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どうも、管理人の「みゆ」でございます。画像は「そるじゃぁ・ぶるぅ」君ですが。



ハレブル別館に置いてる、拍手御礼ショートショート。
月に一回入れ替えてますが、諸事情あってハレブル別館には置けませんでした。
流れ去ったショートの再録場所が要るんだよね、と前から一応、思っていたです。

この際、置き場所作ってみるかな、と作ってみました。
書き下ろしショートも置いてますから、のんびり遊んで下さいね~。
 
※お知らせ。emoji
 書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
 拍手システム入れてみました、お気に入りがあればポチッとどうぞ。
 
      
過去の拍手御礼ショートショートと書き下ろしショートの目次は、こちら。
タイトルをクリックで御覧になれます。

※書き下ろしショートの時間軸には「順番」は全くありません。emoji
 何処から読んでも無問題ですv

  
拍手その1・それぞれの場所:いつも座る席を取り替えたら…。
 
拍手その2・毎日が幸せ:毎日が幸せなブルー君。
 
拍手その3・考え事:ハーレイの声を聞いていたら…。
 
拍手その4・帰っちゃ嫌:ハーレイが家に帰るのは嫌。

拍手その5・熱々の季節:暑い夏でもくっつきたい!

書き下ろし1・ハーレイのスープ:ブルーのために作る野菜のスープ。

書き下ろし2・恋人が出来た:思いがけずも出来た恋人。

書き下ろし3・痛かったけれど:痛かったけれど、聖痕は宝物。

書き下ろし4・洗車 :ハーレイ、愛車を洗うの巻。

書き下ろし5・断られたキス:再会のキスも出来なかったなんて…。
 
書き下ろし6・軽すぎるペン:羽根ペンが軽すぎる、慣れないハーレイ。

書き下ろし7・眠っていたから:ハーレイのベッドに瞬間移動が出来たのに…。

拍手その6・足音:ハーレイの足音は分かるのです。
 
書き下ろし8・再会:ブルーが起こした聖痕現象、ハーレイ視点。
 
書き下ろし9・魔法のスープ:ハーレイが作ってくれる野菜スープの魔法。

書き下ろし10・腕で作る輪:腕で作る輪、それに収まるブルーの身体。
         
書き下ろし11・夢みたいだけど:今の身体に生まれ変わったブルー。
    
書き下ろし12・大好きの言葉:ハーレイに何度も言いたい「大好き」。

書き下ろし13・船と車と:シャングリラよりも車が似合いのハーレイ。
     
書き下ろし14・小さな手だけど:小さな手でも、ブルーの右手は幸せ者。
 
書き下ろし15・チビでも愛しい:どんなにチビでも、愛しいブルー。
        
書き下ろし16・恋人は先生:恋人が先生だなんて、絶対に内緒。
        
書き下ろし17・いじらしい敬語:学校ではハーレイに敬語なブルー。
          
書き下ろし18・学校とブリッジ:学校とブリッジは似ているような…。
          
書き下ろし19・柔道部は無理:ブルーが柔道部に入れたら…。
           
書き下ろし20・学校に行きたい:熱を出して学校はお休みなブルー。
             
拍手その7・小さな躊躇い:床に落としたベリー、食べてもいい?
                        
書き下ろし21・おふくろのケーキ:ハーレイの好物、パウンドケーキ。
            
書き下ろし22・ママのケーキ :ハーレイのために焼きたいパウンドケーキ。
 
書き下ろし23・贅沢な朝食 :ハーレイの朝食、前世と比べたらとても贅沢。

書き下ろし24・朝食の風景:食の細いブルー君の朝の食卓。
   
書き下ろし25・変わっちゃいない:前世も今も、ハーレイはハーレイ。
    
書き下ろし26・変わってないけど:前世も今も、ブルーはブルー。
     
書き下ろし27・長袖のワイシャツ:夏でも長袖のハーレイ、前世のせいかも?
       
書き下ろし28・みんなと同じ服:今のブルーの制服は、他のみんなと全く同じ。
        
書き下ろし29・気に入りの書斎:ハーレイの書斎、実はキャプテン・ハーレイ好み?
 
書き下ろし30・帰りたい部屋 :青の間にホームシックなブルー。その理由は?
  
書き下ろし31・忘れた買い物:買い忘れても大丈夫。そういう世界にいるハーレイ。
   
書き下ろし32・忘れられた買い物:買い忘れられても、今は大丈夫。ブルーの世界。

書き下ろし33・ぼくがチビでも:「ぼくがチビでも悲しくない?」と訊いたのに…。
     
書き下ろし34・キャンプ用の椅子:キャンプ用の椅子でブルーとデート。

書き下ろし35・白いテーブル:キャンプ用のテーブルでハーレイとデート。
   
拍手その8・温もりが欲しい:夏でもハーレイの温もりが欲しい、ブルーの右手。
    
書き下ろし36・ブルーが足りない:会えなくてブルー不足なハーレイ。
  
書き下ろし37・ハーレイが足りない:会えなくてハーレイ不足なブルー。
          
書き下ろし38・久しぶりに会えた:ブルー不足とハーレイ不足な日々に終止符。
          
書き下ろし39・天の川を泳ごう:ブルーに会うためなら、天の川でも泳ぎ渡れる。

書き下ろし40・天の川の幅:広い天の川でも、ハーレイは泳いで渡ってくれる。
 
書き下ろし41・天の川を渡って:天の川に隔てられても、会える筈の二人。
              
書き下ろし42・叶えてやれない:ブルーの願いは叶えてやりたいけれど…。
               
書き下ろし43・叶えてくれない:願いを叶えてくれないハーレイなんて…。

書き下ろし44・もう一人いれば:一人の夕食。もしもブルーがいてくれれば…。
                               
書き下ろし45・いて欲しい人:一人でおやつ。ハーレイがいてくれたなら…。
                                 
書き下ろし46・見られない蛍:去年までなら蛍見物。今のハーレイは…。

書き下ろし47・見てみたい蛍:ハーレイと蛍を見に行けたなら…。
                           
書き下ろし48・飛べないあいつ:空を飛べないブルーが愛しい。
                           
書き下ろし49・飛べないぼく:ハーレイに見せてあげたい、空を飛ぶ姿。
 
書き下ろし50・あいつの背丈:背丈が伸びなくても、愛おしいブルー。
  
書き下ろし51・ぼくの背丈:どうして背丈が伸びないのか。ブルーの悩み。
   
書き下ろし52・ブルー日和:今日のような日はブルー日和、と思うハーレイ。
    
書き下ろし53・ハーレイ日和:こんな日はきっとハーレイ日和、と思うブルー。
     
拍手その9・可哀相な動物:可哀相な動物がいるんだけれど、とブルーの主張。

書き下ろし54・歩いてゆける地面:ブルーの所へ歩いてゆける地面。地球の上を。
      
書き下ろし55・歩きたい地面 :ハーレイが歩いただろう地面を歩きたいブルー。
        
書き下ろし56・降りそうな天気:雨が降るかも。キャプテンは勘に頼れないけれど…。
          
書き下ろし57・降りそうだけど:地球に降る雨の最初の一粒。見てみたいブルー。
          
書き下ろし58・恋人がいるだけで:恋人がいるというだけで浮き立つハーレイの心。

書き下ろし59・恋人がいるから:恋人がいるから、寝込んでも心は幸せなブルー。
 
書き下ろし60・走ってゆける:思い立ったら、ひとっ走りしに行ける今のハーレイ。

書き下ろし61・走ってゆきたい:ハーレイの家まで走って行けたら、と思うブルー。
  
書き下ろし62・キスは駄目だ:キスは駄目だと何度叱っても、諦めないブルー。
              
書き下ろし63・キスが欲しいのに:キスが欲しいのに、くれないハーレイ。

書き下ろし64・今度は掴める:今度は掴めるブルーの手。行ってしまう前に。
                 
書き下ろし65・今度は失くさない:何度でも貰えるハーレイの温もり。
                 
書き下ろし66・ずっと愛してる:生まれ変わっても、愛するのはブルー。

書き下ろし67・ずっと大好き:生まれ変わっても、大好きなハーレイ。
 
拍手その10・お腹が空かない?:長いことぼくを食べてないでしょ、と訊くブルー。
                    
書き下ろし68・扉を開けたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。
                                                    
書き下ろし69・扉が開いたら:家に帰って扉を開けたら、ブルーがいたなら…。

書き下ろし70・暑苦しくない:暑い夏でも、暑苦しくない熱の塊。それがブルー。

書き下ろし71・暑くないから:ハーレイにくっついていても、暑くない夏。
                                                
書き下ろし72・行くには早いが:ブルーの家に行くには早いけれども、待てない時間。
                                       
書き下ろし73・まだ来ないけど:まだハーレイは来ないけれども、早起きしたら…。
                                        
書き下ろし74・よく伸びるんだが:ブルーの背丈とは違って、よく伸びる夏草。
                                         
書き下ろし75・よく伸びるんだけど:よく伸びるミントが羨ましくても、自分の背は…。
                                            
書き下ろし76・脱いでいい靴:一日中、靴を履いていなくてもいい今のハーレイ。

書き下ろし77・脱いでもいい靴:一日中、靴を履かなくてもいい今のブルー。

書き下ろし78・ブルーの笑顔:前のブルーよりも多い、今のブルーの笑顔の数。
                                      
書き下ろし79・ハーレイの笑顔:前の自分だった頃から好きな、ハーレイの笑顔。

書き下ろし80・夢だった地球:今のハーレイには当たり前の地球。夢ではなくて。
 
書き下ろし81・夢に見た地球:前のブルーが夢に見た地球。今のブルーが暮らす星。
                                          
書き下ろし82・暑くなっても:暑さは地球の太陽のせい。ハーレイが気付いた今の幸せ。
                              
書き下ろし83・暑いけれども:暑さは苦手でも、地球の太陽。今のブルーは幸せです。
                          
拍手その11・下手くそになった?:キスが下手くそになったんでしょ、と尋ねるブルー。

書き下ろし84・窓の向こうは:ハーレイが窓の向こうに見た朝日。今の地球の夜明け。
                              
書き下ろし85・窓の向こうに:窓の向こうにいつもある地球。今のブルーなら。
                            
書き下ろし86・あの空を旅した:ハーレイが仰いだ夜空。前世で旅をしていた宇宙。
                                               
書き下ろし87・あの空を旅して:ブルーが見上げる夜空。前世で地球を探した宇宙。

書き下ろし88・三日月の夜に:今のハーレイが眺める月。前の自分とは違った視点。

書き下ろし89・チビの三日月:月の方が早く育つなんて、とブルーは膨れっ面で…。
                       
書き下ろし90・川を下る船:川下りの船。いつかブルーを乗せてやろうと思う船。
 
書き下ろし91・川をゆく船:ハーレイと乗りたい川下りの船。大きくなったら。

書き下ろし92・海が似合う夏:いつかブルーと行きたい海。前世で夢見た地球の海へ。

書き下ろし93・夏が似合う海:いつかハーレイと行きたい海。本物の地球の青い海へ。
 
書き下ろし94・欲しかった羽根ペン:今のハーレイ。羽根ペンが欲しいと思ったら…。
                       
書き下ろし95・あげたい羽根ペン:ハーレイの誕生日にあげたい羽根ペン。どうする?
                                  
書き下ろし96・何でも美味い:何でも美味い、と思うハーレイ。多分、前世のせいで。
                        
書き下ろし97・何でも美味しい:好き嫌いが全く無いブルー。きっと、前世のせいで。
                           
書き下ろし98・作ってやりたい:ブルーに作ってやりたい料理。スープの他にも。

書き下ろし99・作ってあげたい:ハーレイに作ってあげたい、好物のパウンドケーキ。
                       
拍手その12・今が食べ頃:ブルー君曰く、今が自分の旬だとか。

書き下ろし100・同じ顔だが:今のハーレイには別の顔。思いもよらなかった顔。

書き下ろし101・同じ顔だけど:前のぼくの顔じゃない、と溜息をつくチビのブルー。

目次・その2: ←102話以降の目次は、こちらvemoji
こちらからも行けます→ http://bluestone.kyotolog.net/Entry/115/

目次・その3:←302話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→http://bluestone.kyotolog.net/Entry/320/

目次・その4:←518話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→https://bluestone.kyotolog.net/Entry/600/

目次・その5:←602話以降の目次は、こちらv
こちらからも行けます→https://bluestone.kyotolog.net/Entry/727/
        
※お知らせ。emoji
 書き下ろしショート、果たしてニーズがあるのかどうか。
 拍手システム入れてみました、励ましにぽちっと…貰えると感謝。

※拍手下さった方、ありがとうございます~!emoji
     
                     
                       
           


       

拍手[2回]

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「ねえ、ハーレイ。思い付きって…」
 大切だよね、と小さなブルーが傾げた首。
 二人きりで過ごす休日の午後に、思い付いたように。
 お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? たった今、何か思い付いたのか?」
 まあいいんだが、とハーレイは苦笑しながら返した。
「お前、いきなり思い付くしな」
 それでどうした、とブルーに向かって尋ねてみる。
「俺にして欲しいようなことでも、出来たのか?」
 いつものヤツなら、お断りだぞ、とハーレイは釘を刺した。
 こういった時のブルーは、要注意。
 ろくでもないことを思い付いては、無理なおねだり。
(…キスをしろとか、うるさいんだ…)
 チビのくせに、とブルーを睨んだけれども、違ったらしい。


 ブルーは「違うってば!」と、不満そうに頬を膨らませた。
「ただの質問みたいなものなんだよ」
 思い付きというのは、閃きとかで、とブルーが説明する。
「ほら、色々と思い付くでしょ?」
 何かする時でなくても、とブルーは赤い瞳を瞬かせた。
「いろんなアイデア、そうやって出て来るもので…」
 発明だって、そうじゃないかな、とハーレイを見詰める。
 あれこれ考えて順序立てるだけでは、ダメそうだよ、と。
「ぐるぐるしちゃって、煮詰まってくだけで…」
 頭の中は、それで一杯、とブルーは自分の頭を指差す。
「そうなった時に、お茶とかで休憩していたら…」
 いいアイデアが閃くものじゃないの、と言われれば、そう。
 実際、大発明の切っ掛けになることも多い。


「なるほどなあ…。確かに、思い付きは大切かもな」
 お前の場合は、違う気がするが、とハーレイは慎重になる。
 此処でウッカリ「その通りだ」と同意するのは危険だろう。
「ハーレイ、疑っているんでしょ?」
 よく、そんなので、先生やってるよね、とブルーは膨れる。
「生徒が思い付いたアイデア、否定するわけ?」
「いや、それは…。まずは話を聞いてだな…」
 それから中身を検討なんだ、とハーレイは答えた。
「いいアイデアか、そうでないかは、聞いてみないと…」
「だったら、ぼくのも聞くべきでしょ!」
 初っ端から否定するなんて…、とブルーは眉を吊り上げた。
「生徒の前で同じことをしたら、嫌われちゃうよ?」
「だから、しないと…」
「ぼくだけ、違う枠になるわけなの!?」
 ハーレイの生徒の一人なのに、とブルーは怒り始めた。
 フグみたいに頬を膨らませて、プンスカと。
 「ハーレイ、いつも酷いんだから!」と、睨み付けて。


 とはいえ、ハーレイの方にも言い分はある。
 ブルーは生徒の一人に違いなくても、特別な枠の中にいる。
 ハーレイは「ブルーの守り役」なのだし、学校でも承知。
「お前なあ…。違う枠になっても、当然だろう?」
 毎日のように家庭訪問だぞ、とハーレイは説いた。
 「他の生徒なら、其処まではしない」と、守り役について。
「言わば特別扱いなんだし、向き合い方も変わるよな?」
「うーん…。頭ごなしに否定するのは、違うと思う…」
 いつだって、そういう調子なんだから、とブルーも粘る。
 「もっと、きちんと扱ってよね」と、諦めないで。
「そう言われてもなあ…。ところで、お前の思い付きは…」
 この問答を吹っ掛けることだったのか、とハーレイは訊く。
 どうも、そうとしか思えないから、確認をした方がいい。
「押し問答で終わりそうだし、早い間に切り上げろよ?」
 するとブルーは、更に頬っぺたを膨らませた。
「やっぱり、聞く気なんか無いでしょ!」
 分からず屋だよね、と散々、怒り続けた果てに…。


「ハーレイ、今ので少しは懲りた?」
 ぼくの思い付きを聞くべきだ、って、とブルーが尋ねる。
「否定しないで聞いていたなら、ぼくは怒らないよ?」
「…そうだな、俺が悪かった…」
 すまん、とハーレイは謝ったけれど、次の瞬間、後悔した。
 ブルーの顔が、たちまち笑顔に変わったから。
「懲りたんだったら、謝ってよね!」
 お詫びはキスで充分だから、とブルーは、それは嬉しそう。
 思い付いた通りに、上手く話が転がったらしい。
「馬鹿野郎!」
 お前の思い付きなどは聞かなくていい、とハーレイは叱る。
「どうせ、ろくでもないことなんだしな!」
 現に、たった今、証明されたぞ、とブルーの頭をコツン。
 軽く一発お見舞いするのが、今のブルーに似合いだから…。


          思い付きって・了





拍手[0回]

(…今日は、忙しかったよね…)
 ぼくにしては、と小さなブルーが振り返ってみる今日の出来事。
 ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
 お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
(ハーレイが来た日じゃなかったのに…)
 読もうとしていた本が読めなかったな、と勉強机の方に目を遣る。
 其処に置かれた本に挟んだ栞は、昨日の場所から一ページさえも動いていない。
(…今から読んだら、止まらなくなって…)
 夜更かしになってしまうもの、と諦めてはいる。
 「だけど、ちょっぴり残念だよね」と、本の中身が気になるけれども、仕方ない。
(…帰って来た後、晩御飯までの時間は…)
 いつも通りに過ごしてたよね、と自分でも不思議に思えてくる。
(あそこまでは、時間、あったんだけどな…)
 学校から家に帰って来てから、おやつを食べて、宿題も予習も早く済ませた。
 ハーレイが仕事帰りに寄ってくれたら、安心して時間を使えるように。
(でも、ハーレイは来なくって…)
 本の続きを読もうかな、と考えたものの、今日は時間がたっぷりとある。
 急がなくても構わないや、と白いシャングリラの写真集を見たりしてから、夕食だった。
(晩御飯が済んで、部屋に帰ろうとしてた所で…)
 通信機が鳴り出して、表示されていたのは、友人の家の番号だったらしい。
 「はい」と通信に出た母が、「ブルー、お友達からよ」と呼びに来た。
(学校で会ったのに、何なんだろう、って…)
 首を傾げて通信機の前に立った時から、忙しくなった。
 通信機の向こうから聞こえた、友人の最初の言葉はこうだった。
「悪い、国語の宿題、何だったっけ?」
 国語の授業は明日の一時間目で、前の授業は昨日だったのに。


 友人が言うには、「学校に教科書とノートを忘れて来た」らしい。
(…宿題、プリントを貰ったわけじゃなくって…)
 授業の終わり際に、先生が「宿題を出しますから、問題をメモして帰りなさい」と宣言した。
 「ごく簡単な問題が三つ、答えはレポート用紙に書いて提出してするように」とも。
(…その問題を書いたノートを、忘れたんじゃね…)
 仕方ないよ、と同情しながら「ちょっと待ってて」と部屋に急いだ。
 問題を書いたノートを持って戻って、友人に伝える。
 「いい? 一問目は、こう。二問目がこうで、三問目がこうだったよ」と、順に読み上げて。
 友人は「悪いな、急に」とメモしていたけれど、三問目まで聞いて「ええ…」という声。
「どうかしたの?」
 ただ感想を書くだけだよ、と声を掛けたら、返って来たのは…。
「…あの話、読んでいなかった…」
「…嘘…」
 教科書にしか載っていない話だったんじゃ…、とブルーも絶句してしまった。
 ごくごく短い話なのだけれど、教科書のための書き下ろしだと聞く。
 本の形で出てはいなくて、データベースにも入っていない。
 友人が頑張って調べたとしても、「誰かが勝手に載せた」話が見付かるかは謎。
(だけど、探して貰うしか…)
 読まないと感想は書けないものね、と気の毒に思いかけたら、友人は深い溜息をついた。
「どうしよう…。誰かが載せてくれてたとしても、調べられないんだ…」
「なんで?」
「端末、昨日、壊しちまって…」
 修理から戻って来るのは、明日の夕方になるらしい。
「親のを借りればいいんだろうけど、お前に通信を入れていたのが…」
 バレちまってるから、宿題のことだとバレるよな、と友人の声は萎れていた。
 「借りるの、多分、無理だと思うぜ…」と。


 宿題の一問目と二問目までは、教科書を忘れて帰っていても書ける内容。
 けれど、三問目だけは、そうはいかない。
(一度だけでも、読んでいたなら…)
 少し中身がズレていたって、先生は気付かないだろう。
 感想などは人の数だけあるものなのだし、「この子の考えだと、こうらしいな」で済む。
 大間違いをやっていたとしても、「読解力が足りないらしい」と思われるだけ。
(…だけど、全然、読んでないんじゃ…)
 下の学校の一年生の作文みたいになっちゃうよ、とブルーにも分かる。
 「とても楽しいお話でした」とだけ書いてあるような、感想文。
 通信機の向こうの友人にだって、「マズイ状況」なことは分かっているから、何度も溜息。
(…諦めるしかないものね…)
 宿題を忘れた生徒は、後日に提出になって、オマケの課題も出されてしまう。
 とはいえ、そうなるしかない運命なのが友人だった。
(…可哀相だけど…)
 ぼくじゃどうにもしてあげられない、と無力さを思う間に、友人が「そうだ!」と叫んだ。
「あの話、短かったよな?」
「うん。読む気があったら、読めた筈だよ」
「教科書を読む趣味、無くってさ…。悪いけど、読んでくれないか?」
 それを聞いたら感想だって書けるしな、という素晴らしいアイデア。
「…そうだね、教科書、部屋から持って来るよ!」
 宿題が出来ればいいんだし、と教科書を取りに出掛けて、それから朗読。
 「聞いているだけ」の友人の頭に入るようにと、ゆっくりにして。
 一文ごとに「次に行っていい?」と確認もして。
 お蔭で友人の宿題は出来て、大いに感謝されたけれども…。


(…朗読だけでは、済まなかったんだよね…)
 友人は「聞いてただけだし、勘違いがあったら困るから」と、感想を書いている間も…。
(待っててくれ、って頼まれちゃって…)
 書き上がった後に、「これでいいかな?」と感想文の読み上げまでした。
 全て終わって「お疲れ様!」と、通信を切れば良かったのに…。
(ついつい、今日の学校の話とか…)
 話し込んでしまって、通信が終わって部屋に戻るなり、母が呼びに来た。
「ブルー、とっくにお風呂の時間よ、まだ入らないの?」
「えっ、そうだっけ?」
「そうよ、通信、長かったでしょう?」
 ちゃんと時計を見ておかないと、と母が指差す壁の時計は、お風呂の時間になっていた。
 しかも普段の「お風呂」だったら、そろそろ上がって来そうな頃合い。
(…気付かなかった、って大慌てで…)
 パジャマなどを抱えて階段を下りて、お風呂の中でも大急ぎ。
(のんびり浸かっていたら、遅くなるから…)
 このくらいかな、と切り上げて部屋に帰った後が、「今」という時間。
 読もうと思っていた本は読めなくて、後は寝るしかないだけになる。
(…忙しすぎ…)
 いつもだったら、もっとゆっくり出来るのに、と嘆くけれども、後悔は無い。
 友人のピンチを助けられたし、お喋りの時間も楽しかった。
 「教科書の話を朗読した」のも、滅多に出来ない経験だったと言えるだろう。
(ハーレイに話したら、大笑いしそう!)
 その時のハーレイの顔が、目に浮かぶよう。
 「おいおいおい…。その朗読をさせた間抜けは、どいつなんだ?」と尋ねるのも。
(…ハーレイの授業でも、よく失敗してるし…)
 ハーレイは「あいつだったら、ありそうだよな」と笑い転げるかもしれない。
 そういったことを考えるだけでも、愉快ではある。


 だけど…、と「忙しかった結果」の方は、少し悲しい。
 読めていた筈の「本の続き」は読めなかったし、栞の場所も動かないまま。
(…残念だよね…)
 ホントに残念、と溜息をついて、ハタと気付いた。
 いつか、ハーレイと暮らし始めた後にも、こういった時が来るかもしれない。
(ハーレイが何かしていて、手が足りなくて…)
 「ちょっと手を貸してくれないか?」と頼んで来たなら、どうするだろう。
 本を読んでいる最中だとか、お風呂に入ろうとしていた時とか、ブルーとしては大切な時間。
(もしも、ハーレイに手を貸しに行ったら…)
 今日の友人で「そうなった」みたいに、忙しくなって、予定はパアになりそうだけれど…。
(…ハーレイのお手伝いが出来るんだしね…)
 忙しくっても構わないや、と頬が緩んだ。
 「ハーレイのために割いた時間」で、自分の時間を削ってしまっても、気にはならない。
 どちらかと言えば嬉しいくらいで、今日と同じで後悔はしない。
(あそこで時間を持って行かれちゃった、と思ったって…)
 残念な気分になったとしたって、少しだけだよ、と自信が溢れる。
 「そんなの、後で取り返せるしね」と、「ハーレイのお手伝い」が最優先。
(…ハーレイだって、さっきの友達みたいに…)
 喜んでくれる筈だし、手伝いの後に話し込むのも、きっと楽しい。
 後で、どんなに忙しくっても。
 「こんな筈じゃあ…」と、溜息をついて、失くした時間を数え直したとしても…。



            忙しくっても・了



※宿題が出来ない友人のために、教科書を朗読したブルー君。手伝って忙しかった日。
 けれど後悔は無くて、将来、ハーレイ先生と暮らし始めた後には、ハーレイ先生が最優先v






拍手[0回]

(…今日は忙しかったよなあ…)
 すっかり遅くなっちまった、とハーレイが浮かべた苦笑い。
 ブルーの家には寄れなかった日の夜、いつもの書斎で。
 愛用のマグカップに淹れた熱いコーヒー、それをお供に。
(忙しかったのには、違いないんだが…)
 あいつの家にも寄れなかったし、と学校でも確かに忙しかった。
 放課後にあった会議の準備や、柔道部の指導をした後に、会議にも出た。
 「遅れました」と謝ったけれど、それは大したことではない。
(…部活の顧問をやってりゃ、普通だしな)
 他にも遅れた仲間はいるから、問題は何も無かったように思える。
(しかしだ…)
 何処かでズレてしまったんだよな、と今になったら分かって来る。
 出席していた全員が、一度に集まってスタートしたなら、会議は早く終わっただろう。
(…そろそろ終わるぞ、と思った所で…)
 質問が一つ、飛び出して来た。
 「この件については、どうでしたっけ?」と、中身自体は、ただの確認。
 答えも直ぐに返ったけれども、それを切っ掛けに相次いだ質問。
(…どれも、確認ばかりなんだが…)
 遅れて来た仲間が「自分が、いなかった時」に出ていたことを次々に聞いた。
(全体的には、単純なことで…)
 誰かが「今日の会議は、こういう流れになっていました」と、先に纏めていたのなら…。
(質問も一つで済んでたのになあ…)
 でなきゃ、質問そのものが出ない、と肩を竦める。
(気になっちまう、っていうだけのことで…)
 会議は最後に長引いてしまって、世間話に近い終わり方になった。
(…揉めたわけじゃないのは、いいんだがな…)
 帰りに飯を食いに行く話までが会議だった、とハーレイにすれば少し悲しい。
 質問の嵐と「帰りに食事」の議題が無ければ、ブルーの家に寄って帰れていただろう。


 予想以上に長引いた会議で、ブルーに会いに行き損ねた。
 しかも会議の締めは「帰りに食事に行きませんか」で、出掛ける者も多かったけれど…。
(…飯に行くのを決めてた会議のせいで、あいつの家に行けなかったのに…)
 俺まで飯に行くなんて、と後ろめたかったから、食事の誘いは断って帰った。
 「ブルーの家には寄れなかった日」の定番通りに、家で食事が相応しい。
 帰り道に食料品店に寄って、食材を買った。
(手早く作れて、美味いヤツを、と…)
 選んだ食材をレジに運んで、会計を済ませたら、家に帰るだけ。
(遅くなっちまった、と帰って直ぐに、着替えてから…)
 夕食の支度を始めていたら、通信が入った。
(時間からして、親父だろうな、と思ったんだが…)
 父が通信を入れて来たなら、「後でかける」と言えばいいだろう。
 「飯の支度を始めた所で、まだ食べていない」と説明したなら、父も分かってくれる。
(明日でいいぞ、と言ってくれるとか…)
 急ぐ用なら、用件だけを言って切るとか、どちらにしても、さほど時間はかからない。
(そのつもりで、通信機のトコに行ったのに…)
 表示されていた相手の名前は、前の学校の同僚だった。
(…何の用だ、と思うよなあ…?)
 飯の誘いか何かかな、と通信に出たら、「久しぶりだ」の挨拶に続いて、こうだった。
「前にお前が話してたヤツ、生徒に話してやりたいんだが…」
「ああ、アレか。お前、詳しく聞いてっただろ?」
 わざわざ俺に確かめなくても、と「話の中身」を思い返してみる。
 人間が地球しか知らなかった時代の、イギリス辺りの話だったっけな、と。
「それはそうだが、俺はお前に聞いただけだし、元の情報、何に載ってた?」
 お前が読んだ本にあったんだろう、と同僚は言った。
「データベースで調べてもいいんだが、どうせだったら、同じ本を読んでみたいんだ」
「なるほどな…。だが、俺も直ぐには…」
 思い出せん、と首を竦めて、「調べて、後でかけ直す」と通信を切った。


(それから書斎へ急いで出掛けて、本棚の本を、片っ端から…)
 どれだったかな、と引っ張り出しては、確認の作業。
 しかも相手は「趣味の本」だけに、罠が幾つも待ち受けていた。
(そういえば、こういう話もあったっけな、と…)
 ついつい中身を読んでしまったり、「ついでだから、これも教えてやろう」とメモしたり。
(…お目当ての本に辿り着くまでの時間、半時間は軽く…)
 あったんだよな、と「本好きの血」を恨みたい気分にもなる。
 寄り道しないで探していたなら、目的の本には、もっと早くに出会えていた。
(やっと見付けた、と通信をかけて、その後が、また…)
 長引いたんだ、と時計を眺めて「遅くなるよなあ…」と溜息しか出ない。
 同僚と話すのは久しぶりだし、話が弾んで、気が付いたら、かなり遅かった。
(飯の支度も途中だった、と思い出したし…)
 名残惜しかったけれど、「また今度、飯でも食いに行こう」と約束をして、通信は終了。
(…書斎で散らかした本は、後でいいとして…)
 飯だけは作って食わないとな、とキッチンに行って、夜食になりそうな夕食の支度を始めた。
(手早く出来る飯にしよう、と買った食材…)
 予定が変わって「手抜き料理」になってしまったのが、今日の夕食。
 最初は何を作るつもりで、出来上がった料理は何になったか、自分でも可笑しくなる。
(…こういう日だって、たまにあるってな!)
 うんと忙しかったんだし、と思っているくせに、コーヒーだけは、きちんと淹れた。
 そして書斎へ持って来たけれど、時間は、普段よりも遅い。
(…それでも、後悔してる部分は…)
 手抜きになった飯だけなんだ、と悔いは無い。
 同僚と話し込んで経った時間も、本を探すのに寄り道したのも、充実した時間だった。
(忙しかったな、と思い返しながら、コーヒーを淹れてた時間にしても…)
 どれも全く後悔は無いし、「勿体なかった」とも思わない。
 忙しくても、自分としては満足なのだし、楽しかったとも言えるだろう。


(…どっちかと言えば、今日の残念なトコは…)
 忙しかったわけでもないのに「会議が長引いた」所だよな、とブルーの顔を頭に浮かべる。
(あればっかりは、俺にはどうしようもなくて…)
 飯は食わずに帰ったんだし、あいつも文句は言わないだろう、と思うけれども…。
(…忙しくても、時間を割いてやりたいよなあ…)
 あいつにだって、と「同僚のために費やした時間」を時計を見詰めて数えてみる。
 「もしも、あいつの家に寄っていたなら、同じくらいになってたよな」と。
(…恨むべきは会議で、通信を寄越したヤツじゃなくって…)
 とはいえ、同じ時間を割くのだったら、あいつの方にしてやりたかった、と考えてしまう。
 そんな時間の使い方など、自分で選べるわけがないのに。
(時間ってヤツは、神様が決めたスケジュール通りに流れてるから…)
 今日は「こうなる」運命だった、と分かってはいても、選んでいいなら、ブルーがいい。
 どれほど時間に追い回されることになっても、ブルーだったら、微塵も後悔しないだろう。
 間違いない、とハーレイは大きく頷く。
(…今は、離れて暮らしてるんだが…)
 いつか二人で暮らし始めたら、「忙しい日」にだって、きっと出くわす。
 朝は早くに学校へ行って、他にも山ほど何かあるとか、そういった時が今だってある。
 ブルーと二人で住んでいたって、忙しい日はやって来るだろう。
(…それでも、あいつが最優先で…)
 俺は時間を何とかするぞ、と自信もあれば、覚悟も出来る。
 ブルーが困ってしまわないよう、寂しい思いもさせないように、努力するのも充実の時間。
(…俺の飯だけ後回しになって、俺は仕事に追われてたって…)
 あいつの飯は先に作って、後片付けだって俺がやるさ、と想像するだけで嬉しくなる。
 「早く、あいつと住みたいモンだ」と、大忙しの自分の姿を思い浮かべて。
(そうさ、あいつと暮らせるんなら…)
 忙しくても俺は大満足だ、と未来の「自分が忙しい日」に夢を幾つも重ねてゆく。
(あいつだけ先に寝て貰っても、そうなった日の埋め合わせに…)
 一段落したら、お詫びにデートすべきか、飯がいいのか、どれがいいか、と。
 家でゆっくり過ごすのもいいし、ドライブに行くのも、小旅行でも素敵だよな、と…。



             忙しくても・了


※忙しかったせいで、ブルー君の家に行けなかったハーレイ先生。会議やら、色々と。
 ブルー君と暮らし始めても、忙しい日が来るでしょうけど、最優先するのは、ブルー君v





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「ねえ、ハーレイ。粘り強さは…」
 大切だよね、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
 二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
 お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「粘り強さだって?」
 今の話と繋がらないんだが、とハーレイはブルーを眺めた。
 他愛ないことを話していたから、粘り強さの出番は無い。
「うん。…でも、思い付いた時には、質問でしょ?」
 すっかり忘れてしまう前に、というブルーの言葉は正しい。
 現にハーレイも、生徒たち授業中などに、よく言っている。
 「質問があったら、直ぐに言えよ」と、口を酸っぱくして。
 だから、ブルーにも頷くしかない。
「そうだな。忘れちまったら、駄目だからなあ…」
 それで何を聞きたいんだ、とブルーの瞳を真っ直ぐに見る。
 ブルーの意図が分からないだけに、気を引き締めて。


(…何度も、この手に引っ掛かったし…)
 こいつの質問は、油断出来ん、とハーレイは既に経験済み。
 真面目に答えてやった結果が、とんでもないことも数多い。
「…ハーレイ、ぼくを疑ってるよね…」
 急に質問しちゃったから、とブルーに言われてハッとする。
(先入観ってヤツを、持ち過ぎてたか…)
 疑ってかかるのは良くないよな、とハーレイは反省した。
 経験則は役に立つけれど、頼り過ぎると失敗しがち。
「悪い、ついつい、思い込みでな」
 すまん、と潔く頭を下げたら、ブルーはクスッと笑った。
「そう思われても、仕方ないけど…」
 膨れていないで聞き直すのも、粘り強さ、とブルーは言う。
「粘り強さが皆無だったら、もう聞かないでしょ?」
「そりゃそうだ。馬鹿にされてる、と放り出してな」
 粘り強さに感謝するぞ、とハーレイも大きく頷いた。
 ブルーが投げ出してしまうタイプだったら、話はおしまい。


 というわけで、振り出しに戻って、粘り強さの話になった。
「あのね…。さっきみたいなのも、そうなんだけど…」
 諦めないでコツコツ努力は大事だよね、とブルーが尋ねる。
 投げ出しちゃうより、粘り強さ、と真剣そうな瞳をして。
「うむ。たった今、証明されちまったし…」
 他の面でも大事ではある、とハーレイはブルーを肯定した。
「お前には、あまり関係無さそうなんだが…」
 勉強もスポーツも、粘り強さが重要だぞ、と説く。
「出来やしない、と放り出したら、それっきりだ」
 勉強だったら置いて行かれて、スポーツなら負ける、と。
「そうだよね…。ぼくも毎日、頑張ってるもの」
 まるで駄目だよ、と泣きそうでも、とブルーは苦笑した。
 「諦めないでコツコツやっているよ」と、少し誇らしげに。


「…泣きそうだって?」
 お前がなのか、とハーレイは鳶色の瞳を丸くする。
 ブルーは、スポーツはともかく、優秀な生徒。
 「まるで駄目だよ」と泣きそうになるとは思えない。
「…泣きそうだってば、毎日とまでは言わないけれど…」
 毎日、牛乳、厳しいんだよ、とブルーの答えは奮っていた。
「紅茶に入れて飲んだ程度じゃ、足りないしね…」
 朝御飯でも飲んで、頑張ってる、とブルーは自分を指差す。
「でないと、背丈が伸びないんだもの…」
 だけど、ちっとも伸びてくれない、と深い溜息も零れ出た。
 「一ミリさえも伸びないんだよ」と、ブルーが言う通り。
 青い地球に生まれ変わって再会してから、背丈は同じまま。
 ブルーの成長は止まってしまって、少しも伸びない。
(…なるほど、努力が報われない、というわけか…)
 気の毒だが仕方ないことだな、とハーレイは思う。
 ブルーの背丈を決めているのは、多分、神様だから。


「お前の気持ちは、分からないでもないんだが…」
 子供時代を楽しめるよう、そうなんだろう、と諭してやる。
 「育っちまったら、もう後戻りは出来ないしな」と。
「…粘り強さで、頑張れって?」
 ちっともゴールが見えなくっても、とブルーは半ば諦め顔。
「大切なのは分かってるけど、たまに泣きそう…」
 投げ出しちゃったら、ごめんなさい、と謝られた。
「ハーレイには悪いけど、チビのままかも…」
「投げ出すってか!?」
 それは困る、とハーレイは慌てた。
 もしもブルーが育たなくても、嫌いはならないけれども…。
「お前が育ってくれないことには、この先がだな…!」
 俺も大変になっちまうぞ、と焦ると、ブルーが微笑んだ。
「そうでしょ? だったら、粘り強さを保てるように…」
 励ましのキス、と注文をされたものだから…。


「馬鹿野郎!」
 それとこれとは別件だ、とハーレイは軽く拳を握った。
 ブルーの頭に、コツンとお見舞いするために。
 粘り強さを投げ出されそうだとは、もう思わない。
(どうせ、こいつは、最初から…)
 こうするつもりでいたんだしな、とブルーに、お仕置き。
 「よくも騙してくれやがって」と、コッツンと。
 「同情した分、馬鹿を見ちまった」と、呆れ顔で…。


 
        粘り強さは・了






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