どうも、管理人の「みゆ」でございます。画像は「そるじゃぁ・ぶるぅ」君ですが。
ハレブル別館に置いてる、拍手御礼ショートショート。
月に一回入れ替えてますが、諸事情あってハレブル別館には置けませんでした。
流れ去ったショートの再録場所が要るんだよね、と前から一応、思っていたです。
この際、置き場所作ってみるかな、と作ってみました。
書き下ろしショートも置いてますから、のんびり遊んで下さいね~。
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書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
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※書き下ろしショートの時間軸には「順番」は全くありません。![]()
何処から読んでも無問題ですv
拍手その1・それぞれの場所:いつも座る席を取り替えたら…。
拍手その2・毎日が幸せ:毎日が幸せなブルー君。
拍手その3・考え事:ハーレイの声を聞いていたら…。
拍手その4・帰っちゃ嫌:ハーレイが家に帰るのは嫌。
拍手その5・熱々の季節:暑い夏でもくっつきたい!
書き下ろし1・ハーレイのスープ:ブルーのために作る野菜のスープ。
書き下ろし2・恋人が出来た:思いがけずも出来た恋人。
書き下ろし3・痛かったけれど:痛かったけれど、聖痕は宝物。
書き下ろし4・洗車 :ハーレイ、愛車を洗うの巻。
書き下ろし5・断られたキス:再会のキスも出来なかったなんて…。
書き下ろし6・軽すぎるペン:羽根ペンが軽すぎる、慣れないハーレイ。
書き下ろし7・眠っていたから:ハーレイのベッドに瞬間移動が出来たのに…。
拍手その6・足音:ハーレイの足音は分かるのです。
書き下ろし8・再会:ブルーが起こした聖痕現象、ハーレイ視点。
書き下ろし9・魔法のスープ:ハーレイが作ってくれる野菜スープの魔法。
書き下ろし10・腕で作る輪:腕で作る輪、それに収まるブルーの身体。
書き下ろし11・夢みたいだけど:今の身体に生まれ変わったブルー。
書き下ろし12・大好きの言葉:ハーレイに何度も言いたい「大好き」。
書き下ろし13・船と車と:シャングリラよりも車が似合いのハーレイ。
書き下ろし14・小さな手だけど:小さな手でも、ブルーの右手は幸せ者。
書き下ろし15・チビでも愛しい:どんなにチビでも、愛しいブルー。
書き下ろし16・恋人は先生:恋人が先生だなんて、絶対に内緒。
書き下ろし17・いじらしい敬語:学校ではハーレイに敬語なブルー。
書き下ろし18・学校とブリッジ:学校とブリッジは似ているような…。
書き下ろし19・柔道部は無理:ブルーが柔道部に入れたら…。
書き下ろし20・学校に行きたい:熱を出して学校はお休みなブルー。
拍手その7・小さな躊躇い:床に落としたベリー、食べてもいい?
書き下ろし21・おふくろのケーキ:ハーレイの好物、パウンドケーキ。
書き下ろし22・ママのケーキ :ハーレイのために焼きたいパウンドケーキ。
書き下ろし23・贅沢な朝食 :ハーレイの朝食、前世と比べたらとても贅沢。
書き下ろし24・朝食の風景:食の細いブルー君の朝の食卓。
書き下ろし25・変わっちゃいない:前世も今も、ハーレイはハーレイ。
書き下ろし26・変わってないけど:前世も今も、ブルーはブルー。
書き下ろし27・長袖のワイシャツ:夏でも長袖のハーレイ、前世のせいかも?
書き下ろし28・みんなと同じ服:今のブルーの制服は、他のみんなと全く同じ。
書き下ろし29・気に入りの書斎:ハーレイの書斎、実はキャプテン・ハーレイ好み?
書き下ろし30・帰りたい部屋 :青の間にホームシックなブルー。その理由は?
書き下ろし31・忘れた買い物:買い忘れても大丈夫。そういう世界にいるハーレイ。
書き下ろし32・忘れられた買い物:買い忘れられても、今は大丈夫。ブルーの世界。
書き下ろし33・ぼくがチビでも:「ぼくがチビでも悲しくない?」と訊いたのに…。
書き下ろし34・キャンプ用の椅子:キャンプ用の椅子でブルーとデート。
書き下ろし35・白いテーブル:キャンプ用のテーブルでハーレイとデート。
拍手その8・温もりが欲しい:夏でもハーレイの温もりが欲しい、ブルーの右手。
書き下ろし36・ブルーが足りない:会えなくてブルー不足なハーレイ。
書き下ろし37・ハーレイが足りない:会えなくてハーレイ不足なブルー。
書き下ろし38・久しぶりに会えた:ブルー不足とハーレイ不足な日々に終止符。
書き下ろし39・天の川を泳ごう:ブルーに会うためなら、天の川でも泳ぎ渡れる。
書き下ろし40・天の川の幅:広い天の川でも、ハーレイは泳いで渡ってくれる。
書き下ろし41・天の川を渡って:天の川に隔てられても、会える筈の二人。
書き下ろし42・叶えてやれない:ブルーの願いは叶えてやりたいけれど…。
書き下ろし43・叶えてくれない:願いを叶えてくれないハーレイなんて…。
書き下ろし44・もう一人いれば:一人の夕食。もしもブルーがいてくれれば…。
書き下ろし45・いて欲しい人:一人でおやつ。ハーレイがいてくれたなら…。
書き下ろし46・見られない蛍:去年までなら蛍見物。今のハーレイは…。
書き下ろし47・見てみたい蛍:ハーレイと蛍を見に行けたなら…。
書き下ろし48・飛べないあいつ:空を飛べないブルーが愛しい。
書き下ろし49・飛べないぼく:ハーレイに見せてあげたい、空を飛ぶ姿。
書き下ろし50・あいつの背丈:背丈が伸びなくても、愛おしいブルー。
書き下ろし51・ぼくの背丈:どうして背丈が伸びないのか。ブルーの悩み。
書き下ろし52・ブルー日和:今日のような日はブルー日和、と思うハーレイ。
書き下ろし53・ハーレイ日和:こんな日はきっとハーレイ日和、と思うブルー。
拍手その9・可哀相な動物:可哀相な動物がいるんだけれど、とブルーの主張。
書き下ろし54・歩いてゆける地面:ブルーの所へ歩いてゆける地面。地球の上を。
書き下ろし55・歩きたい地面 :ハーレイが歩いただろう地面を歩きたいブルー。
書き下ろし56・降りそうな天気:雨が降るかも。キャプテンは勘に頼れないけれど…。
書き下ろし57・降りそうだけど:地球に降る雨の最初の一粒。見てみたいブルー。
書き下ろし58・恋人がいるだけで:恋人がいるというだけで浮き立つハーレイの心。
書き下ろし59・恋人がいるから:恋人がいるから、寝込んでも心は幸せなブルー。
書き下ろし60・走ってゆける:思い立ったら、ひとっ走りしに行ける今のハーレイ。
書き下ろし61・走ってゆきたい:ハーレイの家まで走って行けたら、と思うブルー。
書き下ろし62・キスは駄目だ:キスは駄目だと何度叱っても、諦めないブルー。
書き下ろし63・キスが欲しいのに:キスが欲しいのに、くれないハーレイ。
書き下ろし64・今度は掴める:今度は掴めるブルーの手。行ってしまう前に。
書き下ろし65・今度は失くさない:何度でも貰えるハーレイの温もり。
書き下ろし66・ずっと愛してる:生まれ変わっても、愛するのはブルー。
書き下ろし67・ずっと大好き:生まれ変わっても、大好きなハーレイ。
拍手その10・お腹が空かない?:長いことぼくを食べてないでしょ、と訊くブルー。
書き下ろし68・扉を開けたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし69・扉が開いたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
書き下ろし70・暑苦しくない:暑い夏でも、暑苦しくない熱の塊。それがブルー。
書き下ろし71・暑くないから:ハーレイにくっついていても、暑くない夏。
書き下ろし72・行くには早いが:ブルーの家に行くには早いけれども、待てない時間。
書き下ろし73・まだ来ないけど:まだハーレイは来ないけれども、早起きしたら…。
書き下ろし74・よく伸びるんだが:ブルーの背丈とは違って、よく伸びる夏草。
書き下ろし75・よく伸びるんだけど:よく伸びるミントが羨ましくても、自分の背は…。
書き下ろし76・脱いでいい靴:一日中、靴を履いていなくてもいい今のハーレイ。
書き下ろし77・脱いでもいい靴:一日中、靴を履かなくてもいい今のブルー。
書き下ろし78・ブルーの笑顔:前のブルーよりも多い、今のブルーの笑顔の数。
書き下ろし79・ハーレイの笑顔:前の自分だった頃から好きな、ハーレイの笑顔。
書き下ろし80・夢だった地球:今のハーレイには当たり前の地球。夢ではなくて。
書き下ろし81・夢に見た地球:前のブルーが夢に見た地球。今のブルーが暮らす星。
書き下ろし82・暑くなっても:暑さは地球の太陽のせい。ハーレイが気付いた今の幸せ。
書き下ろし83・暑いけれども:暑さは苦手でも、地球の太陽。今のブルーは幸せです。
拍手その11・下手くそになった?:キスが下手くそになったんでしょ、と尋ねるブルー。
書き下ろし84・窓の向こうは:ハーレイが窓の向こうに見た朝日。今の地球の夜明け。
書き下ろし85・窓の向こうに:窓の向こうにいつもある地球。今のブルーなら。
書き下ろし86・あの空を旅した:ハーレイが仰いだ夜空。前世で旅をしていた宇宙。
書き下ろし87・あの空を旅して:ブルーが見上げる夜空。前世で地球を探した宇宙。
書き下ろし88・三日月の夜に:今のハーレイが眺める月。前の自分とは違った視点。
書き下ろし89・チビの三日月:月の方が早く育つなんて、とブルーは膨れっ面で…。
書き下ろし90・川を下る船:川下りの船。いつかブルーを乗せてやろうと思う船。
書き下ろし91・川をゆく船:ハーレイと乗りたい川下りの船。大きくなったら。
書き下ろし92・海が似合う夏:いつかブルーと行きたい海。前世で夢見た地球の海へ。
書き下ろし93・夏が似合う海:いつかハーレイと行きたい海。本物の地球の青い海へ。
書き下ろし94・欲しかった羽根ペン:今のハーレイ。羽根ペンが欲しいと思ったら…。
書き下ろし95・あげたい羽根ペン:ハーレイの誕生日にあげたい羽根ペン。どうする?
書き下ろし96・何でも美味い:何でも美味い、と思うハーレイ。多分、前世のせいで。
書き下ろし97・何でも美味しい:好き嫌いが全く無いブルー。きっと、前世のせいで。
書き下ろし98・作ってやりたい:ブルーに作ってやりたい料理。スープの他にも。
書き下ろし99・作ってあげたい:ハーレイに作ってあげたい、好物のパウンドケーキ。
拍手その12・今が食べ頃:ブルー君曰く、今が自分の旬だとか。
書き下ろし100・同じ顔だが:今のハーレイには別の顔。思いもよらなかった顔。
書き下ろし101・同じ顔だけど:前のぼくの顔じゃない、と溜息をつくチビのブルー。
目次・その2: ←102話以降の目次は、こちらv![]()
こちらからも行けます→ http://bluestone.kyotolog.net/Entry/115/
目次・その3:←302話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→http://bluestone.kyotolog.net/Entry/320/
目次・その4:←518話以降の目次は、こちらv
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目次・その5:←602話以降の目次は、こちらv
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※拍手下さった方、ありがとうございます~!![]()
大切だよね、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 急にどうした?」
お前は素直なんじゃないのか、とハーレイは尋ね返した。
今のブルーは、子供だけあって、素直だと思う。
自分の気持ちを隠すよりかは、直接ぶつけて来るタイプ。
(…これ以上、素直になられてもなあ…)
我儘になってしまうだけでは、と首を傾げるしかない。
するとブルーは、「ちょっぴり、反省中…」と口籠った。
「今のぼくじゃなくって、前のことなんだけど…」
後悔先に立たずで、もう遅いけどね、と溜息を零して。
「前のお前だって?」
確かに素直じゃなかったかもな、とハーレイは大きく頷く。
前のブルーは「自分に対して」素直とは言えなかった。
自分さえ我慢していれば、と様々な気持ちを押し殺した。
「それで? 今になってから、反省中だ、と?」
「そう…。失敗しちゃっていたのかも、ってね…」
もしも素直になっていたなら、とブルーは昔話を始めた。
「アルテメシアから逃げた直後も、そうなんだけど…」
ジョミーに「頼む」と言えていたら、とブルーは俯く。
「ナスカの時でも、それと同じで…」
一人で全部しようとしないで、話せば良かった、と。
「メギドに飛んで行っちまったことだな?」
ジョミーに後を頼んだだけで、とハーレイはブルーを睨む。
「お前がジョミーを頼っていたら、全て変わった」と。
「…分かってる…」
ホントに素直じゃなかったよね、とブルーは猛省中らしい。
ブルーが言うには、メギド以前に素直になるべき。
目覚めた直後の騒ぎはともかく、その後にあったチャンス。
「ナスカに残った仲間たちだけど、ぼくが目覚めて…」
地球に行きたいと言ってたらどう、とブルーは問うた。
「みんなを残して行けはしないし、船に乗ってくれ、って」
「なるほどな…。ジョミーの頼みじゃ、誰も聞かんが…」
ソルジャー・ブルーとなれば違うな、とハーレイも認めた。
十五年間も眠ったままでも、前のブルーは偉大な指導者。
目覚めて「行こう」と宣言されたら、逆らう者などいない。
「そうでしょ? ぼくはホントに、地球を見たかったし…」
寿命が尽きるとしても、行きたかった、とブルーは返した。
「どうしても見たい、って素直になれていたらね…」
「そうかもしれん…」
時すでに遅しというものだが、とハーレイも嘆きたくなる。
前のブルーが素直だったら、色々と違っていたのだろう。
遠く遥かな時の彼方で、素直になれずに生きた前のブルー。
そう生きるしかなかったとはいえ、反省点は存在する。
今の平和な時代に振り返ってみれば、間違えていた選択肢。
「前のブルーが犠牲になる」より、回り道でも選べた進路。
長い時間がかかったとしても、時代はミュウに味方した筈。
「…お前、失敗しちまったんだな…」
「そうみたい…。だから、とっても思うんだけど…」
ハーレイにも失敗して欲しくない、とブルーは真剣な口調。
「今のハーレイ、自分に素直になれてないもの…」
「なんだって?」
俺は自由に生きているが、とハーレイは瞳を瞬かせた。
仕事をしている時はあっても、自分を殺してなどはいない。
上手く手抜きをしてみたりもして、前よりも楽だと言える。
「キャプテン・ハーレイ」だった頃には、不可能だった。
自分に素直に生きているのに、ブルーの指摘は心外すぎる。
(…はて…?)
いったい何処が素直じゃないんだ、とハーレイは首を捻る。
思い当たるような節は無いから、途惑うしかない。
するとブルーは、「やっぱりね…」と呆れ返った顔をした。
「ハーレイも、前のぼくの場合に似ているのかも…」
そんな風に生きるしか道が無いから、と赤い瞳に同情の光。
「ごめんね、ぼくの姿が子供だから…」
ハーレイ、素直になれないんでしょ、とブルーは嘆いた。
「育った姿で出会えていたら、違ってたのに…」
素直に生きた方がいいと思うよ、とブルーが近付いて来る。
「キスくらいだったら、してもいいから」と。
(……そう来たか……!)
その手に乗ってたまるもんか、とハーレイは拳を握った。
「馬鹿野郎!」
真剣に聞いた俺も馬鹿だったが、とブルーの頭に軽く一発。
悪戯小僧には、素直に「お仕置き」するべき。
素直に生きた方がいいなら、心のままに、コッツンと…。
素直になるのは・了
生きられるかな、と小さなブルーは、ふと考えた。
ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
(…今のぼくはチビで、子供の姿なんだけど…)
前の自分の記憶を全て持っているから、前の生を、上手くやり直すことが出来そう。
(転生モノって、そういう形の話もあるのかな?)
人気が高いジャンルだよね、と今のブルーは、よく知っている。
何かのはずみで「生まれ変わった」人の物語で、その生き様が醍醐味で人を惹き付ける。
(生まれ変わった先で、前の自分の記憶や知識を活かして…)
人生を過ごしてゆくわけだけれど、生まれ変わった人物がガラリと変わってしまう。
意地悪なキャラになるべき所が、いい人になってしまっていて、周りの調子を狂わせたりも。
(…悪役の筈が、優しい人のポジションだったりするんだよ)
自分だったら「此処は、こうする」と思う通りに動き回れば、悪役が善人になっても仕方ない。
他にも様々な物語が幾つもあって、どれも話題を呼んでいるジャンルが「転生モノ」。
(ぼくの場合は、ちょっと珍しいパターンになりそう…)
生まれ変わって「やり直す」んだから、と面白いアイデアに引き込まれてゆく。
前の生を「今の自分」の知識や記憶を活用しながら、やり直してゆくという物語。
(前の人生、やり直すんなら…)
まずは成人検査の所からかな、と「前の自分」の「一番古い記憶」を引っ張り出した。
成人検査でミュウに変化したせいで、人生そのものが狂ってしまって、記憶は其処から始まる。
(…前のぼくの記憶、これよりも古いの、無いんだよね…)
でも、とブルーは顎に手を当て、時の彼方を思い出してみた。
今の自分が「やり直す」場合、記憶の一番古い所からになるとは思えない。
(赤ん坊の時代は、論外だとしても…)
学校に通っていた頃くらいには、戻っていそう。
「やり直す」のは、スタート地点からの人生になる。
(……そうすると……)
上手く立ち回って、成人検査を受けないままで、逃げ出すことも出来るだろう。
「今のブルー」は運転免許も持っていないし、宇宙船の操縦は無理なのだけれど…。
(やり直すんなら、前のぼくだし…)
無免許なのは変わらなくても、操船技術は「持っている」。
「前のハーレイ」が、キャプテンに就任した後、懸命に技術を磨く間に、ブルーも覚えた。
厨房出身だった「キャプテン・ハーレイ」を育て上げた、シミュレーターがあったから。
(前のぼく、ハーレイの練習に付き合って…)
シミュレーターを「ゲーム感覚」で使いこなして、ハーレイ以上の成績を叩き出していた。
けれど、今の時代は、宇宙船の仕組みが変わったせいで、過去の栄光は通用しない。
「キャプテン・ハーレイ」本人の、「今のハーレイ」も、宇宙船の操船などは出来ない時代。
(今の時代だったら、無理なんだけど…)
遠く遥かな時の彼方でなら、ブルーにだって「操縦」は出来る。
(船を奪って、何処か遠くへ…)
逃げてゆくのが良さそうかな、と考えたけれど、その先が上手くいきそうにない。
(機械の目からは隠れられても、ミュウの未来を見捨てるのと同じで…)
自分だけしか得をしないよ、とブルーは溜息を一つ零した。
「今の自分」の記憶があるわけなのだし、自分が何を放り出したか、分かってしまう。
こんなのじゃ駄目だ、と「やり直す」地点は、変えるしかない。
大勢のミュウの命と未来を「捨ててしまってまで」、図太く生きてゆくのは難しすぎる。
(ソルジャー・ブルーの存在自体が、宇宙から消えてしまうしね…)
駄目すぎるよ、と悲しいけれども、「ソルジャー・ブルー」は大物だった。
(…転生したら、ソルジャー・ブルーだった、なんていう小説があっても…)
ちっとも不思議じゃないくらいだし、と自覚せざるを得ない「前の自分」の重要さ。
今の自分が「やりたい通り」に「やり直す」ことは、時代の流れまで変えてしまうだろう。
(…ソルジャー・ブルー、いないわけにはいきそうにないよ…)
成人検査は回避不可能らしいよね、と小さなブルーは、頭痛がしそう。
あの忌まわしい「検査」を受けたが最後、前の自分の子供時代の記憶は消される。
(転生モノだし、今のぼくの記憶まで消えはしないんだけど…)
なんだか悔しい、と腹立たしくなっても、「運命」だと思って耐えるしかない。
成人検査の後に落ちた地獄も、「生き延びられる」ことを知っているなら、耐えられそう。
(…もっと早くに、脱出したって…)
大切な人が「いない」んだよ、と「ハーレイ」の顔を思い浮かべた。
「やり直しの人生」で、「ハーレイに出会いたい」のならば、我慢して生きる以外に無い。
(アルタミラが、メギドで燃えるよりも前に…)
前のハーレイだけを「助け出す」ことは出来ても、ハーレイは、きっと従ってくれない。
(他のヤツらは、どうするんだ、って…)
ハーレイならば「尋ねて来る」に決まっているから、脱出自体が「大脱走」に化ける。
人類が「ミュウを閉じ込めていた」施設を丸ごと、破壊してからの逃走劇。
(…宇宙船、上手く見付かればいいんだけれど…)
どうなのかな、と「今のブルー」の知識の中にも、当時の宙港の仕組みは入っていない。
常駐している宇宙船の数も、離発着する宇宙船のスケジュールも、謎でしかない。
(…メギドが来る前に、逃げ出すのは無理…)
失敗するのに決まっているよ、と思うものだから、これも「前の通り」にしか運んでくれない。
(ミュウの仲間を、ほんの少しばかり…)
多めに助け出せる程度なんだ、と歯噛みしてみても、どうにも出来ない。
(…前のぼくって、やり直しさえも難しいくらい…)
凄い人生を生きていたみたい、とブルーはフウと溜息をついて、次に進んだ。
アルタミラでも「やり直せない」のなら、チャンスは「脱出してから」後のことになる。
(…アルタミラから逃げて、アルテメシアに辿り着くまでは…)
人類軍にも出会わなかったし、「やり直したい」ほどの出来事は無かった。
アルテメシアでも平穏な日々で、「今の自分の記憶」の出番は、ミュウの子供の救出だろう。
(助け損ねた子供たちなら、一人残らず覚えてるから…)
先回りをすれば、どの子も「無事に」シャングリラに迎えられる。
(もしかしたら、そうやって助け出した子供たちの中に…)
優秀な人材が混じってるかも、と前向きに考えていて、ハタと気付いた。
(……大物は、ジョミー……)
タイプ・ブルーは、ジョミー以外に「いなかった」んだよ、と現実を見詰めざるを得ない。
どう頑張っても、ジョミーが「早めに生まれて来る」コースを、作れはしない。
寿命の残りが少なくなるまで、頼もしいジョミーは生まれて来ない。
(…やり直すんなら、ジョミーとの出会いになるんだけれど…)
最低最悪な出会いだったし、と「今の自分」も思うけれども、変えようが無さそう。
(分かりました、って素直に船に来るような「ジョミー」は…)
強いだけの「ミュウ」でしかないよ、と嫌というほど分かっている。
「ソルジャー・ブルー」に逆らうほどの人材だったからこそ、後のソルジャー・シンがあった。
(…ジョミーに嫌われて、追っかけて行って…)
後釜に据えるしか無いんだってば、と「また、躓いた」。
「やり直せない」のは、ジョミーについても「同じ」らしい。
(ジョミーと衝突しちゃったツケが、ずっと響いて…)
アルテメシアを追われた後に、十五年間も「眠り続ける」ことになってしまった。
出来るものなら「やり直したい」ポイントだけれど、体調までは「変えられはしない」。
眠り続けて、ナスカで再び目覚める時まで、「やり直せる」地点は一つも無い。
(……ナスカなんて……)
やり直すのは、どう転がっても無理そうだよ、とブルーは頭を抱えてしまった。
「今の自分」の記憶があっても、それを活かせる場面の中に「前の自分」が存在しない。
(…鍵になるのは、キースなんだけどな…)
格納庫で出会う直前まで、ぼくは「目覚めてくれない」んだし、と嘆きたくなる。
前の自分が「眠ったままで、目覚めない」以上、記憶があっても「やり直し」は出来ない。
(…やり直すんなら、此処が最大の山場に違いないんだけどね…)
前のぼくの人生、やり直すことも出来ないみたい、と超特大の溜息をついた。
やり直して「違う展開」に変えてみたくても、やり方を見付けることが出来そうにない。
(…前のぼくって、大物すぎだよ…)
誰か上手に書いてくれないかな、とプロの作家に頼みたくなる。
「人生を上手くやり直す」ためのシナリオを。
誰も不幸になりはしなくて、前の自分も幸せになれる筋書きの物語。
『転生したら、ソルジャー・ブルーだった』という、うんと素敵な「転生モノ」を…。
やり直すんなら・了
※前の生をやり直すのなら、どうすればいいか、考え始めたブルー君。転生モノの一種。
ところが上手くやり直すには、ハードルが高すぎる前の生。プロ作家の出番かもv
実際には前の続きなんだが、とハーレイが、ふと考えたこと。
ブルーの家には寄れなかった日の夜、いつもの書斎で。
愛用のマグカップに淹れた熱いコーヒー、それを片手に。
(考え方によっては、やり直しとも言えるだろう)
前の生では出来なかった沢山のことを、青い地球の上でやっていけるし、やり直し。
しかも愛おしい人も一緒で、素晴らしい人生を送ってゆけそう。
(…前のあいつを失くした時には、俺の人生、真っ暗になってしまって…)
それから後は、どう生きていたかも記憶が定かではない。
白いシャングリラのキャプテンとしては、全て覚えているのだけれども、他が怪しい。
(個人的なことになったら、他人事のようで…)
傍観者でしかないんだよな、と思うくらいに、「自分」を捨ててしまっていた。
前のブルーが「いない」人生、それには意味が無かったから。
(今から、人生、やり直せるのは、有難いぞ)
ちょいと時代がズレちまったが、と苦笑はしても、青く蘇った地球での人生。
時代が少しズレていようが、前の自分が「英雄扱い」の世界だろうが、構わない。
愛おしい人と「やり直せる」なら、例え地獄の底であろうと、きっと自分は幸せだろう。
(…とはいえ、地獄は御免蒙りたいが…)
前の生だけで充分だしな、と時の彼方を思い返して、別の考えがヒョイと浮かんだ。
同じ「人生」を「やり直す」のなら、前の生だと、どうなるのだろう、と。
遠く遥かな時の彼方に、「前の自分」の人生がある。
「キャプテン・ハーレイ」として生きた時代で、その「人生」を、やり直すという考え。
(転生モノってヤツが、色々とあって…)
死んだ人間が、生まれ変わって「別の人生」を生きてゆくという物語がある。
「今の自分」が、「前の自分」に生まれ変わるのも、「転生モノ」でいいのだろうか。
(……ふうむ……)
その手の知識に詳しくはないが、とハーレイは少し首を捻った。
「転生モノ」に該当するのか、しないのかまでは、知識不足で分からない。
古典の教師をやっている上、現代小説なども好きだとはいえ、範疇外の疑問になる。
(その手の知識は、持っちゃいないし…)
まあいいとしよう、と「転生モノ」かどうかは、棚上げにして先に進んだ。
「今の自分」が、「前の自分」に生まれ変わって、その人生を生きてみるのも、興味深い。
(生まれ変わりなんだし、今の俺と、条件は変わらないんだよなあ?)
何処の時点で記憶があるかは、運次第だが、と想像の翼を羽ばたかせる。
(生まれつき持っていたっていいし、途中からでもいいんだが…)
先が分かっている人生だしな、とハーレイはコーヒーのカップを傾けた。
「今の自分」の記憶を持っているなら、「人生の先」は分かっている。
前のブルーと「メギドの炎で燃え上がる地獄」で出会って、後にメギドのせいで別れた。
(…まるでメギドが鍵のようだな…)
メギドが人生の節目とは酷い、と思いはしても、今では「済んでしまったこと」でしかない。
「仕方なかった」で終わりなのだけれど、「やり直し」ならば「違って来る」。
(転生モノの醍醐味と言えば、そういった点で…)
定型的な筈の物語が、「転生」という要素で、ガラリと変わってゆくのが王道だろう。
「本来、こういった人は、こう生きる」と誰もが頷く所が、人が変わって、生き方も変わる。
「今の自分」が「前の自分」に「生まれ変わった」場合にしたって、当て嵌まりそう。
(…メギドの辺りを、ちょいとだな…)
今の俺ならではの知識でもって、書き換えてやれば、と思わず笑みを湛えてしまった。
始まりの方の「メギド」は、そのままにしておいても、問題は無い。
ちょっぴり欲を出していいなら、当時は「持ち合わせなかった」記憶をプラスしてやれば…。
(閉じ込められてたシェルターが、壊れちまってて…)
救出が間に合わなかった仲間を、先回りして何人も救い出せる。
何処のシェルターが「無事に残っていたか」は、今の自分が覚えている。
救出するのを後に回せば、壊れていたシェルターが「無事な間」に、きっと救える。
(よし、物語の出だしは、なかなかに…)
良さそうじゃないか、とハーレイは自画自賛した。
滑り出しとしては上々、幸先のいいスタートを切ることが出来そう。
(其処から先は、多分、大して…)
大きく変わりはしないんだよな、と時の彼方を思い返した。
幸いなことに、人類軍との「本格的な戦闘」は、アルテメシアに着くまで無かった。
アルテメシアでも、ジョミーを救出するまでの間は、平穏な日々が流れていた。
(今の俺の記憶で救い出せるのは、そう多くなくて…)
ミュウの子供を助ける程度だよな、と「助け損ねた子供」の数だけ指を折ってみる。
(…恐らく、この子たちの全てを…)
俺の記憶で助けられるぞ、と「救出失敗」の理由を挙げて、ハーレイは大きく頷いた。
(そうなりゃ、ジョミーの救出にしても…)
先回り出来る部分はありそうだが、と思うけれども、その件は、後でいいだろう。
(……問題は、メギド……)
ナスカで出て来た、例のヤツだ、と忌まわしい惑星破壊兵器に舌打ちをする。
流石に「メギド」は、今の自分の記憶があっても、手も足も出ない。
使える兵器は限られているし、白いシャングリラでは「破壊出来ない」。
(…壊せないなら、アレが来るのを…)
阻むか、キースがメギドを持ち出す前に、シャングリラでナスカから脱出するか。
(現実的な選択としては、後者で…)
ナスカに残ろうとした者たちを、全て殴り倒してでも、強引に船に乗り込ませる。
(皆を乗せたら、ブリッジで舵をしっかり握って、シャングリラ、発進! とだ…)
俺が号令すれば行けるぞ、とシナリオを描く。
メギドが来る前に、ワープしさえすれば、誰もナスカで死にはしないし、前のブルーも…。
(失くさないで済んで、かなり時間がかかったとしても…)
地球まで連れて行けそうだよな、とハーレイは笑んだ。
「今の自分」の記憶さえあれば、前の自分が辿った道より、旅は短い。
訪れるだろう様々な危機をヒョイと乗り越え、シャングリラは地球に辿り着ける。
もっとも、そうして着いた「憧れの地球」の姿は、とても無残なものなのだけれど。
前のブルーが、地球で目覚めて、赤茶けている星を見たなら、悲しむだろう。
青い水の星を長く夢見て、焦がれ続けていたのだから。
(しかしだな…)
どうにも出来んし、ご愛敬で勘弁して欲しい、と「転生モノ」の中のブルーに、心で詫びる。
(地球という星に生きて行けただけでも、良しとして…)
青くない点は許してくれよ、と苦笑していて、別のルートを考え付いた。
(…メギド自体は破壊出来んが、アレが来るのを…)
阻む方法、無いわけでも、と「非現実的だ」としか言えない方の、選択肢の先を。
(メギドが来たのは、キースがアレを持ち出したせいで…)
ヤツさえいなけりゃ、どうとでもなるな、と「転生モノ」ならではの展開を。
(要は、キースが…)
消えてくれればいいってことだ、と顎に手を当て、ニヤリと笑う。
(今の俺なら、先回りして…)
ヤツを殺してしまうことが出来るぞ、と「あの後に起きた」事実を挙げてゆく。
(一度目のチャンスは、ヤツがナスカに下りて来た時で…)
他の仲間が何と言おうが、「撃ち落とせ!」と、たった一言、命じればいい。
キースが乗って降下して来る小型機、それを落とせば、キースは「死ぬ」。
(…実際、緊迫した場面だったし…)
「キャプテン・ハーレイ」の判断ならば、ジョミーも従うことだろう。
第一、ジョミーは、あの時には…。
(ナスカに下りてたわけなんだしな…?)
俺が、撃墜させたとしたって、事後報告に過ぎん、と嬉しくなった「名案」だけども…。
(…待てよ?)
キースが死んだら、其処から先は、どうなるんだ、と「穴」に気付いた。
当時のキースは「悪」そのものでも、後には「人類の世界を根底から変えた英雄」になる。
(…もしも、キースを消しちまったら…)
前のブルーは存命だけれど、地球までの旅路が、どうなるのやら、と深い溜息が零れ落ちた。
(……難問だな……)
転生モノってヤツの中でも、人生は難しいのかもしれん、と苦い笑いをうかべるしかない。
(…やり直すなら、今の俺の人生くらいが、丁度いいのかもな…)
平和な青い地球の上で、とカップを傾け、納得した。
「俺の人生、これでいいんだ」と、満足で。
今の新しい人生をくれた、神に心からの感謝をこめて、カップを乾杯のように掲げて…。
やり直すなら・了
※前の自分に転生したなら、上手く人生をやり直せる、と思い付いたハーレイ先生。
けれど、キースを消してしまうのは無理で、縛りが多そう。今の人生が良さそうですねv
良くないよね、と小さなブルーが、ぶつけた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? 過保護って…?」
お前の場合は違うだろう、とハーレイは直ぐに返した。
今のブルーも、前と同じに虚弱体質。
必然的に、両親が手を掛けて世話をすることになる。
「お前、身体が弱いんだからな?」
お母さんたちは過保護ではない、と諭すように説明した。
束縛されているように感じるとしても、それは違う、と。
「いいか、お母さんたちは、お前のことを考えて…」
「分かってるってば、そうじゃなくって…」
一般論の話なんだよ、とブルーは少し困った顔をしている。
「ぼくも確かに、過保護っぽいけれどね」と。
「すまん、別件だったんだな?」
勘違いをして悪かった、とハーレイは詫びた。
ブルーの問いが急だっただけに、早とちりした、と潔く。
「きちんと聞いてから、答えるべきだった…」
「ううん、ちっとも。ぼくの方にも、非があるんだし」
それでね、とブルーは話を元に戻した。
「過保護にする人、少なくないけど、どう思う?」
「うーむ…。前の俺たちの時代とは違うからなあ…」
マニュアル通りの育児じゃないぞ、とハーレイは首を捻る。
SD体制の時代だったら、育児は違った。
機械が教えたマニュアル通りに育てるだけで、子は育った。
ついでに言うなら、実子ではなくて、養子を育てた世界。
「そうだね…。自分の子供だと、うんと事情が…」
変わっちゃうよね、とブルーは大きく頷いた。
「カリナなんかは、そのせいで命を落としちゃった」とも。
カリナは、過保護だったわけではない。
ただ、愛情が深くて大きすぎた。
トォニィを失ったと思い込んだせいで、自分を追い込んだ。
前のハーレイは、ブルーと違って、現場を見ている。
だから「そうだったな…」と深い溜息を零すことになった。
「カリナの場合は、少し違うが、過保護すぎて…」
子供も自分も縛っちまう親は確かにいる、とフウと溜息。
「その点については、機械も悪くはなかったかもな」とも。
「やっぱり? 相談役で、アドバイザーだったしね…」
育児についてのプロだったよ、とブルーも頷く。
「もしも機械が今もあったら、過保護、ダメかな?」
「そうなるだろう。ユニバーサルからの、お呼び出しで…」
子育て方針を指導されるな、とハーレイは苦笑する。
「もっと手抜きを」と、テラズナンバー直々の仰せだ、と。
「そっか、ハーレイの考え、ぼくと同じなんだね?」
「そうだな、過保護は良くない。事情にもよるんだが…」
お前の場合は違うわけだし、安心しろ、と太鼓判を押した。
「大丈夫だから、今まで通りでいていいんだ」と。
「でも…。それは身体が弱いって部分だけでさ…」
他の部分は普通なんだし、とブルーは真剣な表情になった。
「ぼくに過保護なのは、ハーレイなんだし…」
「はあ? 俺が過保護に扱ってるのも…」
お母さんたちと同じ事情だ、とハーレイは即座に否定する。
「病気の時に野菜スープを作ってやるのも、その一つだぞ」
「そうじゃなくって、子供扱い…」
キスをするには早すぎるって、とブルーは唇を尖らせた。
「過保護だと思う」と、赤い瞳で睨み付けて。
「ぼくの中身は、前と全く同じなのに」と、恨みがましく。
(そう来やがったか…!)
今日もやられた、とハーレイは拳を軽く握った。
「馬鹿野郎! その件にしても、過保護ではない!」
今のお前は子供なんだし、俺は正しい、とブルーを叱る。
「お前に自覚が無いというだけで、充分、子供だ!」
過保護と違って配慮だしな、と銀色の頭をコツンと叩いた。
「勘違いするな」と、罠にはめようとした「悪い子供」を。
計略だけは一人前な「今のブルー」に、お仕置きとして…。
過保護にするのは・了
