(小さいんだが…)
チビなんだがな、と恋人の顔を思い浮かべる度に緩む頬。
愛おしさが溢れて止まらない。胸一杯に溢れてしまって、どうしようもない愛おしさ。
まるで空から降って来たように、腕の中に戻って来た恋人。小さなブルー。
見た目どおりにチビだけれども、中身もすっかりチビなのだけれど。
想う度に胸が熱くなる。愛おしい気持ちが溢れて来て。
まさか会えるとは思わなかった、と何度呟いたことだろう。
巡り会えた奇跡に感謝したろう、この地球の上でブルーに出会えたことを。
前と同じにブルーとハーレイ、名前も姿も変わることなく再び出会って抱き合えたことを。
(少しばかり小さすぎるんだが…)
ブルーの姿は、アルビノの身体は前と全く変わらないけれど。
別れた時より小さくなった。十四歳にしかならない子供で、華奢を通り越して折れそうで。
(それでも俺のブルーだ、うん)
チビでもブルーだ、と愛しい恋人の名を繰り返す。心で、何度も。何度も、何度も。
呼ぶ度に愛しい、愛しさが募る。抱き締めたくてたまらなくなる。
けれどもブルーは小さな子供で、出来ることは抱き締めることだけで。
キスを落とすなら頬と額で、唇へのキスは出来なくて…。
自分が禁じた唇へのキス。
小さなブルーに強請られる度に「駄目だ」と叱り続けているキス。
ブルーは小さすぎるから。あまりに幼く、無邪気だから。
キスをしようとは思わない。ましてその先など思わないけれど。求めないけれど。
(…ブルーはブルーだ…)
想えば愛しい、どうしようもなく愛おしい。
この腕に抱き締め、閉じ込めたくなる。キスは駄目でも、その先は駄目でも。
(あんなに小さくなっちまうなんて…)
夢にも思いはしなかった。
前のブルーを愛した時には、引き裂かれるように別れた時には。
メギドへ飛び立つブルーの背中を見送った時には、また会えるとさえ思わなかった。
こんな形で、青い地球の上で。
前とそっくり同じ姿で、同じ名前で、もう一度ブルーに巡り会うとは。
それも小さくなったブルーに、まだまだこれから育つブルーに。
ブルーはこれから育ってゆく。前と同じに、前のブルーとそっくり同じに。
それは気高く美しく育つことだろうけれど、その姿をすぐ側で見られるけれど。
(育ったあいつも見たいんだが…)
早く見たいと、育ったブルーを抱き締めたいと思うけれども、それと同じくらい。
変わらないくらいに、今のブルーが愛おしい。
小さなブルーが、チビのブルーが。
(チビのあいつに会っちまったしな…)
戻って来てくれた愛おしい人は、チビだったから。
自分の方がずっと年上で、守ってやれる立場だったから。
そのせいだろうか、チビのブルーが愛おしい。前のブルーと同じくらいに。
離したくなくて、抱き締めたくて。
もしも時間を止められるのなら、チビのままでもかまわないほどに愛しいブルー。
小さな小さな、十四歳にしかならないブルー。
チビでも愛しい、小さな恋人。
今度は守ってやれる恋人、だから小さくても愛おしい。
小さい分だけ、愛しさが募る。チビな分だけ、増す愛おしさ。
どうにも不思議でたまらないけれど、チビのブルーに捕まったらしい。
前のブルーと変わらないくらいに、同じくらいに愛しいと思う。
キスが出来なくても、その先のことが出来なくても。
それでも今のブルーが愛しい。小さなブルーが愛おしい。
チビでもブルーはブルーだから。前の生から愛し続けた、愛おしい人が帰って来たから…。
チビでも愛しい・了
※チビのブルー君が愛おしくてたまらないハーレイ先生。抱き締めてすりすりしたいかも。
子供扱いされるブルー君は膨れるでしょうが、すりすりも嫌いじゃなさそうですねv