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「ねえ、ハーレイ…」
 ちょっと質問があるんだけれど、と小さなブルーが傾げた首。
 二人きりで過ごす休日の午後、お茶の時間の真っ最中。
 テーブルを挟んで向かい合わせで、赤い瞳を瞬かせて。
「質問だって?」
 どうせロクでもないヤツだよな、とハーレイは鼻を鳴らした。
 およそ真っ当な質問が来ない、こういう時間。
 揚げ足取りのことが多くて、自然と警戒してしまう。
 なにしろ小さなブルーときたら、あの手この手で…。
(キスを強請って来やがるからな…)
 今日の質問も、きっとそれだぞ、と腕組みをして深い溜息。
 そんな中身だと分かっていたって、聞いてやるしかない立場。
 だから「それで?」と、顎をしゃくって促した。
 質問の時間はサッサと済ませて、小さなブルーを叱ろう、と。
 そうしたら…。


「あのね、ストレスっていうのはさ…」
 身体に良くはないんだよね、と予想外の問いが降って来た。
 文字通り、天からスッコーン! と。
 ブルーの頭は、ハーレイの頭よりも低い所にあるのだけれど。
(ストレスだって…!?)
 そいつはマズイ、と一気に神経が緊張する。
 小さなブルーが抱えるストレス、それは右手が凍えること。
 前の生の終わりに、メギドで冷たく凍えた右手。
 最後まで持っていたいと願った、ハーレイの温もりを失って。
 「絆が切れた」と泣きじゃくりながら迎えた、孤独な最期。
 今のブルーも覚えているから、右手が冷たくなるのが苦手。
 悲しかった記憶が蘇って来て、ベッドで泣く夜もあるという。
 メギドの悪夢を連れて来るのが、右手が冷たくなった夜。
 今の季節は朝晩、冷え込む時もあるから…。


(ここの所、気温が低めだったし…)
 そいつが来たか、とハーレイの背中も冷たくなった。
 こうして「ストレス」と持ち出すまでに、何日あったか。
 小さなブルーは一人で抱えて、どれほど辛かったことだろう。
 もっと早くに言えばいいのに。
 休日になるまで待っていないで、放課後に訪ねて来た時に。
 そう思ったから、ブルーを真っ直ぐ見詰めて言った。
「ストレスなんぞは抱えていないで、すぐ俺に話せ」
 でないと、お前が辛いじゃないか、と赤い瞳を覗き込む。
 「どうして俺に言わなかった」と、「我慢するな」と。
 小さなブルーの凍える右手は、こちらの心も痛くなる。
 前のブルーを失った後に、前の自分を苛み続けた痛みと後悔。
 失くすと気付いていたくせに何故、と何度も噛み締めた奥歯。
 どうしてメギドへ行かせたのかと、前の自分の判断を悔いて。
 いくらキャプテンの立場であっても、正しかったか、と。


(……参っちまうな……)
 今の俺まで、と小さなブルーを抱き締めたくなる。
 右手が凍えて冷たいのならば、いつでも側にいてやりたい。
 二度とそういうことが無いよう、気を配りながら。
 ブルーはそれを知ってか知らずか、ふわりと笑んだ。
「やっぱりストレス、良くはないよね?」
「当然だろうが、いい結果にはなりやしないしな」
 俺に話してしまうといい、と力強くブルーに頷き掛けたら…。
「それじゃ、キスして! 唇に!」
「はあ?」
「もうストレスでおかしくなりそう、キスが貰えなくて!」
 ホントのホントにストレスなんだよ、と訴えたブルー。
 「辛くて身体が変になりそう」と、胃まで痛い、と。


「馬鹿野郎!」
 それは仮病だ、とブルーの頭に落とした拳。
 心配のし損だったから。
 小さなブルーが抱える悩みは、ただの我儘だったのだから…。



           ストレスって・了










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(今日はツイてなかったよね…)
 ハーレイに一度も会えなかったよ、と小さなブルーが零した溜息。
 そのハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
 お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
 今日は会えずに終わった、ハーレイ。
 前の生から愛した恋人、生まれ変わってまた巡り会えた愛おしい人。
 今はブルーが通う学校の古典の教師で、学校に行けば会える人。
 古典の授業がある日だったら、もう間違いなく教室で。
 授業が無い日も、学校の廊下や、校内の何処かで。
(…その筈なんだけど…)
 今日は会えずに終わっちゃった、と悲しい気持ち。
 古典の授業が無かったから。
 おまけに運が悪かったらしく、学校の中でもすれ違いばかり。
(……他のクラスの授業はあったし……)
 ハーレイは学校に来ていた筈で、廊下もグラウンドも通っただろう。
 朝は柔道部の朝練もあるし、運のいい日は朝から会える。
 けれども今日は、それも会えず仕舞い。
 いつも通りに登校したのに、ハーレイの姿は見かけなかった。
 もっとも、朝の出会いの方は…。
(元々、滅多に無いんだけどね)
 よっぽど運がいい日じゃないと、と分かってはいる。
 だから、そちらは諦めるとしても、放課後までの学校での時間。
 けして短いものではないのに、どうして、今日は駄目だったろうか。
 廊下は何度も歩いたのに。
 階段だって上って下りたし、グラウンドの端も通って行った。
 なのに全く会えなかったから、授業が終わって帰る時には…。
(わざわざ、体育館の方まで…)
 遠回りをしていったというのに、ハーレイの姿は、やはり無かった。
 運のいい日は、柔道着のハーレイに会えるのに。
 体育館まで遠回りする前に、廊下の途中でバッタリだとか。


 運の神様に見放されたのか、会えずに終わってしまった恋人。
 姿も見られなかった所が、本当に、とても悲しい限り。
(…挨拶とかは出来なくっても…)
 チラと姿を見られるだけでも、うんと心が弾むもの。
 「ハーレイだ!」と、見慣れた姿が視界に入ってくるだけで。
 手を振っても気付いて貰えないほど、遠い所にいる時だって。
(でも、今日は、それも……)
 無かったんだよ、と肩を落として、運の無さを嘆く。
 自分の運が悪かったのか、ハーレイの運もまた、悪かったのか。
(…ハーレイ、どうしているのかな?)
 会えなかったことに気付いてくれただろうか、ハーレイは。
 生まれ変わって来たチビの恋人に、一度も会ってはいないことに。
(……うーん……)
 どうなんだろう、と自信が無い。
 自分はチビの子供だけれども、ハーレイの方は立派な大人。
 同じ学校に行くにしたって、まるで違うのが生活の中身。
(ぼくは学校で授業を受けて、休み時間は食事か、自由時間で…)
 うんとのんびりしているけれども、教師のハーレイは忙しい。
 授業に出掛ける教室にしても、学年も違えば、生徒も違う。
 その上、授業の準備をしたり、生徒の質問を受け付けたりも。
(宿題を出してたら、それを集めて…)
 採点だって必要なのだし、テキパキ進めねばならない全て。
 そういう中でも、廊下で教え子に出会ったならば…。
(ハーレイ先生、って呼び止められて…)
 気さくに話をしてゆくのだから、頭の中には生徒が一杯。
 チビの恋人の自分なんかは、すぐにはみ出してしまうくらいに。
 たとえ会えずに終わっていたって、気付くかどうかも分からない。
 そう、ハーレイは忙しいから。
 家に帰って寛ぐ時まで、頭は生徒で一杯だから。


(……気付いてないかも……)
 ぼくの顔を見ていないこと、と視線が自然と下向きになる。
 ハーレイは今頃、家でコーヒーを飲んでいるのだろうか。
 それなら、思い出しても貰えるだろう。
 「今日は、あいつに会ってないな」と、何かのはずみに。
 けれど、真っ直ぐ家には帰らず、教師仲間と食事に行っていたなら…。
(それっきりだよ…)
 今度はハーレイの頭の中は、教師仲間との話で一杯。
 食事が終わって家に帰っても、楽しかった食事の席でのことが頭を占める。
 どんな話題かは知らないけれども、大人同士の楽しい会話。
 そうなったらもう、チビの恋人なんかのことは…。
(……忘れてしまって、お風呂に入って……)
 明日に備えてベッドで眠って、それっきり。
 「会えなかったな」と思いもせずに。
 チビの恋人がどんな気分か、少しも考えたりせずに。
(……そっちなのかも……)
 今日は寄ってはくれなかったし、食事に行ったのかもしれない。
 だったら自分は忘れ去られて、明日まで思い出されもしない。
(……前のぼくなら……)
 こんなことなんか無かったのに、と遥かな時の彼方を思う。
 「ソルジャー・ブルー」と呼ばれた頃なら、決して忘れられなかったのに、と。
(…前のハーレイは、キャプテンだったし…)
 ソルジャーの存在を忘れて一日を送ることなど、とても出来ない。
 恋人同士になった頃には、とうにそういう関係だった。
 白いシャングリラの頂点に立つ、ソルジャーとキャプテン。
 一日に一度は顔を合わせて、ハーレイの報告を聞いていた。
 朝の食事も、ハーレイと一緒。
 顔を合わせない日などは有り得ず、忘れ去られることも無かった。
 どんなにハーレイが忙しくても。
 キャプテンの仕事が山ほどあっても、睡眠も満足に取れない日でも。


(……前のぼくの身体が、うんと弱って……)
 床に就く日が多くなっても、ハーレイは必ず来てくれた。
 ジョミーを迎えて、アルテメシアを後にしてからも。
 前の自分が深く眠って、目覚めなくなってしまった後も。
(…ハーレイ、前のぼくのために、子守歌まで…)
 歌ってくれていたのだという。
 今の自分が幼かった日、大好きだった『ゆりかごの歌』を。
 記憶が戻っていない頃から、前のハーレイの歌を恐らく、重ねて聴いて。
(キャプテンは、忙しかったのにね…)
 昏睡状態の前のソルジャーなどには、キャプテンが会う義務は無い。
 それでもハーレイは毎日通って、目覚めない恋人を想ってくれた。
 ただの一日も忘れることなく、通い続けて。
 ハーレイの声さえ聞こえてはいない、何の反応も返さない恋人の許へ。
(…それなのに、今のハーレイは…)
 ぼくのこと、忘れちゃうんだよ、と涙がポタリと膝の上に落ちた。
 「会えなかったことにさえ、気付かないんだ」と思ったら。
 教師仲間との楽しい食事とお喋り、それにすっかり気を取られて、と。
(……どうせ、今のぼくは……)
 チビの子供で、恋人だなんて言えやしない、と頬を伝う涙。
 ハーレイと食事に行けもしなくて、デートなんかは夢のまた夢。
 家を訪ねて来てはくれても、ハーレイはキスもしてくれない。
 「俺は子供にキスはしない」と、叱るばかりで。
 「お前は、まだまだ子供だからな」と、何かと言えば子供扱いで。
(…前と今とじゃ…)
 大違いだよ、と悲しくて悔しい。
 時の彼方の自分だったら、ハーレイに会えない日など無かった。
 深く眠ってしまっていてさえ、ハーレイの心を捉えた自分。
 瞼を開けることさえ、無くても。
 思念の一つも紡ぎはしなくて、ただ昏々と眠っていても。


 前の自分と比べてみたなら、なんと自分は惨めだろうか。
 恋人の心を掴むことさえ、満足に出来ていない今。
 恋敵が出て来たわけでもないのに、あっさりと忘れ去られてしまう。
 今のハーレイの「付き合い」だけで。
 仕事仲間の教師たちとの、楽しい食事の集まりだけで。
(……前のぼくなら、食事会の主催……)
 あまり好きではなかったけれども、ソルジャー主催の食事会。
 それの主役で、前のハーレイは必ず出席していた。
 ソルジャーの前だと、緊張してしまう仲間たちの心を、和ませるために。
 わざと失敗してみせたりして、「かしこまらなくてもいいのだ」と。
(でも、今のぼくじゃ…)
 ハーレイを食事に招きたくても、その前に、母に頼まなければ。
 「こういう料理を作ってくれる?」と、理由を述べて。
 前の生での思い出だとか、母が納得するものを。
(……招待するのも、パパとママに……)
 頼むしかないのが、今の自分を取り巻く現実。
 バースデー・パーティーをするにしたって、招くのはチビの自分でも…。
(…家はパパとママので、お料理はママが作ってくれるんだし…)
 ソルジャー・ブルーのようにはいかない。
 あの頃だったら、エラたちが全てを準備してくれて、「それでいいよ」と頷いただけ。
 それでも立派に食事会の主役で、ゆったりと構えていれば良かった。
 招かれた仲間が緊張したなら、ハーレイに「頼むよ」と思念を飛ばして。
 「キャプテンだって失敗するんだ」と、仲間たちがホッとするように。
(……お肉が宙を飛んで行ったり、ナイフやフォークを落っことしたり……)
 ハーレイは上手くやってくれたし、食事会の席は笑いで一杯。
 そんな具合に過ごしていたのに、今の自分は…。
(ハーレイ、ぼくのこと忘れてしまって、楽しく笑って…)
 この時間でも食事中かも、と辛くて悲しい。
 自分は此処で泣いているのに、ハーレイは楽しんでいるのかも、と。
 本当にすっかり忘れ去られて、明日まで忘れられたままかも、と。


(……前と今とじゃ……)
 違いすぎるよ、と涙が止まらないけれど、心を掠めていったこと。
 どうして辛くて泣いているのか、悲しくて涙が止まらないのか。
(…ハーレイが、ぼくのこと、忘れていそうで…)
 なんとも惨めで悲しいけれども、そのハーレイは「ちゃんと、いる」。
 メギドで最期を迎えた時には、「もう会えない」と思ったのに。
 「ハーレイとの絆が切れてしまった」と、泣きじゃくりながら死んだのに。
 あの時の辛さと今を比べれば、忘れ去られていることくらい…。
(…なんでもないよね?)
 ハーレイは、ちゃんといるんだもの、と拭った涙。
 二人で地球までやって来たから、こういう日だって、たまにある。
 それを思えば、自分は、とても幸せだから。
 前の自分が夢に見た星に、ハーレイと生まれて来たのだから…。

 

           前と今とじゃ・了


※ハーレイ先生に会えなかった日、悲しくなったブルー君。「忘れられてるかも」と。
 けれど、ハーレイに「忘れられる」のは、二人で地球に来たからこそ。幸せですよねv











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(今日は顔さえ見られなかったな…)
 ツイてなかった、とハーレイがフウと零した溜息。
 ブルーの家には寄れなかった日、夜の書斎で。
 愛用のマグカップにたっぷりと淹れた、コーヒー片手に。
 今日は無かった、ブルーのクラスでの古典の授業。
 だから行っていない、ブルーがいる教室。
 そういう日ならば珍しくないし、ツイていないというわけではない。
 授業で顔を合わせなくても、学校の中では会えるチャンスは、いくらでも。
 休み時間に廊下でバッタリ出くわすだとか、登下校の時に会うだとか。
 けれども、今日は、それさえ無かった。
 ブルーの姿は見かけないまま、終わってしまった「今日」という一日。
 銀色の髪はよく目立つから、何処かにいれば一目で分かる。
 なのに、月の光のような銀さえ…。
(見かけちゃいないと来たもんだ)
 まったくもってツイていない、と思うけれども、ブルーの方も同じだろう。
 もう眠ったかもしれないとはいえ、起きていたなら…。
(今日はハーレイに会えなかったよ、と…)
 膨れているのに違いないな、と膨れっ面が目に見えるよう。
 いつも「フグだ」とからかってやる、ブルーのプウッと膨れた頬っぺた。
 唇も尖らせて不満たらたら、そんな具合に違いない。
 この時間でも、起きているならば。
 今日の出来事を思い返して、「会えなかった」と思っているならば。
(それとも、しょげている方か…)
 どっちなんだか、と小さなブルーの心を思う。
 立派な大人の自分でさえも、「ツイてなかった」と思うのだから。
 たった一日、ブルーに会えずに終わっただけで。
 多分、明日には会えるだろうし、家に寄れるかもしれないのに。


(……まったく、本当にいい年をした大人がだな……)
 一日会えずに終わったくらいで何なんだ、と自分の額をコツンと小突く。
 小さなブルーの方はまだしも、いい年をした大人なのに、と。
 そうは思っても、やっぱり「ツイてなかった」ことは真実。
 よっぽど運が悪い日だったか、あるいは神様の悪戯なのか。
(……前の俺なら……)
 こんな日なんかは無かったんだが、と遠く遥かな時の彼方に思いを馳せる。
 前のブルーと、シャングリラの中で生きていた頃。
 いつかは青い地球へと夢見て、船の中だけが全ての世界で。
(恋人同士だった時には、あいつは、とっくにソルジャーで…)
 前の自分はキャプテンだったし、顔を合わせない日など無かった。
 シャングリラも、とうに改造を終えて、白い鯨になっていた時代。
 前のブルーが暮らす青の間、其処を訪ねるのもキャプテンの大切な役目の一つ。
 夜は、一日の報告に。
 朝食の時間は、ブルーと食べながら、その日の色々な打ち合わせ。
(…いつも、あいつと朝飯で…)
 必ず顔を合わせていたから、一度も無かった「会えなかった日」。
 朝食の時間が取れないようなら、何処かで必要な「会いに行く時間」。
(…キャプテンは、どんなに多忙でも…)
 一日に一度は、ソルジャーに会って、話さなければならなかった。
 白いシャングリラの頂点に立つ、ソルジャーとキャプテンなのだから。
 二人の息が合わなかったら、シャングリラは危機に瀕するから。
(周りのヤツらも、そう思ってたし…)
 恋人同士だとは知らないままでも、ちゃんと時間を作ってくれた。
 「今の間に、ちょっと行って来な」と、ブラウが肩を叩くとか。
 「抜けていいぞ」と、ゼルが扉を指差すだとか。
 たとえ会議の最中でも。
 あるいは今後の航路を巡って、話をしているような時でも。


 そういう日々を過ごしていたから、会えない日などは無かった「ブルー」。
 「ツイていない」と感じたことなど、まるで無かった前の自分。
 今の自分は、何度も経験しているのに。
 「今日も、あいつに会えなかった」とガッカリした日は、少なくないのに。
(そう考えてみると、前の俺は、だ……)
 うんと恵まれていたんだよな、と前の自分が羨ましい。
 恋人に会えずに終わるような日は、一度も無かったのだから。
 一日に一度は必ず会えて、言葉を交わしていたのだから。
(……恋人同士の甘い時間とは、いかなくてもだ……)
 前のブルーの顔を見られて、声だって聞けた。
 ついでに言うなら、前のブルーは…。
(今のあいつとは全く違って…)
 最強のサイオンを誇っていたから、船の何処にでも思念を飛ばせた。
 お蔭で、顔を合わせなくても、様々な言葉が飛んで来た。
 「もう眠いから、先に寝るよ」といった調子で。
(…おまけに、出前の注文まで…)
 やっていたのが前のブルーで、ブリッジにいたら飛んで来た思念。
 「青の間に来る時、サンドイッチを持って来て」などと。
 それが来た時は、仕事の後に寄った厨房。
 「ソルジャーが夜食をご希望だから」と、クルーに頼んで作って貰った。
 注文の品のサンドイッチや、フルーツをカットしたものなどを。
 よく考えたらブルーはソルジャー、出前は頼み放題なのに。
 直接、厨房に連絡したなら、担当の者が、すぐに届けに行く筈なのに。
(それをしないで、俺に注文…)
 使い走りをさせてやがった、と思うけれども、あれもブルーの甘えの一つ。
 恋人同士だったからこそ、我儘なことを言っていた。
 皆の前では、決して誰にも甘えたりせずに。
 もちろん我儘も言いはしないで、白いシャングリラを守り続けて。


(…それに比べりゃ、今のブルーは我儘で…)
 甘え放題で自分勝手なガキってヤツだ、と苦笑する。
 今のブルーが前と同じに、サイオンを使いこなせていたら…。
(今度も確実に使い走りをさせられてるな)
 間違いないぞ、と大きく頷く。
 きっと食べたいものが出来たら、思念波を投げて寄越すのだろう。
 今の時代は「思念を飛ばす」のは、基本的にマナー違反なのに。
 きちんと「声で」話すのがルール、通信を入れるべきなのに。
(そうは言っても、子供なんだし…)
 通信機を使って「ハーレイ先生の家」に連絡、それがしょっちゅうだったなら…。
(いい加減にしなさい、と叱られるよな?)
 あいつの親に、と容易に想像がつく。
 だから代わりに思念を飛ばして、「あれを買って来てよ」と出前の注文。
 柔道部員たちによく出す、近所の店のクッキーだとか。
 あるいは前の生での記憶の欠片を、ふと運んで来る食べ物だとか。
(思い付いたら、俺に出前の注文で…)
 きっとうるさいに違いないんだ、と思い浮かべる小さなブルー。
 前のブルーとは似ても似つかない、甘えてばかりの我儘なチビ。
 そのくせに、一人前の恋人気取りで、何かと言ったらキスを欲しがる。
 前と同じに育つまでは駄目だ、と言ってあるのに。
 何度も叱って、頭をコツンとやったのに。
(前のあいつとは、大違いだな)
 いろんなトコが、と可笑しくなる。
 前のブルーは、けして、ませてはいなかった。
 「ぼくにキスして」と言わなかったとまでは、言わないけれど…。
(…そいつは、いい雰囲気になった時にだ…)
 ごくごく自然に出て来た言葉で、今のブルーのそれとは違う。
 チビのブルーがそれを言うのは、出前の注文と変わらないから。
 「あれを買って来て」と同じレベルで、欲しがっているだけだから。


(…まるで分かっちゃいないんだしな?)
 キスの重さも、大人の恋というヤツも…、と前のブルーと比べれば分かる。
 今のブルーが幼いことも、前とは違うということも。
 本物の両親に可愛がられて育ったブルーは、前のブルーとは違って当然。
 中身は同じ魂でも。
 前のブルーの記憶を引き継ぎ、様々なことを知ってはいても。
(……前と今では、違うんだよなあ……)
 毎日の暮らしだけじゃなくてな、と前と今との違いを思う。
 「ブルーに会えない日」が何度もあったり、ブルーがサイオンを使えなかったり。
 我儘放題なチビの子供で、甘えるのが当たり前だったり。
(……どっちがいいかと訊かれたら、だ……)
 判断に困っちまうんだよな、とコーヒーのカップを傾ける。
 前のブルーと今のブルーでは、どちらの方が好きなのか。
 どちらか一人を選ぶのだったら、自分は、どちらの手を取るのか。
(…とても選べやしないんだが…)
 取るべき手なら分かっているな、と小さなブルーの右手を頭の中に描いた。
 前の生の最後に、メギドで冷たく凍えてしまった、ブルーの右手。
 それを包んで温めてやれるのは、今の自分の両手だけ。
 だから自分は、チビのブルーの手を取るだろう。
 どちらかの手を取れと言われたら。
 前と今では違っていたって、ブルーは確かにブルーだから。
(本当を言えば、もう少し育ってくれてだな…)
 前のあいつと同じ姿がいいんだがな、と思うけれども、そこは辛抱すべきだろう。
 チビのブルーもいつかは育つし、その日を待っていればいい。
 甘え放題、我儘放題のままで、ブルーが大きくなったって。
 前のブルーからは全く想像できないくらいに、甘えん坊の弱虫になったって。
(……前と今では違うんだしな?)
 そいつが今の俺のブルーだ、と心はブルーの許へ飛ぶ。
 出来れば、明日は会いたいものだ、と。
 ブルーの家に寄れればいいなと、それが無理でも顔を見られる日だといいな、と…。

 

            前と今では・了


※ブルー君に会えなかった日の、ハーレイ先生。ツイてなかった、と比べてみた前の生。
 そして思った、どちらのブルーを選ぶのか。やっぱり今のブルーなのですv











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「ねえ、ハーレイ。ちょっと話があるんだけれど」
 聞いてくれる、と小さなブルーが言い出したこと。
 二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
 お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「…話だと?」
 いきなり何だ、とハーレイは思わず身構えた。
 今日までの経験からして、多分、まともな話ではないから。
(あの手この手で、キスを強請ってくるヤツだしな…)
 また何か思い付いたんだぞ、と心の中で零れる溜息。
 いったい何を言われるのやら、と半ば呆れて。
(どう転がっても、俺は子供にキスはしないからな)
 それは変わらん、とチビのブルーを真っ直ぐ見詰める。
 愛らしい唇が何を紡ごうが、聞く耳なぞは持つものか、と。


 ハーレイの心を知ってか知らずか、ブルーは微笑む。
 「そんなに怖い顔、しないでよ」と、年相応に無邪気な顔で。
「怖い顔だと? 俺はいつもと変わらんが」
「そう? 前のハーレイも、そうだったかもね」
 いつも眉間に皺だったもの、と自分の眉間を指差すブルー。
 「今度も癖になっちゃってるよね」と、クスクス笑って。
「大きなお世話だ。それで、話というのは何だ?」
「えーっとね…。恋人を作ろうと思うんだけど」
「はあ?」
 誰がだ、と間抜けな声が出た。
 話の流れからすると、ブルーが恋人を作るようだけれども…。
(こいつは俺に惚れてやがるし、そんな筈は…)
 無いんだよな、と思ったものの、それなら、誰が恋人を…?


(……俺が恋人を作った場合は、大変なことに……)
 なるに決まっているんだが、と考えなくても分かること。
 ブルーときたら、「前の自分」にさえ嫉妬するほど。
 「前のぼくの方が好きなんでしょ!」と怒ったりもして。
 前のブルーを想うことすら、「許せない」なら…。
(恋人なんぞを作ろうものなら、大惨事だぞ)
 引っ掻かれたりもするかもな、と頭に浮かぶのは銀色の子猫。
 鏡に映った自分の姿に、毛を逆立てて喧嘩を吹っ掛ける姿。
 それがブルーの「前のブルー」に対する姿勢。
(鏡じゃなくって、俺に向かって…)
 飛び掛かって、爪でバリバリだ、と勘弁願いたい「大惨事」。
 まあ、恋人など、作るつもりも無いけれど。
 だから…。


「心配しなくても、俺の恋人はお前だけだぞ」
 前のお前は忘れられんが…、と、一応、正直に付け加えた。
 そうしたら…。
「違うよ、恋人を作るのは、ぼく!」
「お前だと!?」
「うん。恋敵がいれば、ハーレイだって焦るでしょ?」
 今みたいに、のんびりしてられないよ、とブルーは笑んだ。
 「恋人と先にキスしちゃうかも」と、「キスの先だって」と。
(……そう来たか……)
 俺に嫉妬をさせる気だな、と、やっと分かったブルーの魂胆。
 嫉妬に狂って「負けてたまるか」と、恋路を急がせるつもり。
 唇へのキスやら、その先のことを、今の誓いも忘れ果てて。
 けれど、その手に乗せられはしない。
 ダテに齢を重ねてはいない。


「よし、許す」
 恋人を作って楽しんでくれ、と愛想よく返した。
 「俺みたいに年の離れたヤツより、いいのを選べ」と。
 「不釣り合いな俺は、潔く身を引いてやるから」と。
「えーっ!?」
 ちょっと、とブルーは慌てたけれども、知らんぷり。
 「年相応の恋人の方がいいぞ」と、大人の余裕で。
 「可愛い女の子だって、きっと似合いだ」と、勧めてやって。
 きっとモテるから楽しむがいい、と傾ける紅茶のカップ。
 懸命に笑いを噛み殺して。
 目を白黒とさせるブルーに、軽くウインクなんかもして…。



         恋敵がいれば・了









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(地球なんだよね……)
 ぼくがいるのは、と小さなブルーが、ふと思ったこと。
 ハーレイが寄ってはくれなかった日の夜、自分の部屋で。
 お風呂上がりにパジャマ姿で、ベッドにチョコンと腰を下ろして。
 前の生で自分が焦がれた地球。
 青く輝く母なる星。
 遠く遥かな時の彼方で、何度夢見たことだろう。
 その青い星に降りてゆく日を。
 人類に追われる身ではなくなり、青い海や緑の山をこの目で見ることを。
(……フィシスの地球しか、ぼくは見たこと無かったけれど……)
 それ以外には一つも無かった、地球の映像。
 だから余計に憧れたろうか。
 青い地球まで行かない限りは、海も山もじっくり見られないから。
 フィシスが抱く幻だけしか、地球を見せてはくれないから。
(…もちろん、それだけじゃなかったけれど…)
 地球への夢は、フィシスに出会うよりも前から心にあったもの。
 人類の聖地とされた星だし、機械が刷り込んだのかもしれない。
 地球に焦がれて「行きたくなる」よう、教え込んで。
 そうでもしないと、無条件での「地球への忠誠」を抱かせることは難しいから。
(…成人検査でも、人体実験でも消えないレベルで…)
 機械がそれをやったとしたなら、恐ろしいとしか言いようがない。
 けれども、地球への想いが無ければ、前の自分は、あのように強く生きられたろうか。
 ミュウを導き、「いつか地球へ」と願い続けて、三世紀以上もの長い歳月を。
 座標さえも掴めないままの星を目指して、宇宙を流離っていた頃を。
(……無理だよね?)
 とても無理だ、と分かっているから、機械が教えた感情でもいい。
 前の自分が夢見た星。
 全ての生命を其処で育み、ヒトを生み出した青い星への強い憧れは。


 そうやって焦がれ続けた地球。
 寿命が尽きると分かった後にも、とても諦め切れなかった。
 この肉眼で一目見られたら、と叶わぬ夢を抱き続けて。
 赤い星、ナスカで「死」を悟ってもなお、「見たかった」と涙したほどに。
(その星に、今、いるんだけれど…)
 おまけに地球の子なんだけどな、と眺めた窓。
 夜はカーテンを閉めているから、庭の景色も今は見えない。
 それでも、窓の向こうは地球。
 カーテンを開けるか、隙間から外を覗いたならば、きっと夜空が見えるだろう。
 地球の星座が幾つも散らばる、秋の夜空が。
 庭の向こうには、何処までも続く、地球の大地に建つ家などが。
(正真正銘、地球の子供で…)
 地球で生まれて育ったけれども、残念なことに、青い水の星は見たことが無い。
 前の生と同じに身体が弱くて、宇宙旅行に出掛ける機会が無かったから。
 「地球は青い」と知っていたって、未だ一度も見ていない姿。
(……うーん……)
 残念だよね、と思う気持ちは「贅沢な悩み」。
 前の自分が最後まで夢見た、憧れの地球の上にいるのに。
 「地球に着いたら…」と抱いていた夢、それの幾つかは叶ったのに。
(…今日の朝御飯だって…)
 母が焼いてくれたホットケーキは、前の自分の夢だった。
 地球で採れた本物のメープルシロップと、地球の草を食んで育った牛のミルクのバター。
 それをたっぷりと添えたホットケーキを、朝食に食べてみたかった自分。
 「ソルジャー・ブルー」と呼ばれていた頃に。
 自給自足の白い箱舟で、ホットケーキを口にする度に。
 今の自分なら、毎朝だって出来ること。
 母に「焼いて」と頼みさえすれば。
 ホットケーキの他にも沢山、地球の食べ物を並べたテーブルで。


(…ハーレイに貰ったマーマレードも…)
 地球で育った夏ミカンだよね、と考える。
 隣町に住むハーレイの両親、その家の庭で豊かに実った夏ミカン。
 ハーレイの母が、その実で作るマーマレードも、青い地球の恵み。
 毎朝、食卓に置かれているから、すっかり見慣れてしまったけれど。
(…ミルクも地球のだし、パパが食べてるソーセージも、卵も…)
 何もかも全部、地球で出来た食べ物。
 前の自分が夢見た以上に、素敵な世界に生きている自分。
(地球の子に生まれちゃったから…)
 生まれながらに手にした特権、それは最高に素晴らしいもの。
 宇宙から地球を見ていないことを、残念がってはいけないだろう。
 もしも他の星に生まれていたなら、宇宙から地球を眺めるどころか…。
(今度もやっぱり、地球を目指して…)
 旅をすることになったと思う。
 前の自分の記憶が戻って、「青い地球がある」と知ったなら。
 白いシャングリラの頃には何処にも無かった、青い水の星があると知ったら。
(…ハーレイには、ちゃんと巡り会えてる筈だから…)
 いつか地球まで行ってみたくて、ハーレイに頼み込んだだろう。
 「今度こそ、二人で地球に行こうよ」と。
 地球からは遠く離れた星に生まれても、定期航路はある時代。
 ハーレイと二人で宇宙船に乗って、青い星まで旅をしようと。
 白いシャングリラで旅する代わりに、定期船で。
(……でも、やっぱり……)
 今の自分はチビなのだろうし、すぐに地球には行けそうもない。
 両親と一緒の旅ならともかく、ハーレイと旅に出るのは無理。
(…新婚旅行で行くしかないよね…)
 何年も待たされちゃうんだけどな、と容易に想像がつく。
 結婚できる年になるまで、地球は今度も夢の星のまま。
 何処にあるのか分かっていたって、定期船が地球まで飛んでいたって。


(……それって、辛い……)
 また何年も待つだなんて、と考えただけでも悲しい気分。
 いくらハーレイと巡り会えても、心には穴がぽっかりと空いているのだろう。
 青い水の星に行ける時まで、満たされないのに違いない。
 ハーレイが「土産だ」と、地球産のお菓子などを買って来てくれたって。
 父が「お前の欲しかった本だろ?」と、とても立派な地球の写真集をくれたって。
(…生まれた場所、地球じゃなかったら…)
 そうなったよね、と零れる溜息。
 幸いなことに、地球に生まれて、今も地球の上にいるけれど。
 宇宙から見る地球の姿は、肉眼では見ていないけれども。
(……どんなに、ハーレイのことが好きでも……)
 心の中には「青い地球」があって、新婚旅行で「地球に行く夢」が叶っても…。
(…帰りたくない、って思っちゃうんだよ…)
 楽しかった地球での旅が終わって、帰るために宙港に着いたなら。
 ハーレイと二人で暮らしてゆく家、それがある星に帰るのに。
(……ぼくの心は、地球に残ってしまいそう……)
 そしてハーレイと過ごしていたって、きっと心から地球は消えない。
 「また行きたいな」と夢を見ていたり、毎日が上の空だったり。
(……そうなっちゃうから、引越ししちゃう?)
 生まれた星が地球じゃなかったら、と広げる空想の翼。
 ハーレイに「行こうよ」と駄々をこねて。
 どうしても地球で暮らしたいから、青い水の星に引越ししよう、と。
(…ハーレイ、なんて言うのかな?)
 生まれた星を遠く離れて、地球に引越しするなんて。
 もちろん仕事は、また地球で探すことになる。
 ハーレイの腕なら、いくらでも見付かりそうだけれども。
 柔道と水泳の腕はプロ級、そんな古典の教師だから。
 学生時代は優秀な選手、きっと引っ張りだこだと思う。
 地球に転職するとなったら、引く手あまたで。


 そうして仕事が見付かったならば、家を探すのも簡単だろう。
 ハーレイが移る学校がある町、その中の何処か。
(…何処になるのかな?)
 この地域とは限らないよね、と傾げた首。
 地球生まれではない「今の自分」とハーレイの場合、こだわりは無さそう。
 何処の地域を指定されても、地球でさえあれば。
 「憧れの地球だ」と喜び勇んで、其処を目指して旅立つだろう。
 ただし、二人が生まれ育った星の上にも、心を残して。
 ハーレイの両親が暮らす家やら、今の自分が両親と暮らした家やらに。
(…地球に行けるのは、嬉しいけれど…)
 宙港まで見送りに来てくれるだろう、両親たち。
 彼らに「さよなら」と手を振る時には、涙が零れてしまうのだろうか。
 定期船で地球とは繋がっていても、間を宇宙が隔てるから。
 突然、会いたくなってしまっても、今までのようにはいかないから。
(……ぼくの心は、今度は、半分……)
 生まれ故郷の星に残って、地球から想うのかもしれない。
 「パパとママ、どうしているのかな?」と、夜空を見上げた時などに。
 何かのはずみに故郷と重ねて、「懐かしいな」と思った時に。
(…それも困るよ…)
 せっかく地球に引越ししたのに、と辛くなるから、今の暮らしがいいのだろう。
 青い水の星は、まだ肉眼では眺めたことが無いけれど。
 ハーレイと新婚旅行に行くまで、見られる機会は無いのだけれど。
(だけど、心を生まれた星に…)
 半分残して地球で暮らすよりかは、少しだけ我慢する方がいい。
 十八歳になれば、ハーレイと結婚できるから。
 新婚旅行で地球を眺めて、地球に帰って来られるから。
 二人で引越す必要は無くて、二人の生まれ故郷の地球に。
 青く輝く水の星の上に、前の自分が焦がれた星に。


(……生まれた星、地球じゃなかったら……)
 ホントに色々、困っちゃうよね、と改めて気付かされた今。
 今の自分は当たり前のように、地球の恵みを受けているけれど。
 地球で生まれて地球で育った子で、今のハーレイも同じだけれど。
(…神様って、ホントに、ちゃんと考えて…)
 生まれる場所を決めてくれたんだよね、と嬉しくなる。
 ハーレイと地球まで旅してゆくのも、引越すのも悪くはないけれど…。
(心を半分、生まれた星に残しちゃうのは…)
 きっとハーレイも同じだろうから、今の暮らしが断然、いい。
 わざわざ旅をしてゆかなくても、地球なら、いつも此処にあるから。
 青い姿を見られないだけで、青い海も、その広い大地も、全て周りにあるのだから…。

 

          地球じゃなかったら・了


※ハーレイと生まれ変わった星が青い地球とは違ったら…、と考えてみたブルー君。
 もちろん地球には行きたいのですが、引越ししたら辛いかも。地球生まれで良かったですねv











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