊だった時代に、前のブルーに出会ったかも、と。
 本当は出会っていないんですけど、生まれ変わる前の記憶が無いから、知りようがないですv












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「ねえ、ハーレイ。ちょっと質問があるんだけれど…」
 かまわないかな、と小さなブルーが傾げた首。
 二人きりで過ごす休日の午後に、いつものテーブルを挟んで。
 向かい合わせでお茶を飲みながら、「かまわない?」と。
(……また来たか……)
 ろくな質問じゃあるまいに、とハーレイは心で溜息をつく。
 こういった時のブルーの質問、それは大抵、キスのこと。
 十四歳にしかならないブルーは、唇へのキスを禁止された身。
 一人前の恋人気取りなだけに、その仕打ちが嫌で質問する。
 あの手この手で、なんとかしてキスを勝ち取ろうと。
 意地悪な恋人に「参った」と言わせて、キスを貰おうと。
(だが、俺にだって、事情があるんだ)
 その手に乗るか、と今日も身構える。
 ブルーが何と言って来たって、バッサリと切って捨てようと。


 まずは質問の確認から。
 ブルーの瞳を真っ直ぐ見詰めて、問い返した。
「質問なあ…。中身にもよるが、お前は何を訊きたいんだ?」
「えっとね…。ハーレイ、告白されたら、どうする?」
「はあ?」
 あまりにも予想外だっただけに、思わず、変な声が出た。
 告白とは恋の告白だろうか、そんなものを誰がしてくるのか。
(……俺に告白しようってか?)
 ブルーのことかと思ったけれども、よく考えたら毎度のこと。
 しょっちゅう告白しているような感じなのだし、今更だろう。
(だったら、誰が…?)
 サッパリ分からん、と鳩が豆鉄砲を食らったよう。
 鳶色の目を丸く見開いて、ポカンとブルーを見ているだけ。


「だから、ハーレイが告白された時だよ!」
 痺れを切らしたように、ブルーが叫んだ。
 「もしも誰かに告白されたら、どうするの?」と。
 「ハーレイには、ちゃんとぼくがいるのに」と、心配そうに。
(……なるほど……)
 そういうことか、と納得がいった。
 かつてはモテたのが今の自分で、ブルーも承知。
 それで不安になったのだろう、誰かに奪い取られないかと。
(…だったら、いつもの仕返しにだな…)
 少し苛めてやるとするか、と悪戯心が頭をもたげた。
 キスを強請られてばかりなのだし、お返しだ、と。
 たまにはブルーを困らせてやろうと、心の中でほくそ笑んで。
(そうと決まれば…)
 よし、と小さなブルーに向き合った。
 「相手によるな」と、余裕たっぷりに。
 「俺の好みの相手だったら、受けるかもな」と。


「えっ…。受けるって、どういう意味?」
 ちょっとデートをするだけだよね、とブルーが慌てる。
 その場で断るのも申し訳ないし、断る前に、と。
「さあ、どうだか…。俺としては、やはり色々と…」
 思う所もあるわけだしな、と瞑った片目。
 「いい嫁さんになってくれそうだったら、考えないと」と。
「ちょ、ちょっと…! ぼくはどうなるの!?」
「さてなあ…。俺が結婚しちまった時は、まあ、幸せにな」
 お前も誰か見付ければいい、とニヤリと笑う。
 「いい男は他にも沢山いるし、女の子だって」と。
「嫌だってば! ハーレイ、告白、断ってよ!」
「俺にも選ぶ権利はあるしな、何も急いで断らなくても…」
 暫くお付き合いをしてみるのも…、などとブルーを苛める。
 「こんな意地悪も、たまにはいいさ」と。
 ブルーが自分で言い出したのだし、焦る姿も可愛いから。
 「可愛い子ほど、苛めたくなるもんだ」と心で言い訳して…。




            告白されたら・了









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